アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1160

機動隊および消防団員による山狩りの模様。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

   なお、これほどの徹底した捜索にもかかわらず、のちに死体発見現場から百五十メートルも離れていない麦畑からスコップが見つかる。このスコップは死体を埋めるのに使用されたと警察は発表、五月三日から八日まで続けられたしらみつぶしの山狩り捜索で、なぜこのスコップは発見を逃れたのか、謎である。

【公判調書3600丁〜】

                      「第六十五回公判調書(供述)」

証人=高橋乙彦(四十七歳・警察官。事件当時は埼玉県機動隊分隊長)

                                            *

城口弁護人=「それでは死体の発見された五月四日にしぼって聞きますが、同じ場所、同じ一帯をその四分隊、または消防団員と共に捜索なさったということになりますか」

証人=「同じ場所ではないと思います」

城口弁護人=「同じ地帯でもないですか」

証人=「たまたまぶつかることはあると思いますが」

城口弁護人=「四日のことですよ」

証人=「はい、四日の捜索の場所ですね、それについては各分隊はどっち方面と指示されておりますが、たまたまそこに各分隊がぶつかることもあると思います」

城口弁護人=「ある地点から一列になって、ある方向に向かって細かく山狩りをしていくという方法を取ったんじゃないんですか」

証人=「はい」

城口弁護人=「一列に並んでですか」

証人=「ほぼ一列に並んで」

城口弁護人=「そして極めて組織的につぶさにその一帯を捜索するという方法を取ったんじゃないんですか」

証人=「だいたいそのような方針でやりました」

城口弁護人=「四日においてもそのようにやられたわけですね」

証人=「はい、そうです」

城口弁護人=「五月四日は何時頃から捜索にかかったでしょうか」

証人=「時間は分かりかねますが、朝からだったと思います」

城口弁護人=「三日も朝からということでしたね」

証人=「三日の朝は早いんです」

城口弁護人=「うんと早いんですか」

証人=「はい」

城口弁護人=「四日の朝は」

証人=「普通の時間でした。八時半頃か、九時と思いますね」

城口弁護人=「その日の捜索目的というのはどういう風になっていたでしょうか」

証人=「やはり死体の捜索と遺留品の発掘です」

城口弁護人=「山狩りの方法なんですが、今、ほぼ一列に並んだりしてということのお話があったんですが、その他、特徴的な点はどのようなことがありますか」

証人=「特徴的な点は一列に並びますが、藪とか、特にここがおかしいというところはそこに行って調べてみました」

城口弁護人=「藪などは細かに調べると」

証人=「はい」

城口弁護人=「おかしいところというのは、現場に即して思い出して頂きたいんですが、例えばどういうところをおかしいとして捜索したんですか」

証人=「藪とかドブ、山と畑の間ですね」

城口弁護人=「山狩りをする際の捜索員は、いろいろと身を固めているんでしょうね。手に何か持つとか、そういう方法はいかがですか」

証人=「これは出動服というのを着てます」

城口弁護人=「当時の出動服はどういう形態になっていましたか」

証人=「現在とそう変わりません」

城口弁護人=「手に物を持つとかそういう点は」

証人=「物を持つということは、特別な物は携帯しておりません。無線機を何人かが携帯しておりますが」

城口弁護人=「これは各分隊に一つとかいうことになりますか」

証人=「その点は特に記憶ないんですが、そう思います」

城口弁護人=「あなたは分隊長であったというんですが、分隊長も自ら捜索すると、単に指揮するという程度じゃなくて、一緒にやるということですね」

証人=「はい、一緒に歩いていました」

城口弁護人=「四日の日の山狩りの範囲をちょっとはっきりさせたいんですが、(当審第一回検証調書添付第一見取図一九〇丁を示す)これを見て下さい、道路関係わかりますか」

証人=「道路関係は細かいことは分からないんです」

城口弁護人=「どの方向からその日は捜索を開始したんですか」

証人=「私は場所は記憶がちょっと、ないんですが、結局死体の発見現場の北側に山があったと思うんですが、その山の辺りを、北側が畑と山と・・・・・・」

城口弁護人=「その北側というのはどこです」

証人=「さあ・・・・・・」

城口弁護人=「この図面で詳しくは分からないんですね」

証人=「はい」

城口弁護人=「それじゃ結構です。この見取図を見て頂いてもよく分からない」

証人=「はい」

城口弁護人=「それでは印象でだけでも結構ですから述べて下さい。死体発見現場を中心にして考えると、どういう範囲の捜索に当たられたかということですが、これについて述べて下さい」

証人=「死体の発見された現場の、方向はちょっと分からないんですが、松山が出っ張っている場所がありまして、道の方向にすると・・・・・・」

城口弁護人=「山学校というのはご存じですか」

証人=「山学校というのはずっと北のほうになると思います。そうすると、死体の現場の北側に松山があったように思いますが、松山が畑のほうに出っ張っているところがあったんです。それを出ますと畑があって、その先が民家なんです。その松山と畑の境を出まして、それで南に入って来ました」

城口弁護人=「死体発見現場の方向に」

証人=「はい、その手前に藪があったんですが、その藪を見て、それから今度真っ直ぐ道路に出る予定だったんです」

城口弁護人=「道路というのは死体発見現場というところにある農道ですか」

証人=「農道じゃなくて、大きい道路があるんです。一応そこの捜索を終わって道路に出る予定だったんです。ところが藪があったので藪を捜索して見ようと、あぜ道を通って行ったところに穴蔵、室があったわけです」

城口弁護人=「経路についてははっきりしませんが、だいたいそのような経路で捜索をして、その言わば終わりに近いところの部分に芋穴があったということになるんですか」

証人=「そうですね」

(続く)