アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1133

近所の公園でフテ寝していた方がいたので私は問いかけた。「あなたは狭山事件を知っていますか?」

すると、彼は身を起こし狭山市方面を眺めた。

どうやら、思案に耽っている模様だが・・・。

深い眠りに入った・・・。

このあと、いくら問いかけても反応はない。

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『原文を読みやすくするために、句読点をつけたり、漢字にルビをふったり、中見出しを入れたり、漢字を仮名書きにしたり、行をかえたり、該当する図面や写真を添付した箇所があるが、中身は正確である』

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【公判調書3491丁〜】

               「第六十四回公判調書(供述)」(昭和四十七年)

証人=関口  実(四十四歳・農業)

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裁判長=「今、あなたの住んでいる狭山八-二⚫️にはいつ頃から住んでいるのですか」

証人=「生まれたのが昭和三年九月三十日ですから」

裁判長=「生まれた時からそこにいる」

証人=「そうです」

裁判長=「家が変わったことはないですね」

証人=「ないです」

裁判長=「先祖代々の農家」

証人=「はい」

裁判長=「あなたの家ではどれくらい耕していますか」

証人=「一町七畝です」

裁判長=「昭和三十八年頃も」

証人=「ええ」

裁判長=「その頃は主に何を作っていましたか」

証人=「主に麦と田んぼです」

裁判長=「今は」

証人=「今は変わってお茶とか、野菜に転換しました」

裁判長=「あなたは石川一雄の事件というのを知っていますか」

証人=「はい大体」

裁判長=「今まで警察官、あるいは検事とかそういう方面の取調べを受けたことはありますか」

証人=「はい。一回か・・・・・・」

裁判長=「どこで調べられた」

証人=「家のせがれが石川君と同級生とかで」

裁判長=「いつ頃どこで」

証人=「忘れました」

裁判長=「それではこの石川一雄の事件はいつ頃起こったかは大体覚えていますか」

証人=「三十九年ですか・・・」

裁判長=「あなたがさっき警察に調べられたとか言ったのはその頃ですか」

証人=「はい」

裁判長=「何回ぐらい」

証人=「二回くらいだとも思います」

裁判長=「場所は警察でですか」

証人=「場所は家です」

裁判長=「警察官のほうで二回ぐらい来て、あなた、調べられた」

証人=「はい」

裁判長=「調べられたのを書かれて名前を書き判を押したというようなことはあるの」

証人=「ありませんね」

裁判長=「聞かれただけ」

証人=「聞かれただけと思います」

裁判長=「そのほかに検察庁で検事さんに聞かれたということはありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「その事件ではこれだけ」

証人=「はい」

裁判長=「あなたの家の人では」

証人=「家の人では"はるお"がちょっと」

裁判長=「息子さんのはるおさんが石川と同級生だった」

証人=「同学年か、何かね」

裁判長=「小学校で」

証人=「小学校か・・・・・・中学かはっきりしませんが」

                                            *

城口弁護人=「先ほど裁判長から中田善枝さんの事件についてお尋ねがあったけれども、事件は三十八年の五月にあったんですね」

証人=「ああ・・・・・・」

城口弁護人=「それを起点にして思い出して頂きたいんですが、この事件の関係でカバンが発見されているわけなんですが、あなたはそのカバンの関係で何か立ち会ったとかいう事実がありますか」

証人=「はい、あります」

城口弁護人=「時期がはっきりしないようですが、いつ頃というご記憶ですか」

証人=「白いシャツを着てたもので、だから大概夏頃だと思います」

城口弁護人=「たとえば六月、七月だという風に月を限ることは出来ますか」

証人=「六月か、七月か春のちょっと過ぎた時期だと思います」

城口弁護人=「事件が起きてからすぐという感じですか。ひと月くらい経ってとか、ふた月くらい経ってとか、そういう時期は」

証人=「二ヶ月くらい経ってたんじゃないかと思いますね」

城口弁護人=「その立ち会った時刻は何時頃とご記憶されてましょうか」

証人=「ちょっと記憶ないんです、全然」

城口弁護人=「昼頃とか三時半とか、夕方とか、そういう風に分けたらどうですか」

証人=「まあ、三時か・・・、正午じゃないですね、午後の中間か、午前の中間か・・・・・・」

城口弁護人=「日の暮れる直前であるというようなご記憶はどうですか」

証人=「そうですね・・・・・・全然覚えがないんですが」

城口弁護人=「今のご証言では、ずっとまだ日が明るかったというような・・・」

証人=「まだ日は確かに明るかったですね」

城口弁護人=「それが暗くなって、どうのこうのという記憶はどうですか」

証人=「それは全然なかったです」

城口弁護人=「カバンの発見されたことについて立ち会ったというんですが、何かこれは警察とか、その他の捜査機関のほうから頼まれて立ち会ったとかいうことがあったんですか」

証人=「そういうことはありません」

城口弁護人=「自分から何か見に行ったとか、何かあって通りかかって見たとかというのはどうですか」

証人=「そうです」

城口弁護人=「任意に行ったということですね」

証人=「ええ」

城口弁護人=「どういう機会にその現場に行ったわけですか。何をその時してたのか。通りかかったのか」

証人=「自転車だったか何かで、畑の場所がえだか何かして、今で言う、私たちの言葉で言う"にばい山"の向こうの畑がありまして、そこの畑から降りて来たような・・・・・・」

城口弁護人=「にばい山ですか」

証人=「ええ、今は狭山市の住宅公団があるんですが」

城口弁護人=「あなたはカバンが発見されたとするところは現在も分かりますか」

証人=「ええ、行ってみれば大体分かります」

城口弁護人=「あなたその時、その近くに人が何人か立っているのを見たというようなことがありましたか」

証人=「ええ、ありました」

城口弁護人=「それがきっかけで現場に行ったんですか」

証人=「ええ、そうです」

城口弁護人=「その人というのは何人くらいだったというご記憶ですか」

証人=「六名くらい居たと思いましたね」

城口弁護人=「それは警察の方だけですか、それとも一般の、民間の人もおりましたか」

証人=「おりました」

城口弁護人=「警察の方は何人くらい」

証人=「四名くらいじゃないかと思いますね」

城口弁護人=「それで、民間の人は」

証人=「三名居たと思ったんですけど」

城口弁護人=「あなたのお知り合いの方でもおりましたか、その中に」

証人=「ええ」

城口弁護人=「どういう人を記憶していますか」

証人=「宮岡貞男ですね、それと指田春吉さんですね。そのあと私が見に行ったわけです」

城口弁護人=「そうすると民間の人は」

証人=「自分も入れて三人です」

城口弁護人=「もう一人、斉藤さんという方を見たことありませんか」

証人=「・・・・・・・・・見ませんでしたね」

城口弁護人=「民間の人は結局三人だけで、あとは警察官ですか」

証人=「はい」

城口弁護人=「それとも新聞記者とか、その他の関係者が近くにいたとか、現場にいたとかいうことはないですか」

証人=「おそらく警察官だけだと思ったんですけどね」

城口弁護人=「あなたがその人たちを見かけた場所なんですが、その場所はあなたの畑には関係ないですか」

証人=「関係ないです」

城口弁護人=「現場のすぐ傍にあなたの所有地がありますね」

証人=「ええ、あります」

城口弁護人=「番地分かりますか」

証人=「・・・・・・・・・」

城口弁護人=「入間川字中向沢一二八⚫️番地」

証人=「ええ、そうです」

(続く)

(カバンを溝から掘り出す捜査員。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用)