アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1135

『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』

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【公判調書3498丁〜】

               「第六十四回公判調書(供述)」(昭和四十七年)

証人=関口  実(四十四歳・農業)

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城口弁護人=「あなたはこの、同じ日にめがねをかけた人に、もう仕事が終わったんですかというような形で声をかけられたことはないですか」

証人=「ああそうだねぇ、そう言われてみればそういう覚えがあるような気がするね」

城口弁護人=「そのめがねをかけた方はその現場にいたかどうかは記憶ございますか」

証人=「はて・・・・・・いたかどうか忘れちゃいましたね」

城口弁護人=「声をかけられた場所は先ほどの地図の一二八⚫️番地のところではなかったですか」

証人=「そうだね・・・・・・その小麦畑と書いたところやら、じゃないかというような気がするねぇ」

城口弁護人=「中央に書いてある、あなたの所有する小麦畑というところですね」

証人=「ええ、そこのような・・・」

城口弁護人=「その時あなたは何をしておりましたか」

証人=「うーん・・・・・・・・・」

城口弁護人=「仕事が終わったのか、というような話が取り交わされたとも思うというんですが、もう、その頃であれば時間は夕方と見てよろしいわけですか」

証人=「ああ、そうだねぇ、夕方になるわけだね」

城口弁護人=「それから間もなくカバンの発見された場所にあなたが行くことがあったんじゃないですか」

証人=「そうだねぇ・・・・・・記憶ないなあ・・・・・・」

城口弁護人=「思い出せませんか」

証人=「そのめがねをかけた人に声をかけられたというのは、後だか前だかしんないけど、桑畑は、蚕があがってだから、七月中頃か八月頃だったか、その時じゃなかったかね、三人で桑畑で草を退治していたらその当時も警察官が来てねぇ、何だかんだいろいろ聞かれたような覚えもあるんですけれどもね」

城口弁護人=「三人というのは奥さんとご長男と」

証人=「ええ、そうですね」

城口弁護人=「何しろその三人で桑畑で仕事をしている時に声をかけられたことはある、そういう記憶はあると」

証人=「ええ、ちょうど休んでいる時だったね」

城口弁護人=「その日にカバンが発見されたというんではなかったんですか」

証人=「その点ははっきりしないんです」

城口弁護人=「カバンの発見された日にしっかりと頭を戻してもらいたいんですけれどもね、その三人で桑畑の仕事をしていた日のことについてですが、その日は朝からそういう桑畑の仕事をしていたんですか。その日の行動について」

証人=「さあ、忘れましたね」

城口弁護人=「桑畑の除草をするというのは一般に何月なんですか、八月とか七月とかいう遅い時期なんですか」

証人=「やりますね、やっぱり生えますから、三月頃やって、それで春の蚕があがって結局桑の長いのを切りますから、そうすると草というのは日陰がないとすぐ生えて来ますから」

城口弁護人=「それは何月頃ですか」

証人=「それも蚕が終わってだから、六月三日頃、蚕があがってその後だから七月過ぎだねぇ、家にもよりますけれども」

城口弁護人=「ちょっと大切なことなので、もう一回お聞きしたいんですが、カバンの発見された日と、三人で桑畑の仕事をした日とは同じかどうかという点ですが、今、三人のうち、ご長男と奥さんの話があったんですが、奥さんはその時いたかどうか、声をかけられた時に、めがねをかけた人に声をかけられた時に、いたかどうか、夕食の支度をすると言って家に帰ったということではなかったですか」

証人=「もう、自分としては、記憶あるのはカバンがひょっと出た、これだけで、あとはもう分からないですね、それだけはしっかり記憶にあるんですけれどもね」

城口弁護人=「カバンが出ていた状態を見たんですか」

証人=「ええ、あとのことはいろいろ、こんがらがってしまって・・・・・・」

城口弁護人=「溝の中にあったのを見たのか、溝の脇にあったのを見たのか」

証人=「溝の中ですね」

城口弁護人=「牛乳ビンは」

証人=「斜めになっていたのを記憶していますね。はっきりね」

城口弁護人=「斜めになって」

証人=「ええ」

城口弁護人=「カバンの上にありましたか、下にありましたか」

証人=「それも上か、下か分からないんですけれども、とにかく見えたね」

城口弁護人=「行った時に見えていたんですか」

証人=「ええ。もう見えてたと思ったねぇ、二つ揃ってね」

城口弁護人=「カバンと牛乳ビンが揃って見えていた」

証人=「はい」

城口弁護人=「それは、間違いなくはっきりしているんですか」

証人=「ええ、見えましたね」

城口弁護人=「そして見た結果、そこにいた警官と民間の人がカバンなどを発見したんだなぁという風に感じたわけですか」

証人=「ええ、自分は感じましたね」

(続く)

(発見されたカバン)

(カバンとともに見つかった牛乳ビン。写真は二点とも"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用)