アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 827

(写真三点は連続している。上中下→左中右)

(この雑木林のどこかに掘立て小屋があったと思われる。写真は狭山事件公判調書資料より)

【公判調書2556丁〜】

                   「第五十回公判調書(供述)」

証人=将田政二(五十七歳・自動車教習所管理者)

                                            *

橋本弁護人=「この山の中に大きな穴のあることを気が付きましたか」

証人=「・・・・・・大きな穴というのは記憶に残っておりません」

橋本弁護人=「この林の中、その付近に荒縄が落ちているということには気付きませんでしたか」

証人=「荒縄のありましたのは茶の木畑にいっぱい何か荒縄が敷いてあった記憶があります。それ肥料か何かに敷いたと思われる荒縄ですが」

橋本弁護人=「茶畑の中ですね」

証人=「はい、茶畑です」

橋本弁護人=「林の中はどうですか」

証人=「現在の記憶でははっきりしません」

橋本弁護人=「掘立て小屋の話に戻りますけれども、この掘立て小屋の中に新聞報道によりますと草刈り鎌、荒縄、エロ雑誌、ヌード写真、自動車運転免許証申請の法令集、ペン習字帳、絵本、こんな物が入っていると、そして荒縄と草刈り鎌については捜査本部員が本部に持ち帰ったと、こういう記事があるんですが、記憶ありませんか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

橋本弁護人=「あなたが仰ったのは雑誌とペン習字練習帳を思い出して頂いたわけですが、そのほかに草刈り鎌、荒縄、それからヌード写真、自動車運転免許申請の法令集、そういった物もあったと、そういう物については」

証人=「自動車運転法令集はあったような気がします」

橋本弁護人=「荒縄と草刈り鎌はどうですか」

証人=「ちょっとはっきりしません」

橋本弁護人=「新聞記事ではこの荒縄と草刈り鎌に焦点を当てておるようですが」

証人=「捜査の焦点を当てたとあるんですか」

橋本弁護人=「捜査じゃなくて記事の焦点はですね、この荒縄と草刈り鎌は本部員が持ち帰ったと書いてあるんですよ、ですからこれが一番重要な物だという考えがあったんでしょうね。そういう事実をあなたは見聞していないですか」

証人=「どうも記憶がはっきりしておりません」

橋本弁護人=「あなたの担当したのは外部捜査でしたね」

証人=「私の担当は担当本庁への連絡が主であります、捜査本部におりまして」

橋本弁護人=「先ほど裁判所から聞かれた前回のあなたの証言の中で、あなたは主として外部捜査を担当したと、こういう証言がありますが」

証人=「いや、捜査本部におきまして私は刑事部長を補佐してまして、当時狭山署長鑑識課長というものがおりました。そうした者たちの捜査の指揮にあたりました。外部捜査、あるいはどれの捜査という一つの分担を担当したことはございません、全般的な捜査の指揮にあたりました」

橋本弁護人=「その捜査の指揮にあたるというのは具体的にどういうことを指すんですか」

証人=「その日の捜査結果の報告を受けまして、その捜査結果の報告に基づきまして捜査方針を立てて次の捜査を指示するということです」

橋本弁護人=「そうするとその日の捜査結果は全部あなたの所に報告されてくるわけですか」

証人=「捜査結果は幹部が全部一緒に聞いております。各班に分かれておりまして班の班長が捜査員から全部捜査の報告を受けましてそれを幹部に、自分が受けた報告を我々に報告するわけです。ですから全部が聞いてるわけです」

橋本弁護人=「そうすると班は四つありましたね」

証人=「はい、四つございます」

橋本弁護人=「四つの班の四人の班長から幹部が報告を受けた」

証人=「はい」

橋本弁護人=「その幹部というのは何人ぐらい、どういう範囲の幹部というんですか」

証人=「刑事部長、鑑識課長、狭山署長、私に長谷部調査官、この五名でございます」

橋本弁護人=「この五人の方が最高幹部ということになるわけですか」

証人=「ええ、そうでございます。事実上の」

橋本弁護人=「そうすると仮にその日の報告を全部受けて次の新しい捜査方針を下命するわけですね、部下に」

証人=「そうでございます」

橋本弁護人=「捜査方針を部下に伝えるにあたってその捜査方針については五人の幹部が常に相談をするんですか」

証人=「五人の幹部と班長四名ですか警部を交えたところで検討しまして捜査方針を立てておりました」

橋本弁護人=「そうすると九人の人で検討するということになるわけですか」

証人=「はい、場合によっては係長あたりも行きますし」

橋本弁護人=「あなた独断で何か捜査を命ずるということはないんですか」

証人=「独断でということはございません」

橋本弁護人=「つまりあなた一人の判断でこういう事実を調べて来いというような命令を出すことはないんですか」

証人=「ございません」

橋本弁護人=「ほかの幹部の方もそれは同じなんですか」

証人=「同じでございます」

橋本弁護人=「そうすると命令を出す場合には常に幹部間で協議をしてそれで出すと」

証人=「はい」

(続く)