アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 828

【公判調書2558丁〜】

                     「第五十回公判調書(供述)」

証人=将田政二(五十七歳・自動車教習所管理者)

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橋本弁護人=「死体に付着しておった荒縄がありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「この荒縄の出所について捜査をしましたね」

証人=「しました」

橋本弁護人=「その捜査について責任者というのはあるんですか。荒縄の捜査については将田警視が責任を取るとか、最高責任者とか、そういう意味の分担はあるんですか」

証人=「いや、そういう意味の分担を私は負っておりません。あくまでも捜査本部の全般的なあれですから」

橋本弁護人=「当時の被疑者の取調べに当たる者は誰と、そういう分担はあるわけでしょう」

証人=「ええ、ございます」

橋本弁護人=「そういう風に被疑者に直接当たって被疑者から調書を取るという人達と、それ以外の、主として物の出所とか、それからアリバイ関係とか、そういう方面の捜査を担当する人達と分かれて(以下写真へ続く)

(続く)

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以下三点の写真は、荒縄が張ってあったとされる民家の状況である(狭山事件公判調書資料より) 。

裁判ではこの民家に住む住人を法廷に呼び、荒縄が無くなっていたという事実について触れているが、では捜査当局がその付近における足跡捜査を行なったかどうかとなると、それは不明である(と思う)。

この狭山事件では、警察が石川一雄被告が犯人だと断定するその根拠の一つに足跡鑑定があり、しかしその足跡は身代金受渡し場所となった佐野屋横の畑から採取した足跡痕だけで通しているのである。万全を期するならば当局は、彼等が主張する石川被告の犯行当日の行動過程全てにおいて足跡、指紋、ルミノール反応検査、煙草の吸いがら等の採取など、徹底した捜査をすべきであったと思われるが、そこまで緻密に捜査した場合、石川被告は警察の考える犯人像とは大幅にかけ離れてゆくこととなり、この程度のゆるい捜査となったのであろう。