アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 905

事件当時の入間川小学校。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より。

【公判調書2868丁〜】

                   「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

                                           *

山上弁護人=「これは一審であるいは聞いてるかも知れませんが、事件発生当時あなたのうちと石川君とは何か二百メートルくらい離れてる所にあったんですか、直線にね」

証人=「大体そんなものです」

山上弁護人=「事件発生は五月一日ということらしいが、それを基準にすれば石川君とはどれくらい遡って顔見知りですか」

証人=「二年半ないし三年くらいじゃないかという風に思います」

山上弁護人=「まあ石川君に聞けば四、五年、自分が十五、六の時からという風なことも聞いておりますが、その点はどうでしょうか。もっと前から知り合っておったということはありませんか」

証人=「私がそこへ行ったのが三十四年なんです、それで直ぐでもなかった。まあはっきりしないんですが、いずれにしてもその後で、半年や十ヶ月は過ぎていたと思うんで、それで今、二年半なり三年と申し上げたんですが」

山上弁護人=「それで石川君と野球なんかなさるような間柄になられたのはいつ頃からですか」

証人=「それが初めなんです」

山上弁護人=「二年半あるいは三年くらい前から野球を始めた」

証人=「はい」

山上弁護人=「それはまあ毎月一、二回野球をするというような、そういう回数になるのでしょうか」

証人=「いや、それは私の方も野球やる度に出て行くということもなかったししますから、まあ仮に会う時はひと月に二度やそこら、グランドや何かに行って会ってることもあると思うんですけれども、会わない時はまた三月も会わないという風な」

山上弁護人=「そういう風なご記憶ですね」

証人=「はい」

山上弁護人=「で、このあなたが石川君あたりの年代の方と野球をやって打ち解けるというようなことは、あなたの方から積極的にそういうチャンスを作るような形で入ったのでしょうか、それとも石川君の方から関さん一緒に野球やりましょうやというようなことだったんでしょうか。どうでしょうか」

証人=「いや、そうじゃないんです。ただ私は子供を連れて野球が好きだから学校へ遊びに行ったんです。で、遊びに行った時それがたまたまジャイアンツといっていたんですが、青年団チームが一緒にやってて私も石川君に限らずそばにいる人ですから顔も知ってるから、じゃ応援というわけじゃないんですけれども、そこで一緒に応援していたと、ですからこっちから知るとか向こうから知るで、グランドで応援に行って知ったんです」

山上弁護人=「偶然ということにもなるわけですか」

証人=「はい」

山上弁護人=「それであなたはそういうことで知り合ったわけですが、石川君のお父さんお母さん、そういう人とは面識はあったんですか、五月一日以前に」

証人=「顔は知っていました」

山上弁護人=「この石川君が、まああなたはご存じだと思うんですが、いわゆる未解放部落の青年であるというようなことについては。事件当時」

証人=「私はそういうことは全然何も。他所から実は私、狭山に行く前に所沢に居たんです。で、所沢からあそこへ転勤しただけですからね」

山上弁護人=「そういうことは知った時期はありますか、現在を時点にすれば、人から聞いてでもいいよ」

証人=「だけど私そういうこと自体をあんまり頭になかったんです」

山上弁護人=「だからそういうことを聞いたことがあるかどうかというんです」

証人=「それはもうしばらく前なんですけれども、浦和の民事の裁判に行った時にそういうことを川越の人が言い出したんです」

山上弁護人=「じゃ五月一日当時を基準にお尋ねしますが、石田一義さんとかそういう人はどうなんですか」

証人=「石田さんというのを私知らなかったんです」

山上弁護人=「豚屋をやってるというのは」

証人=「豚屋やってる石田さんという人がいるということを聞いてたけど、人は知らなかったんです」

山上弁護人=「石田一義という人が豚屋をやってるということは五月一日当時は知っていたんですか」

証人=「いつという、その時期ははっきりしませんけれども豚屋をしているということは聞いてますけれども、前か後か」

山上弁護人=「前か後かはっきりしない」

証人=「はっきりしないですが」

山上弁護人=「豚屋があるというようなことはどうですか」

証人=「豚屋といっても肉を店で売ってないんですから、普通の農家と同じようなあれですから」

山上弁護人=「普通の肉を売ってるような所でないというのはどこで知ったんですか」

証人=「その石田豚屋さんのうちが店で肉を売ってる豚屋さんじゃないんです」

山上弁護人=「そういうことをいつ知ったんですか」

証人=「それは石田豚屋さんというのがあるということを知った時ですがね」

山上弁護人=「そういうことがあるというのを知ったのは五月一日を基準にすれば前か後かということははっきりしないということですね」

証人=「はい」

山上弁護人=「そうすると、今を時点にすればだいぶ古い時期から知っていたということになりますね」

証人=「それはもう」

山上弁護人=「七、八年前ですね」

証人=「はい」

(続く)