アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 953

写真は川越付近の公園で撮影したものだが、野良猫はこの姿勢を約十分ほど保ち続けており、私は猫が発作でも起こしているのかと心配し見守った・・・。

【公判調書2989丁〜】

                    「第五十六回公判調書(供述)」

証人=遠藤  三(かつ)・七十歳

                                            * 

福地弁護人=「石川君が川越分室に連れて来られた日にちは、いつ頃だか覚えていますか」

証人=「六月中か、ないしは六月中旬より先じゃないかと、どうもはっきりしないがまあ大体」

福地弁護人=「記録上は六月十七日ということですがね、大体あなたの記憶と一致しますね」

証人=「ああ、そうですか、私、日は分かりませんけれども大体そうじゃなかろうかなということです」

福地弁護人=「石川君と最初に会ったのは、石川君が来た六月十七日より何日くらい後でしょうか、川越分室に連れて来られた当日に会いましたか」

証人=「会いました」

福地弁護人=「その日に会っている」

証人=「会ってると思います」

福地弁護人=「六月十七日にどこで会いました」

証人=「いわゆる調べ室にあてた畳の部屋じゃなかったかという感じがするんですが」

福地弁護人=「取調室で会ったという記憶ですか」

証人=「ええ、そういう記憶です」

福地弁護人=「石川君が留置場のご飯を不味いと言って食べなくなった、そういうことがあったことを知ってますか」

証人=「ありますね」

福地弁護人=「それはいつ頃のことでしょうか」

証人=「川越分室へ行って間もなく、あるいは二、三日過ぎだか、その点はっきり記憶がございませんけれども、とにかく川越分室へ行ってから間もなくじゃなかったかというような感じがしますけれども」

福地弁護人=「間もなくだったか、または二、三日経ってから」

証人=「ええ。二、三日経ってからか、四、五日経ってからか、その点は記憶がはっきりしませんけれども、あります」

福地弁護人=「つまり一週間も十日も先じゃないという風な記憶ですか」

証人=「そうじゃないと思い、ます(原文ママ)。間もなくだったんじゃないかというような気がしますが」

福地弁護人=「石川君はなぜご飯を食べなくなったかは聞いておりますか」

証人=「あそこの留置場の看守が斉藤君だったような記憶をしておりますが、それがまあ、記憶を辿りますというと、石川君がごちそうさまでしたと言うんで、出した弁当空(原文ママ)を見るとご飯に手をつけてないというような話じゃなかったかと思いますが」

福地弁護人=「私が聞いているのは、なぜそういうことをしたのかという理由を聞いているんですがね」

証人=「それは、ご飯というか弁当箱というか、が、くさいというような話だったと思います」

福地弁護人=「石川君はそういうご飯を食べないというような行動を何日くらい続けたという記憶ですか」

証人=「・・・・・・一日か二日じゃなかったんでしょうかな、何日という記憶は私ございません。一日か二日じゃないかと思います」

福地弁護人=「ないかと思うというのはその根拠は」

証人=「と言うのは今申し上げるように斉藤君が、石川君がごちそうさまでしたと言うんで弁当箱を出す、開いて見るというと中が一杯で一つも箸を付けてない、というのが二回か三回あったんじゃなかろうかというような」

福地弁護人=「それはあなたの推測ですね」

証人=「推測です。何食伝々ということは私記憶ございませんから」

福地弁護人=「三人でやったと言っていた被告人が一人でやったという具合に供述が変わりましたね」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたが取調べに立ち会っていたんだから分かると思うんだけれども、どうしてそういう風に供述が変わったんでしょうか」

証人=「だから先ほど申し上げたように、三人でやったものであれば三人それぞれ責任分担というものがあるわけだと、いわゆる各々やった行為が自ずと変わっていくわけですな行動が。それについて自分でやった行動についての責任を負わなければならんと、三人でやったんならば三人で負わなければならんと、一人でやったんなら一人で負わなければならんという意味合いの私の話です。それで一人だということに変わったように記憶しております。あ、その前にこういうことがありましたな、名前は言えないが三人だということがあったと思います」

                                            *

山上弁護人=「石川一雄君が川越分室に移ってからは長谷部さん、青木さん、証人、で大体取調べられておるようですけれども、大体青木さんが主任で取調べたようですね」

証人=「はい」

山上弁護人=「一番上司というのは、位から言えば長谷部さんなんですか」

証人=「さようでございます」

山上弁護人=「石川君は地図をいろいろ書いているようですけれども、そばに地図があったんですか」

証人=「ないですね」

山上弁護人=「これは確実に地図がなかったと言えますか」

証人=「ありません」

山上弁護人=「長谷部さんは、本部の方にも川越分室の方にも地図があって、それを確かめて石川君に聞いたことがあるということを証言しているんですがね、どうですか」

証人=「ないですね」

山上弁護人=「長谷部さんは上司でしょう」

証人=「はい」

山上弁護人=「上司の人がここの法廷で、地図は川越分室の方にもあった、確かめながら書かせたということを証言しているけれども、あなたの記憶はどうですか」

証人=「ありません」

山上弁護人=「長谷部さんははっきり言ってますよ」

証人=「はっきり言ってるかも知れませんが私はそういうことはありません」

山上弁護人=「あなた、石川君が図面を書く時には、ほとんど立ち会ってますね」

証人=「ええ、立ち会っております。全部が全部とは申し上げませんが、ある程度タッチしております」

山上弁護人=「石川君の供述調書の本文の謄本を取ったことがあるでしょう」

証人=「はあ、取っております」

山上弁護人=「これはどうやって取るんですか」

証人=「それは写して」

山上弁護人=「見ながら書くんですか」

証人=「そうですね」

山上弁護人=「石川君が書いた地図の謄本の取り方と、本文の謄本の取り方とは違っておったんですか」

証人=「違っておったと思います。供述調書の方は今言ったように写していきます。図面も、もちろん写したことにかけては間違いございませんけれども」

山上弁護人=「地図を上から薄い紙になぞって取ったという証言が、この間ありましたね」

証人=「はい」

山上弁護人=「地図はどうしてそういう具合に上からなぞって取るんですか」

証人=「供述調書の方は字体を同じにしなくても、いろはのいの字は読めます。図面の方はそうはいかないんじゃないかと思います」

山上弁護人=「ということは、どういうことですか」

証人=「ということは同じに書けるわけがないんじゃないかと思いますが、それは何か科学的に機械でも使えばどうか分かりませんが、人間の手で同じに書けるということは私はないんじゃないかと思いますが」

山上弁護人=「図面は同じに書かなくちゃならん理由があるんですか」

証人=「別に特別に理由というものはございませんでしょうけれども、大体まあそんなような格好になっていたわけです」

山上弁護人=「あなたは図面はそういう理由で特に薄い紙で謄本を取ったことがあると、こういうことですか」

証人=「それは私自身が謄本を取ったことはございませんので、はっきりそうだということも申し上げかねますが、そういう風な状況で取っておったようだということは申し上げてあります。これも全部名前を私記憶しておりませんが、今、頭の中にあるのは清水君だとか平野君だとかいうのが、そういう面の担当をしたように記憶しております」

山上弁護人=「当時捜査にあたられた人で、警部補で遠藤というのはあなただけですか」

証人=「ほかに誰もいなかったと思いますが」

(続く)

                                            *

私の心配をよそに、結局この野良猫はシラミ取りに耽っていただけであった。

その後、まるで不審者でも見るような目付きでこちらを見つめており、猫にまでこのような扱いを受けるなんてと、私は悲しい気持ちになった。