アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 906

事件当時の石川一雄氏。写真は逮捕前日の五月二十二日に撮影されたが、これは事前に警察のリークを受けた通信社が偶然を装い撮影したものであった。

【公判調書2870丁〜】

                    「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

                                            *

山上弁護人=「あなたは五月二十三日に石川君が恐喝未遂と言いますかね、逮捕されたわけですが、これはあなたはどういう機会に知ったんでしょうね」

証人=「あれは石川君が逮捕されたその日からだいぶ経ってです。だいぶと言ってもひと月もふた月もというんじゃないんですけれども」

山上弁護人=「どれくらい」

証人=「・・・・・・その日とかその次の日とかいうんじゃないないんです」

山上弁護人=「十日くらい」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

山上弁護人=「あなた、よく考えながら言うんでいいんだけど、本当のことを言って下さいよ」

証人=「本当のことを言ってます」

山上弁護人=「いつ頃知ったの」

証人=「日は幾日ということははっきりしませんけれども、仮に今日の日だとすると直ぐ今日だとか、明日とかいうんじゃないんです。一週間」

山上弁護人=「一週間くらい」

証人=「はっきりしませんけれども、五日か一週間、いずれにしても少し過ぎてる」

山上弁護人=「あなたは五月三日には山狩りをなさっていますね」

証人=「はい」

山上弁護人=「石川君というのが逮捕されたということで、ああ、あの今まで野球していた石川かとぴんと来ましたか」

証人=「いや、私はそれを知った日にはあれっという気がしたですよ、石川が?といったような、まあそういう感じでした」

山上弁護人=「石川君がまさかと、そういう気で」

証人=「ええ」

山上弁護人=「それはどういうところから感じられたんですか」

証人=「いや、私はさっきも申し上げた通り野球や何かしていて私のことを、『おっ関さん』と言って私も『おっ石川』と言って石川というのはどうかと思うんですけれども、関さんですか、石川さんですかというんじゃなしに『おう』『うっ』というように言っていたんですから」

山上弁護人=「まさか石川君がという風な感じで受け取ったんですか」

証人=「そういう感じですね」

山上弁護人=「石川君なら無理もないという風な感じとは反対ということですね、少なくとも」

証人=「はい、そうです」

山上弁護人=「石川君が逮捕された後、あなたは今までの相弁護人(注:1)の尋問によれば長期に手紙を差入れて、何回もですね、それからお金も差入れている、これ素直にとればあなたはやさしい方だと、ぼくは思うんですが、逮捕された以降、自分の方から石川だったら自分の感じではおかしいと思うと、どうかひとつ自分に石川を会わせてくれんかと、確かめてみたいという風なことをなさったことはありませんか、そういう思い付いたことがありますか」

証人=「そういうよりも、まあこの前も私申し上げて捜査のほうはタッチしないでいたものだから、よく分からなかったと言ったんですけれども、だけども捜査のほうは捜査の方だけでやっていたからどういう風にやってるのかこっちには私のほうには分からないわけですね」

山上弁護人=「それは私の今の質問に対する答えには直接ないように思うけれども、もう一度お尋ねしましょう、あなたが石川君が逮捕されたニュースを受けて石川君に一度会って自分から今まで親しかったし、話を聞いてみようかと思ったことがあるかと、聞いているんです」

証人=「そういう風に特別私聞いてみようという気もなかったです。というのはもう捜査のほうでずっとやっていて私らがどうこうというわけには行きませんからね」

山上弁護人=「あなたが石川君と五月一日以前を標準(原文ママ)にすれば三年前から知り合っておったということは警察の上部の人は五月一日当時知っておりましたか」

証人=「私は知らないと思うんです」

山上弁護人=「あなたの方から警察の上部とか同僚に、実は石川というのは三年前から野球などして知っておるんですというような言葉を上司なり同僚なりに五月一日以降話したことがありますか」

証人=「いや、そういうことは言わないです」

山上弁護人=「そうするとまあ、あなたの上司と言えば仮に特定すれば狭山の署長、竹内さんね、あの人が石川君とあなたが馴染んでるということは事件を通じて知っておったんでしょうか、知らなかったんでしょうか」

証人=「知っていたかどうか、私それは知りませんけれども」

山上弁護人=「竹内さんが聞いたことはありますか」

証人=「私に石川君を知ってるかとですか」

山上弁護人=「うん」

証人=「そういうことはないです。ただ私はそう言うとおかしいですけれども子供でも大人のチームでも今でもやるんですけれども、野球の友達は随分いるんです。で、竹内さんのほうからお前石川知ってるのかとかいうようなことも聞かれたこともないです」

山上弁護人=「あなたの方からは」

証人=「私も石川君をおれ前から知ってると言ったこともないんです」

(続く)

(注:1)相弁護人=複数の弁護人が付く場合の相方の弁護人。