アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 491

【公判調書1601丁〜】

「現場足跡は偽造された」                                植木敬夫

二、足跡採取の怪

(五)、『ここまで考えたとき、われわれは次のような重要な事実を指摘しておかないわけにはいかない。それは、この実況見分調書は、足跡について誤りながら、驚くことには、足跡自身の状況についても、足跡のあった場所の状況についても写真がなく、あるのは、ただ足跡があったという場所の遠景写真のみである、という事実である。

これは、この調書の書類形式上、もっとも奇怪な部分であり、明らかに捜査当局の普通のやり方とは違うのである。

誰でも知っているように、犯行現場に犯人の足跡が発見されたら、それがなぜ犯人のものと思われるかの状況を調書に記載するのみならず、その足跡自体を写真に撮影し、第三者にその状況を直接認識し得るようにするのが正常なやり方である。それを、足跡のあったという場所の遠景写真だけを添付するとは、まったく奇怪なやり方である。実際に、このとき見分者が足跡自体の写真を撮らなかったとすれば、そのこと自体、重大な問題である。もしも、実際には足跡の写真を撮ったのに、それをわざと添付しなかったとすれば、それは一層重大な問題である。

ところがこの調書をみると、どうやら、これは右の後者の場合のようである。何故ならこの調書の中には、第一の足跡についても、第二、第三の足跡についても写真を撮影したとはっきり書いてある。第一のものについては「足跡一ヶが認められたので写真撮影した」と書いてあり、第二、第三のものについては、足跡が「二ヶ所あったので写真撮影した後見尺をなす」と書いてある。この記載はどう見ても、足跡のあった場所附近の遠景写真を撮ったという意味ではない。そうすると、実際に撮った写真が警察によって隠されてしまったことになる。

なぜ、こんなことをしたのか。捜査の目的と性格を念頭におき、本件の足跡に関する以上のような情況に照らして考えると、われわれには、これは、見分者が「被疑者の印象」したものとした足跡が、「被疑者」のものであることの根拠がないことを隠蔽するためであるとしか、考えようがないのである』

*次回、(六)に続く。