アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1163

狭山事件に関する書籍には事件当時撮影されたと思われる写真が多数載っている。しかしその撮影日時は不記載であり、捜査当局による捜査報告書・調書とはその質の低さが一目瞭然である。

さて、事件当時の芋穴の写真は複数存在し、どの写真がより当時の状態に近いかは、老生には判別出来ない。この辺りは調書を読み込むしかその解明は出来まい。

【公判調書3607丁〜】

                      「第六十五回公判調書(供述)」

証人=高橋乙彦(四十七歳・警察官。事件当時は埼玉県機動隊分隊長)

                                            *

橋本弁護人=「浦和地方裁判所であなた昭和三十八年に証言しましたね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「その時には、あなた最初片側だけしか開いてないんで、もう片側を開けたと、それから入れたと、それは堤巡査を芋穴に入れたということらしいんですが、そういう証言をしているんですが、つまりあなたが芋穴を見た時には芋穴の蓋は全部開いていたか、きっちり閉まっていたかということなんですが」

証人=「それが現在は記憶ないんですが」

橋本弁護人=「先ほど写真をご覧になりましたね、その写真をじっと眺めて見ても記憶は戻りませんか」

証人=「ええ、見ましたが、ああいう風になっていたか、片側だけ取ってあったかちょっと記憶がないんです」

                                            *

橋本弁護人=「(前同現場写真四号五七九丁を示す) これは芋穴と死体発見現場付近の写真ですが、それを見て情景を思い出して頂きたいんですが」

証人=「はい」

橋本弁護人=「その写真を見てあなたが当時芋穴を発見した、死体が発見された付近の状況の写真であるということは思い出せますか」

証人=「はい」

橋本弁護人=「桑の木が三本写っておりますね。それが芋穴の傍にあったという桑の木のようですか」

証人=「はい」

                                            *

橋本弁護人=「(前同現場写真一二号丁を示す) その写真を見て当時を思い出すことは出来ますか」

証人=「はい、わかりました」

橋本弁護人=「桑の木は三本写っておりますね。それが先ほどあなたが証言した桑の木ですね、桑の木とその手前の茶株の間に畑に入る入口がありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「これは芋穴のほうに入る」

証人=「はい、そこが丁字路になっていたんです」

橋本弁護人=「写真を撮影した方向から行きますと、左側に入って行くと丁字路の右側に芋穴があるんですね」

証人=「はい、そうです」

橋本弁護人=「先ほど芋穴を発見した者が誰か分からないと言いましたね」

証人=「まとまってこの右側のほうに藪があったんです」

橋本弁護人=「丁字路の農道、これは死体が埋めてあった農道ですね」

証人=「ええ」

橋本弁護人=「その右側に藪があった」

証人=「丁字路を畑の方に真っ直ぐ下がったほうですね、写真で見ますと道のないほうに」

橋本弁護人=「写真に向かって右側」

証人=「はい、その付近に藪があったんです。そこを捜索してこの丁字路に出て来たんですが」

橋本弁護人=「その藪というのは雑木林でしたか」

証人=「竹だと思いましたが」

橋本弁護人=「あなた、あとでスコップが発見された現場は知ってますか」

証人=「何か近くということは聞いてますが、現場は知りません」

橋本弁護人=「だいたい芋穴からあなたの言う右側のほう約百メートルくらいのところですが、その辺に雑木林が残っておりまして、藪も少し残っておったと思いますが、距離にすると右側百メートルくらいですが」

証人=「ええ、雑木林は切れて畑になっているところですね、その右のほうに藪があったのでそのほうに行ったんです。真っ直ぐ行くと道に出てしまいますが、藪があるというので上がって来て見たんです」

橋本弁護人=「のちにスコップが発見された部分がありますね、その部分を直接通らず芋穴のところに出てしまった」

証人=「ええ、そうです」

橋本弁護人=「藪のほうから畑を通って芋穴付近に達した」

証人=「ええ。藪があったために、そのままなら道に出てしまうのを、そっちの方に行ったんです」

橋本弁護人=「死体を発見したのは」

証人=「うちの分隊じゃないと思いますが」

橋本弁護人=「あなたの分隊じゃないんですね」

証人=「はい。ないと思います」

(続く)