アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 951

【公判調書2984丁〜】

                   「第五十六回公判調書(供述)」

証人=遠藤  三(かつ)・七十歳

                                            *

福地弁護人=「(原審記録第七冊の昭和三十八年六月二十七日付の被告人の供述調書末尾添付の図面(2)二一一四丁を示す)これは何を示す図面でしょうか」

証人=「これも時計を捨てた場所の図面じゃないかと思われます」

福地弁護人=「左下の方に時計を捨てた所という説明がありますね」

証人=「ええ、ございます」

福地弁護人=「この図面で見ると三叉路の、この図面に向かって左上の角の辺りにマークがついておりますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたの記憶では被告人はここに捨てたというような供述をしたんでしょうか」

証人=「記憶がございません」

福地弁護人=「あなたは発見された腕時計を見たことがありますか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

福地弁護人=「そんなに考え込むことはないでしょう」

証人=「いや、見たかどうかの記憶は分かりません」

福地弁護人=「あなたは現在この発見された時計というのはどういう形の時計だという風に思っておりますか」

証人=「形は長方形ということくらいは記憶しておりますが」

福地弁護人=「色は」

証人=「色は金色ですね」

福地弁護人=「バンドは」

証人=「記憶ありません」

福地弁護人=「腕時計が発見されたということを誰かに聞いた記憶はないですか」

証人=「ありますね」

福地弁護人=「誰から聞いたですか」

証人=「誰から聞いたというところまでは記憶ありませんし、また、誰が発見したという名前も記憶がございませんが、一般の人が見つけてくれたんだというように記憶しております」

福地弁護人=「いつ頃聞いたんですか」

証人=「日にちの点についても記憶がございませんが」

福地弁護人=「時計が発見されたと言われている場所へ行ったことがありますか」

証人=「それはしばらく経ってからだと記憶しておりますが発見されたという直後じゃないと思いますが、しばらく経ってからだと思います。ここから発見されたんだそうだということを行って見た記憶があります」

福地弁護人=「それは誰と行きました」

証人=「誰と行ったということも」

福地弁護人=「一人で行ったんですか」

証人=「一人で行ったことはございません。一人で仕事したことはございませんから誰か一緒です」

福地弁護人=「仕事として行ったんですね」

証人=「仕事ですね」

福地弁護人=「その二一一四丁の図面でいうと、時計が発見されたという場所は、どこら辺ですか」

証人=「こっちの方(図面に向かって左側)が畑だとすれば、畑と道路の間ですね」

福地弁護人=「時計を捨てた所ということで黒い丸がつけてありますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「そこから時計は発見されたんですか」

証人=「そこじゃなかったような気がしますね、何でも畑に入っていたように」

福地弁護人=「そこでないということですね」

証人=「弁護士さんが仰る所は道路の境でしょう」

福地弁護人=「今聞いてるのはここに黒い丸がつけてあって時計を捨てた所という具合に書いてあるでしょう、ここから発見されたという具合に記憶されているかどうかということです」

証人=「そうじゃないように記憶しております」

福地弁護人=「どこだったという記憶ですか」

証人=「畑に入っていたような記憶ですね」

福地弁護人=「この図面の中でそれを示すとすればどこら辺ですか」

証人=「左の方の畑か右の方の畑か、とにかくどっちか分かりません」

                                            *

裁判長=「そうすると捨てた所とは違うと思うと、で、その図面の上からいくと時計を捨てた所と書いてある上方または左の方」

証人=「ええ、だからこれより畑の方へ入っていたというような気がします」

裁判長=「上の方とか左の方というわけ」

証人=「はい、そうです」

                                            *

福地弁護人=「あなたが立ち会って作った調書がいっぱいあります。それには大体図面が添付してあります」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたはその図面を石川くんが書いている状態を見ていたように前回の法廷で述べましたね」

証人=「はい」

福地弁護人=「この図面の作り方についてちょっとお尋ねしますがね、これはいきなり被告人に紙を与えて書かせるんですか。それとも下書きをやらせるんですか」

証人=「図面の作成については一応石川くんが仰ったことに基づいて石川くんに書いてもらったものですが、場合によって下書きを石川くんがして、それでまた清書をしたのもあるかも知れません。全部が全部そうだとは私申し上げません」

福地弁護人=「いったん下書きをやらせたようなこともありますか」

証人=「・・・・・・下書きじゃないですね」

福地弁護人=「どういうんですか」

証人=「まあいわゆる、ごじゃごじゃと書いた場合はもう少し大きく書いてみたらどうだというようなことですね」

福地弁護人=「書き直させるわけですか」

証人=「そうですね、そういうこともあったと思います」

(続く)