アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1134

『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』

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【公判調書3495丁〜】

               「第六十四回公判調書(供述)」(昭和四十七年)

証人=関口  実(四十四歳・農業)

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城口弁護人=「(原審記録第五冊一三六四丁の図面を示す)この図面の✖️1の点は何だか分かりますか」

証人=「これがカバンのあった場所ですね」

城口弁護人=「あなたの先ほど言った中向沢一二八⚫️番地というのは、同じ図面の溝に沿った道路の中央道路側の畑ですね」

証人=「ええ」

城口弁護人=「関口 実所有桑畑と書いてありますね」

証人=「ええ」

城口弁護人=「先ほどあなたが、指田さんという方の名前が挙がりましたが、指田さんの所有地はどこになりますか」

証人=「そのカバンの発見されたすぐ隣です」

城口弁護人=「カバンの発見されたところに隣接した北側の畑ですね」

証人=「はい」

城口弁護人=「それともう一人いましたね、宮岡貞男さん。この方の所有地はこの地図で大体どの辺にあるか分かりますか」

証人=「この右上角の農道の上辺り」

城口弁護人=「流山農道横の農道の中間辺り」

証人=「ええ」

城口弁護人=「あなたが先ほど数人の警官とか指田さんや宮岡さんが立っているのを見た地点はどの辺ですか」

証人=「(図面ほぼ中央の道路上、九〇.五とある数字の付近を指示した)」

城口弁護人=「その東側の桑畑とあるところはあなたの所有ではないんですか」

証人=「違います」

城口弁護人=「あなたはこの付近にほかに所有地がありますか」

証人=「ええ、あります」

城口弁護人=「それはどの畑ですか」

証人=「ここの二つです」

城口弁護人=「図面中央の小麦畑とあるところと、それの東側に縦長に隣接する桑畑、一二八⚫️番地の北側の桑畑の二カ所がこのほかに所有している分だということですね」

証人=「はい」

城口弁護人=「あなたはその畑で当日、桑の草取りをしておりませんでしたか」

証人=「・・・・・・・・・」

城口弁護人=「あなたと奥さんと長男のはるおさんと草取りをした記憶はありませんか」

証人=「カバンのあった日ですか、やってませんでしたね」

城口弁護人=「そういう記憶はあるんですか」

証人=「ええ、そうじゃないです。とにかくカバンを発見した日にはその今、畑があってその南に溝がありましたね、その溝の南に山がありましてそのちょっと南に畑があるんですけれども、そこから帰って来たような気もするんですけれども」

城口弁護人=「その畑は番地で言うと何番地ですか」

証人=「中窪の・・・・・・」

城口弁護人=「一五八⚫️番地じゃないですか」

証人=「番地は忘れました」

城口弁護人=「その畑で何をしていたんですか」

証人=「それが全然記憶ないんですけれども」

城口弁護人=「先ほど、警察官などが立っているのを見て、自らその場に行ったということになりますか」

証人=「ええ」

城口弁護人=「行った時の状況についてちょっとお尋ねしたいんですが、その時にどういう状況をあなたは目撃しましたか、現場で」

証人=「とにかくまぁ人が五、六人いてカバンがですね、掘上げられたところ・・・・・・じゃない、その、スコップか何か、その記憶は全然ないんですけれども、堀からぽっと出たというそれだけの記憶なんですけれどもねぇ」

城口弁護人=「そこに牛乳ビンなどがあったのは記憶しておりますか」

証人=「牛乳ビン確かにありましたね」

城口弁護人=「布切れは」

証人=「記憶ないですね、牛乳ビンとカバンは確かに見ました」

城口弁護人=「あなたが着いて、見たという時にはカバンが出たというのは」

証人=「着いた時もうすでに、行った瞬間はちょうどカバンが出たところだったんです。記憶にすっかり残っているんです。それと、牛乳ビンがあった、ということなんですけれども」

城口弁護人=「あなたは先ほど、調べを受けたということを仰いましたね」

証人=「はい」

城口弁護人=「その調べの内容なんですけれども、このカバンについて、カバンの発見の関係について調べを受けたことはご記憶ですか」

証人=「それは全然ありませんね」

城口弁護人=「覚えない」

証人=「はい」

城口弁護人=「はっきり思い出してもらいたいんですが、あなたの署名のあるカバンに関する調書も出来ているんですが、思い出せませんか」

証人=「はあ・・・・・・・・・カバンについての調べですか」

城口弁護人=「そういうものがあるんですが」

証人=「全然そういう記憶ないですね」

城口弁護人=「掘り上がった状態というのを見たような記憶はないですか。カバンが」

証人=「その出た、というところだけで、記憶はないですね」

城口弁護人=「そうするとその後のあれは、手で掘ったのかスコップで掘ったのかということについては」

証人=「道具なんかも全然、警察官が持っていたんだか、全然記憶ないですね」

城口弁護人=「先ほどもう記憶ないということを前提にして、カバンがぱっと見えるような状態になったところだけはっきり記憶していると、あとははっきりしないというんですか」

証人=「それだけは、カバンの向きもいくらか覚えているような気がしますね」

城口弁護人=「あなたは立ち会っている現場を一時離れたことはありませんか」

証人=「一時離れたことはないですけれども、一番先に帰りました。そういうような覚えがあるんですけれども」

城口弁護人=「それは明るいうちですか」

証人=「ええ、明るかったですね」

城口弁護人=「一時小便をするのに席を外したというようなことはありませんでしたか」

証人=「どうもそこまではちょっと分からないんですね」

城口弁護人=「指田春吉さん、宮岡貞男さんが現場にいたんですね」

証人=「ええ、そうですね」

城口弁護人=「何か話しましたか」

証人=「記憶が・・・・・・・・・」

城口弁護人=「その人たちがどうしてそこにいたかご存じですか」

証人=「どういう理由か知らないけれども、私が行った時はすでに、もういたような気があるんですけれども」

(続く)

(カバン発見現場付近。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用)