アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 960

【公判調書3007丁〜】

                  「第五十六回公判調書(供述)」

証人=遠藤  三(かつ)・七十歳

                                            *

松本弁護人=「(原審二一四三丁の供述調書を示す)三十八年六月二十九日付の警察調書の二十一項ですかに関連致しますけれども、二一四四丁にまたがりますこの付近を見ていただきたいんですが、二一四四丁の表の、後ろから二行目『私がこの鞄を荷かけからおろしたのは鞄なんかをくっつけて自転車に乗っていると誰かに見られた時まずいと思って外したのです』それからさらに少しいったところに、『私は鞄を持って行って私が本を捨てたところへ本やその他の物が入ったまま、足で土をかっぱいで埋めようとしたが、あんまり厚みが厚いから鞄を持ち上げチャックを開いて逆さにして中の物をうんまけたのです』という表現がありますね、それから二十二項になりますと『自転車をころがして三十米くらい行って鞄を山と畑の間の深いところへ入れてその上へ藁(わら)をかけておきました。その時土はかけません』というようなことを言っているんです。その関係でいうと教科書を捨てた所と鞄を捨てた所の間の距離は三十米くらいということになっていますね。そこに、道路は越して行ったんだと、道路をまたいで行ったんだという表現は少しもありませんね、その点はどういう風に判断されましたか」

証人=「どう判断したという、判断の記憶についてはありませんな」

松本弁護人=「じゃ石川君は鞄と本の関係について、とにかく道路から見て一方の側だけに埋めたんだと、別々に道路を越してこっち側に教科書、こっち側には鞄ということを言わないで、両方とも道路の片側に捨てたんだという風に言っていたんじゃないんでしょうか」

証人=「当時、捜索に行った関係じゃなく、しばらく経ってからの話で、今のところどっち側に同じように捨てたものか、別々に捨てたものか、別々に捨てたという大体そういう供述をされた記憶でありますが、離れておったか、離れてないか、反対側だったか同じ側だったかという記憶はございません」

松本弁護人=「参考のために二二〇九丁の図面を見ていただきたいのですが

(同、二二〇九丁の図面を示す)

これは三十八年六月二十五日付検察官調書に添付されている図面ですが先ほど鞄が発見されたのは六月二十一日か二日ですけれども、数日経って二十五日の、検察官に対して石川君が作成提出したという図面、これを見ますと、山の方から行ってちょうど右側へ行ってまず本を捨て、鞄を捨てたようになっておりますね、道路の片側へ。あなたに向かってもこのような供述をしておったんじゃないんですか」

証人=「記憶ありませんなあ」

松本弁護人=「現実には本が出て来たのは二二〇九丁の図面で言うと道路をへだてた反対側、この図面で言うと左側の山の中だったんじゃないんですか」

証人=「分かりませんです、それは関さんが捜してると思います」

松本弁護人=「それでは次に別のことを聞きます。(同、二〇九一、二〇九二、二〇九三、二〇九四、二〇九五、二〇九六、一連の図面を示す)これは三十八年六月二十五日付の警察官調書の添付図面ですが、六枚の図面がありますけれども、これにはそれぞれ鉄筆で本人が書いた字の下辺りに、あるいは横付近にあらかじめ、何かの、何というんでしょうか、直接鉄筆でこの紙の上に書いた字のあと、あるいは何か薄い紙を上にひいてそれらの下にこの紙を当てて書いたような、そういう筆圧痕がありますね」

証人=「ありますね」

松本弁護人=「全部にあるんですが」

証人=「はい」

松本弁護人=「これはあるいは以前に証言されたかも知れませんけれども、そういう証言をされた記憶はありますか」

証人=「あります」

松本弁護人=「これはまあ一言だけだぶって聞きたいんですけれども、どういうことからこういう筆圧痕が生まれたんですか、理由がわかるでしょう」

証人=「これは何と言いましょうか、要するにそれぞれ謄本を作るというか写しを取った関係で」

松本弁護人=「二〇九五丁の図面を見ますと右上の方に六月二十五日石川一夫と本人が書いてますね。そして指印を押してますね、その下に別の人の筆跡で同じようなことを書いて指印として丸を書いたような、なぞったような跡がありますね」

証人=「ありますね」

松本弁護人=「謄本を作る場合にこういう風になるということはあり得ないんじゃないですか」

証人=「そんなことはないと思いますね、写しを取っていわゆる本部へやるとか、あるいは捜査関係にやったというのが、こういう風になっているんじゃないかと思いますが、当時おそらく清水君か平野君というのがそれぞれ謄本を作成しておりましたから、その人たちがこういう写し方をしたんじゃないかと思いますが」

(続く)