アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 1210

    ○読み進めている公判調書の3700丁付近から、その内容が被害者宅に届けられた脅迫状を書いたのは石川一雄被告であるかどうかという点について、弁護側がその道の権威ある人物等に鑑定を依頼し、被告の識字能力では脅迫状の執筆は不可能であるとの結論を得、第二審での無罪判決獲得へと挑んでいるところである。

    そこでの鑑定は、実際に被害者宅に届けられた脅迫状と、石川一雄被告が書いた上申書、及び脅迫状を手本に練習させられたのちに書かされた調書が鑑定資料となっている。

    こういった方法、つまり捜査当局側と弁護側がそれぞれ依頼した鑑定人らによる結論をぶつけ合い、それを判事が判定するという図式でしか、被告人が脅迫状の執筆者すなわち犯人か否かを認定する方法はないのだろうと思っていた。 

    ところで昨今、アメリカでは数十年前に起きた未解決事件での犯人を特定し、いくつかの事件の解決に成功しているという事案が報道されているのを老生は目にした。

   この情報を読むと、要するに犯行現場、あるいは被害者に付着したDNA=遺伝子を追跡し、この遺伝子系譜を辿り、親、兄弟、親戚等を調査し、証拠物であるDNA=遺伝子と合致する人物をあぶり出し特定するという手法のようだ。

    遺伝子による犯人の特定は、とてもその過程に無駄がなく直結的であり、なにより無関係な第三者を巻き込まずに済む。この手法はその確度からして、もしかすると現行犯逮捕に匹敵、あるいはそれを上回る確実性を誇れるかも知れない。

   「遺伝子系譜学理論」と呼ばれるこれを狭山事件再審請求に持ち込んではどうであろうか。犯行時における証拠物となるDNA=遺伝子をアメリカの専門機関に提出しなければならない以上、これは検察が保管する証拠品の全面開示が必須となるが、事件の物証である脅迫状、万年筆や鞄にわずかでも犯人のDNAが残留していれば容疑者の特定は可能であることはアメリカの捜査機関が証明済みなのだ。

  前述したアメリカでの「遺伝子系譜学理論」に基づいた捜査による犯人の特定については、その特定された人物がすでに亡くなっているケースがやや多い。本件狭山事件の犯人も、その事件発生時から現在への時間経過を考えると存命している可能性はないだろうが、少なくとも犯人を特定することにより石川一雄被告が事件とは無関係であったことは証明されるのである。

   しかし犯行現場または被害者に残留していた、誰のものか持ち主の分からぬDNAを追跡調査し、血縁関係者に辿り着くまでの過程を考えると、これもえらく時間がかかりそうな上、日本においては人権団体が騒ぎ出すことは間違いなく、この狭山事件の先行きは全く読めないところである。