アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 821

【公判調書2537丁〜】

                  「第四十九回公判調書(供述)」

証人=岸田政司

                                           *

橋本弁護人=「鑑定資料を用いて足跡の採取実験をしましたね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「現場の土を持って来て採取実験をしたことがありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「石川被告に地下足袋を履かせて現場の土の上を歩かせたことはありませんでしたか」

証人=「ないと思います」

橋本弁護人=「鑑定書ではないようですね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「それには何か理由があるのですか」

証人=「別に理由はありません」

橋本弁護人=「狭山警察署に出向いて石川被告を歩かせて足跡を採取しましたね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「その際なぜ現場の土を用いて採取しなかったのですか」

証人=「私の方では、現場の泥あるいは砂土とか壌土とか油土とかいろいろの土で対照資料を採取したわけですけれども、それはいろいろな傾向をとるために採取したのですから、現場の土で本人の足跡を採取しなかったということに別に意味はありません」

                                            *

裁判長=「被告人に地下足袋を履かせて現場から取った土の上を歩かせて足跡を印象させたことがあるかどうかは知っているのですか」

証人=「知っています。私は立会いましたから」

裁判長=「それと今あなたが答えたこととはどうなるのですか」

証人=「砂土と油土という粘土を狭山警察署に持って行って足跡を採取したわけですけれども、どうして現場の土も一緒に持って行ってやらなかったかということを聞いているのだろうと思いますが、私の方は現場の土であろうとほかの土であろうと対照足跡をいろいろの土で取って傾向を見ただけですからそんな意味はない、ということを言ったわけです」

裁判長=「現場の土で足跡を採取すれば一番手っ取り早いのではないですか」

証人=「そういうことを私の方では全然考慮していませんでした」

                                            *

橋本弁護人=「鑑定書を見ると、現場の土を持って来てそれから足跡を採取したがその時は加藤技師に地下足袋を履かせて採取した、となっていますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「現場の土で採取実験をしたのだから、それならば現場の土を使い被告人に地下足袋を履かせて採取実験をすればなお一層真実に近いものが発見出来たのではないのですか」

証人=「現場の土で足跡を取る場合でも、本人にやってもらわないで加藤技師に履かせてやっても大体同じような傾向が出るだろうということで、本人に履かせて採取しなかったことについては何の意味もありません。本人にやらせることは考えていませんでした」

                                            *

裁判長=「足跡鑑定を依頼されたとき、これとこれを対照しろということを言われたのですね」

証人=「はい」

裁判長=「そういう場合に、被疑者本人に履かせて足跡を採取すれば一番わかりやすいということで、本人に履かせて足跡を採取するということはあるのですか」

証人=「あります」

裁判長=「本件の場合、本人に履かせて足跡を取ってみることも正確を期するための一つの材料になるかも知れないが、どうしてやらなかったのですか」

証人=「その時は、その現場の土がまだ手元に来なかったのではないかと思います。その点ちょっと忘れましたが、多分入手出来なかったからやらなかったと思います。入手していればきっとやったと思います。それに私の方ではそれほど強い関心もなく、いろいろの泥で対照足跡を取ったということは、一つの泥でやって間違いが起こってはいけないのでいろいろの泥で加藤技師に履かせてやったわけです」

裁判長=「鑑定を依頼されたのは五月二十三日ですね」

証人=「はい」

裁判長=「それは第一次逮捕の際で、そういう時期にあなたの方では、事件の被疑者に直接なるかどうかわからない、そういう者に履かせてまでやるという出過ぎたことはできない、という考えで躊躇する場合もあるかも知れないし、そうではなくて、もっと段階が進んでもっと正確を期したいということで履かせてやるのが一番いいのではないかと考えてそうする場合があるかも知れないが、この場合はどういう考えでやらなかったのですか」

証人=「私の方では現場の泥を入手することが間に合わなかったということがあるのではないかと思います。ですから、現場の土でやることは出来なかったと思います」

(続く)

                                            *

本文とは関連性が薄いが、私は十数年前から狭山事件に関する書籍を集めるようになった。これは単純に事件に対する興味からである。

たとえばこの本だが、BOOK-OFFにて税込み¥868で購入した。

事件の祟りにより写真が暗いが、購入時のレシートを見ると2015/02/12(木)16:23、確かに税込み¥868で購入している。う〜む約八年前か。

現在、Amazon辺りではこんな本に五千円もの値が付けられているが、内容を知ればこの本に出せる額は千円以下であろう。

五千円あれば某図書館の郷土資料室に並ぶ狭山事件公判調書を数百頁コピー出来る。

真剣に事件を知ろうとするならば、お金は公判調書のコピー代に回したほうが良い。