アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 877

【公判調書2735丁〜】

                    「第五十二回公判調書(供述)」

証人=青木一夫(五十六歳・川越市役所臨時嘱託)

                                           * 

山上弁護人=「じゃ、あなたは見たようにも思うし、見ないようにも思うという程度ですね、そうですね、それで一八号を石川君に示して尋ねたことはあるのですか、ないのですか」

証人=「記憶がありませんですね」

山上弁護人=「あなたの調書の中で、石川君に喋らせておると私は思うんですが、この二六号の写真の足首というんですか、くるぶしというんですか、に巻かれている紐の結び方を詳細に石川君に供述させておる場所がありますが、やはり、この二六号の写真を参考にして聞かれたんじゃないでしょうか」

証人=「いや、そういう写真を示して聞いた記憶はありませんですね、私には」

山上弁護人=「六月二十八日付の青木さん作成の調書の第八項にこういうことがありますね、"私は善枝ちゃんの身体のうち縄で縛ったところは足だけで、その他の手とか首とかを縛ったことは覚えていませんがよく考えておきます"と、次に問として、"縛ってなくても紐をかけたような覚えはどうか"と、まあ、あなたが尋ねたことになっておる。それで"紐をかけたような覚えは"というのは、あなたの判断としてはどこに紐をかけたということで問われたんですか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

山上弁護人=「ちょっと説明しましょうか。今の尋問の前にね、つまり、紐をかけたのは、足首に紐をかけたというのは、これは六月二十八日付の調書に出ているわけですね。それに対して、あなたがもう少し別なところに紐をかけたところがないのかというご質問をなさっておられる、だから、あなたとしては何か足首のほかに紐をかけた場所を写真か何かで知っておって尋問なさったのかどうかということを知りたいわけです。分かったですか」

証人=「はい、よく分かりました。分かりましたけれども、どこかほかに紐をかけた・・・・・・・・・」

山上弁護人=「つまり、首にですよ。首に、二六号の写真のような、足首のかけ方と似た紐があったんですがね。それはあなた知っておって質問なさったのですか、どうですか」

証人=「どうでしたでしょうかな、この写真はおそらく何枚か見ていますから、これも見ていたかも知れませんね」

山上弁護人=「じゃ、二六号も見ておったんですね」

証人=「はっきり記憶がありませんが、あるいは見ておったかも知れません。この写真と、この写真は見ましたけれども、これは見ませんと今、具体的に答えられません」

山上弁護人=「二二号はどうでしょうか」

証人=「見たかも知れませんね、もう、とにかく、本当に失礼ですけれども、八年前ですからね、その時点で見たか見ないかと言われてもね」

山上弁護人=「それは分かる、だからね、写真を見せて、二二号を見たかということをお尋ねしておるわけです」

証人=「その趣旨は分かります。また私もですね、一番初め、何枚か見せられて記憶がないと申しましたけれども、パラパラと見てこの写真は記憶があると、こういう風に申し上げたわけです」

山上弁護人=「それで、さっきの尋問にかえりますが、ほかに紐をかけたところがないかという問に対して、石川君はないんだという趣旨の答をしておるわけですね」

証人=「はあ」

山上弁護人=「そこで私が聞きたいのは、二二号の写真をあなたが見ておるのであれば、こういう具合に首にかけた紐もあるのではないかということを再度聞いておるのかどうかということですね。調書には載ってませんね」

証人=「私は具体的にそういう風にこういうところへこうしたかというような質問をほとんどしていないと思うんです。ただ、今何か、ほかにかけたところはないかというような質問があるそうですけれども、そういう尋ね方はしておりますけれども、具体的にこういうところにこういう風にかけなかったかという質問はしておりません。多分しておらなかったと思います」

山上弁護人=「まあ、そう聞いておきましょう。結局二二号のように、ひこつくし様に首に巻かれておる縄、麻紐というんですか、細紐については調書に全く、警察、検事を通じて触れていないが、何か、あなたとしては触れなかった理由があるのですか」

証人=「ただいま申し上げましたように、具体的にこういうところにこういう風な状態が現われておるが、どうかというような質問はおそらくしていないと思うんです」

山上弁護人=「それから死体を芋穴のところまで運ぶ方法ですね、これは調書を見れば分かりますが、両腕で抱えて運んでおったという風に調書上なっておりますね」

証人=「はあ」

山上弁護人=「これは車で死体を運んだんではないかという尋問もなさった記憶がありませんか」

証人=「車でという記憶はございませんですね」

山上弁護人=「誰かに手伝ってもらったんじゃないかという尋問は記憶ありませんか」

証人=「あるいは、したかも知れませんですね。それは、非常に重たいと思いましたから」

山上弁護人=「それから、もう一つ聞きますが、三人でやったというときのことですよ。そのときに、入曾の男が善枝さんの写真を貼った紙を入れろという具合に石川君に教えたということになっておるですね、まあ、そういう供述があったということになっておる」

証人=「はあ」

山上弁護人=「石川君はこの善枝ちゃんの写真が貼ってあるその紙がどういうものであったかということを知っておりましたか、どうですか。身分証明書とか、そういうことを石川君知っておりましたか、どうですか」

証人=「石川君が知っておったかということですか」

山上弁護人=「うん。小学校五年もろくろく行っていない男が身分証明書なんて分かることないと思って、僕は聞くんですがね」

証人=「どうでしたかな」

山上弁護人=「分からん」

証人=「はい」

山上弁護人=「それから単独自供に二十三日以降移ったことになっておりますね」

証人=「はあ」

山上弁護人=「そこでは、誰にも教えてもらわずに身分証明書を使ったということになっておるんですがね。この点は確かめてみましたか」

証人=「どうもはっきり覚えがありませんけれども、私どもの先入観、そういったものがあったかも知れませんね。突然として出たとして、確かめてあったか、なかったか分からないですけれども」

山上弁護人=「先入観とは何ですか」

証人=「そういった身分証明書という言葉を私どもが聞いていて、そういう言葉を無意識のうちに調べの中で使ってしまったという心配はありますね」

(続く)

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これらは昨日載せた写真のバージョン違いであるが、しかしながらこの小さな生き物が人間にもたらす癒やし効果は素晴らしい。気が済むまでモフモフさせてもらい、お礼にチュールを献上したが、"ああ、とても癒されたなぁ"と脱力していた私などに目もくれず、食事が済むと丹念に身繕いを行ない、その後は陽当たりの良い草むらで昼寝に勤しむのであった。私の理想とする生活スタイルをこの方々はすでに実行しており、やはり人生の達人はひと味違うと感服したのであった。