アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1136

『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』

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【公判調書3500丁〜】

               「第六十四回公判調書(供述)」(昭和四十七年)

証人=関口  実(四十四歳・農業)

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城口弁護人=「同時に見たというご証言なんですが、場所がずれてあったんじゃないんですか。カバンと牛乳ビンは」

証人=「それもやっぱり、はっきりしているというものの・・・・・・カバンの近所にあったというだけで・・・」

城口弁護人=「その発見された日、指田さんとか宮岡さん達が畑仕事をしていたかどうかについてはご記憶ありますか」

証人=「それも全然記憶ないんですけれども」

城口弁護人=「カバンを発見した日、あなたは山側の畑の方にいたというご証言もありました」

証人=「ええ、そうだと・・・・・・・・・それもはっきりは分かりませんが」

城口弁護人=「その土地は中窪という地に当たりますか」

証人=「ええ、中窪ですね」

城口弁護人=「その同じ日の昼頃に、二、三人の警官の方が現場付近を調べていたという事実はご記憶にありますか」

証人=「それもちょっとはっきりしないんですけれども」

城口弁護人=「見なかったような気もするし見たような気もする」

証人=「見たような気もするし、見ないような気もするし・・・・・・・・・」

城口弁護人=「先ほど、民間人があなたを入れて三人ということだったですね」

証人=「ええ」

城口弁護人=「もう一人、斉藤実という人がいたんですが、それはご記憶ないですか」

証人=「・・・・・・・・・」

城口弁護人=「知りませんか」

証人=「知ってますけれども、二人いるんですよ、斉藤実というのは」

城口弁護人=「どこの人ですか」

証人=「現在は勤めておりますけれどもね、その人と、菓子屋している人もいるんだね」

城口弁護人=「菓子屋している人は」

証人=「菅原町のね。その当時は自分は知らなかったですね。宮岡さんと指田さんがいたのは記憶にあるんですけれどもねぇ」

城口弁護人=「(原審記録第五冊一三九丁の写真を示す)ここにあなたの言う斉藤さんという人いますか」

証人=「ええ、いますねぇ。菓子屋をしている人ですねぇ」

城口弁護人=「左方の帽子かぶっていない人」

証人=「ええ」

城口弁護人=「あなたはこういう風に、何か下に紙があって棒でつついているような状態は知らないでしょう」

証人=「ええ、知らないですね」

城口弁護人=「巡査の関源三さん知ってますか」

証人=「知りませんね」

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宇津弁護人=「あなたは先ほど、カバンのところからは一番早く帰宅したと仰いましたね」

証人=「ええ、そういう覚えがあるような気がするんですけど」

宇津弁護人=「あなたがカバンのところに着いた時から帰り足になるまでの時間はどれくらいの記憶ですか」

証人=「十五分くらいじゃないかと・・・・・・十分くらいか・・・」

宇津弁護人=「あなた、それは誰かに断って、帰ると言って帰ったのか、帰っていいと言われたのか、何となく自分の考えで帰ったのかは、どうですか」

証人=「別にまあ、いつまで見ててもしょうがないし、関係もないことだからと思って帰ったような覚えもあるんですけれども」

宇津弁護人=「現場の警官の誰かから、このカバンが出たということの証人になってくれという言葉はかけられなかったですか」

証人=「自分はかけられなかったと思ったねぇ。それで、宮岡さんは住所と名前を書かれたような記憶があるんですけれども」

宇津弁護人=「現場で」

証人=「ええ、その時俺は帰ったような気がするんですけれども、宮岡さんが聞かれた時、自分で家にその時帰ったような」

宇津弁護人=「現場ではあなたは何か警察の人と会話でも交わしたという記憶がありますか」

証人=「なかったと思ったね」

宇津弁護人=「それから先ほど、自宅で警察の人に調べを受けたということを先ほど言いましたね」

証人=「はい」

宇津弁護人=「そのカバンが出て来たことについて聞かれているんではないんですか」

証人=「カバンのことじゃないです」

宇津弁護人=「じゃ自宅で調べを受けた内容はどういうことを聞かれたんですか」

証人=「ちょうどこの事件のあった日だとも思っているんですけれども、山にちょっと仕事に行ったもので、その行き帰りのことを聞かれた覚えがあるんです。そんな気がしているねえ」

宇津弁護人=「いつの日」

証人=「五月一日だったね」

宇津弁護人=「あなた自宅では一度だけですか、二度ですか」

証人=「一度だと思ってましたけれども」

宇津弁護人=「何人の警察官が来ましたか」

証人=「その時二人じゃなかったですか」

宇津弁護人=「その警察官の名前は覚えてますか」

証人=「覚えてませんね」

宇津弁護人=「名乗ったことは名乗ったでしょう」

証人=「そうねぇ・・・・・・」

宇津弁護人=「狭山警察の人でしたか、それとも県警の人でしたか」

証人=「それも忘れてしまいましたね」

(続く)

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○老生は公判調書を音読し、その内容を地域猫に聞かせながらこのブログを書いたりするが、この方はそれに全く反応せず、遠くを見つめたままであった。何か言っておくれよと迫るが、遠くから親子連れが不審そうに凝視していることに気付き、足跡を残さぬよう注意を払い、老生は素早く撤退した。