アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 867

【公判調書2712丁〜】

                  「第五十二回公判調書(供述)」

証人=青木一夫(五十六歳・川越市役所臨時嘱託)

                                           *

福地弁護人=「それじゃ、最初に捜索に行った時には、最初の二.〇七五丁の図面ですね、これを持って捜しに行ったんでしょうか」

証人=「いや、その点はよく分かりません。それは捜索に行った人がいるはずですから、その人にお聞き頂きたいと思います」

福地弁護人=「あなたは分からないんですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「二.一一四丁の方の図面を見て下さい。実際に時計が発見されたのはどこだか、あなたは知っておりますか」

(二.一一四丁図面は甲、乙、丙と三種の図面が存在するが、 弁護人がどれを示したかは不明である)

証人=「発見された時に私はぽけっとこの三叉路へ連れて行かれたんです。ですから通りの傍にお茶の木がありまして、そのお茶の木の下であったことは記憶があるんですけれども、どこを通ってどういう風に行ったかということは、今でも分かりません」

福地弁護人=「この図面を見ても分かりませんか」

証人=「三叉路があって、左右に、このあれから行きますと、反対側のお茶の木の下の方に思いますが」

福地弁護人=「この図面で説明すると・・・」

証人=「『とけいをすてたところ』という文字が書いてありますが、この文字に近い場所のように思います」

福地弁護人=「あなたはここへ行ったことがあるんですね」

証人=「時計が発見になったという話がありまして、それではどこだというので見に行ったことがあります」

福地弁護人=「誰と見に行きましたか」

証人=「この時は何か暑い日のように思うんですが」

福地弁護人=「誰と行ったか記憶ないですか」

証人=「・・・・・・・・・」

福地弁護人=「時計が発見された日に見に行ったんですか」

証人=「それもその日であったか、その翌日であったか、翌々日であったかよく覚えておりません」

福地弁護人=「少し思い出して欲しいんですがね、あなたは、取調べ担当だから、警察にいつもいるわけだ。そこで誰かから連絡を受けるわけでしょう、時計が見つかったぞと。それで警察の車か何かで見に行ったんじゃないですか」

証人=「すぐに行ったかどうか、今記憶がありませんが」

福地弁護人=「時計を捨てた場所に時計は置いてあったんですか」

証人=「置いてありません」

福地弁護人=「じゃ、最後にこの時計の問題についてもう一つだけ聞いておきますが、二.一一四丁の図面で石川君が時計を捨てたところという風に書いたところは三叉路の真ん中じゃないだけども(原文ママ)、捨てたところは道路の真ん中ではありませんと、図面に書いてある通り、端っこのほうですと、そういう風に石川被告が訂正したという記憶はありませんか」

証人=「多分記憶がありませんけれどもこの図面を書いた時、この場所ですという風に書いたものと思います」

福地弁護人=「あなたは、この三叉路へ行ったのは時計が発見されてからですか、発見される前には行ってないですね」

証人=「行ってないと思います」

福地弁護人=「一応取調官として現場を見に行くということがあるんじゃないですか、主任たる取調官として」

証人=「必要のある時は参りますけれども、調べをしております時には、ほとんど私は現場らしいところには取調べに入ってからは、その都度は行っておりません。時々あとになって行ったりしたことはありますけれども、ですから今、鞄等が発見された場所につきましても私はお尋ね受けても、まるきり知りません」

福地弁護人=「あなたは先ほど、実際に時計が発見されたのは、二.一一四丁の図面に指示してあるところから反対側だという風に言いましたね」

証人=「反対側だろうと思うんです。道路の三叉路の加減が、こんな斜じゃなく、もう少し、きちんとした三叉路であったように記憶するんですが」

福地弁護人=「あなたは、一番初めは、三叉路の真ん中に時計があるはずはないという感想を抱いたわけでしょう」

証人=「はい」

福地弁護人=「ところが実際には、この三叉路から時計が発見されましたね」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたの見込みは狂ったわけだけど、当時あなたは、このことについて、どういう説明を考えましたか」

証人=「どういう説明というと」

福地弁護人=「つまりあなたは、全然ないだろうと考えていたのに、実際は時計があったわけですね」

証人=「はい。一番初めは、ないんじゃないかという風に考えましたですね」

                                            *

裁判長=「答えて下さい。そんなところにあるはずはない、日にちは経っているしね。それをやはりその近所で、とにかくそういう物が現場で発見されたということについてあなたは捜査官として、どういう解釈をしたかということです」(続く)