アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 826

(写真は狭山事件公判調書資料より)

【公判調書2553丁〜】

                   「第五十回公判調書(供述)」

証人=将田政二(五十七歳・自動車教習所管理者)

                                           *

橋本弁護人=「その山の中で掘立て小屋とか草刈鎌を見つけたということが新聞報道にあるんですが、そういう事実はあるんですか」

証人=「何か雑誌を見つけたという報告はありました」

橋本弁護人=「どんな雑誌でしょうか」

証人=「今ちょっと内容私は記憶薄れまして」

橋本弁護人=「それを見つけたのはあなたではないんですか」

証人=「私ではございません」

橋本弁護人=「どなたでしょうか」

証人=「捜査員も大勢おりましたので誰が見つけたというのはちょっとあれですが、その確認には青木警部がやったような気がしますが、あるいは書類と違っていましたら私の記憶違いでございます」

橋本弁護人=「あなたがその山に行った時には何か見つけたんですか」

証人=「私は何も見つけておりません」

橋本弁護人=「何のために山に行ったわけですか」

証人=「報告に基づきまして、報告の状況を確かめるためでございます」

橋本弁護人=「この事件で殺害現場と言われているのが四本杉という雑木林でしょう」

証人=「はい」

橋本弁護人=「それから、その他の証拠物が出たとされておる例えば自転車のゴム紐ですね、これも雑木林の中でしたね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「ですからあなたはこういう山の中に行ったことがあるかと、こういう質問です」

証人=「はい、行ったことがあります」

橋本弁護人=「それで先ほどの答えでは死体発見現場付近の山と言いますといわゆる殺害現場の山になりますけれども、四本杉のあるあの山に行ったことはありますか」

証人=「はい」

橋本弁護人=「そしてその山に行った目的は報告の現場を確かめに行った、こういうことなんですね」

証人=「そうでございます」

橋本弁護人=「その報告というのはどういう報告を受けてそれを確かめるために行かれたのかということです」

証人=「まず二通りに分かれるわけでございますが、第一は死体の発見現場、これ私、県警本部に戻っておりまして見ておりませんので、その後に案内されてここでこのように死体が発掘されたという確認と、それから被告の自供に基づいて四本杉の所が殺害現場だということで、その連絡を受けましたのでその状況を見ています」

橋本弁護人=「何かを捜すために山の中に入ったということはないんですか」

証人=「ございません」

橋本弁護人=「そうすると、そういう山の中にあなたが入ったという回数は何回ぐらいになるんですか」

証人=「はっきり何回と断定は出来ませんが、一人で入ったことはありません。当時の本部長であります上田本部長の随行で二回ぐらい山を歩いた記憶はございます。あと警部の案内で三、四回ございますね」

橋本弁護人=「その随行で二回案内されて、三、四回ですね。出掛けて行った山というのはどの山ですか」

証人=「あの付近一帯でございます」

橋本弁護人=「あの付近と言いますと四本杉と言われる付近ですか」

証人=「ええ、そうでございます」

橋本弁護人=「先ほど雑誌が山の中で見つかったと言いましたね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「あなたの記憶では雑誌だけですか。雑誌とか草刈り鎌とかペン習字帳、そういった物が一緒に見つかったんじゃないんですか」

証人=「今はっきり私の記憶に残っていますのは雑誌、ペン習字帳というような物でございます」

橋本弁護人=「それからその山の中に山小屋と言うんですか、掘立て小屋と言うんですか、があったという報告を受けた事実はありますか」

証人=「ええ、それはその山小屋の中じゃなかったでしょうか、その雑誌や何かが発見されたのは」

橋本弁護人=「そういう事実はあるんですね」

証人=「ええ。これは青木警部に、誰が作って誰がその雑誌類を捨てたかという捜査をさせた記憶がございます。で、作った者も捨てた者も今記憶にございませんが、はっきりしたと思います」

橋本弁護人=「詳しいことは青木一夫警部に聞けば分かるということになりますね」

証人=「本人がどの程度記憶に残っているか知りませんが、私の記憶では青木警部がその雑誌の山小屋が誰がいつ頃建てたか、それから雑誌類は炭俵か何かに入れて捨てていたという人がいたような確認されたような記憶がございますが」

橋本弁護人=「そうすると掘立て小屋を建てた人が誰かが分かったんですか」

証人=「分かりました。今記憶にございませんが」

橋本弁護人=「それからペン習字帳はどうですか」

証人=「これがですね、現時点の記憶ではペン習字帳、雑誌とも一緒に炭俵の中へ入れて捨ててたかどうかという点までは記憶にございません」

橋本弁護人=「そしてその雑誌を捨てた人と掘立て小屋を建てた人は同一人ですか」

証人=「違うと思います」

橋本弁護人=「それから掘立て小屋を建てた目的については分かりましたか」

証人=「子供の遊び場に作ったというような記憶がございますが断定出来かねます」

橋本弁護人=「その掘立て小屋のあった場所はどの辺か指摘出来ますか」

証人=「地図の上で見ただけで、私その山小屋には行っておりませんので断定しかねます」

橋本弁護人=「どの付近ということは聞いておりますか。この本件のたとえば死体発見現場とか殺害現場とか、鞄が発見された場所がありますね。そういう場所から見るといずれの場所に一番近いでしょうか」

証人=「死体発見現場と佐野屋の所へ出て来る、こう三角点の頂点あたりの付近ではなかったかと記憶しておりますが」

橋本弁護人=「で、そういう報告を受けたのはいつ頃ですか、時期は」

証人=「・・・・・・・・・」

橋本弁護人=「石川被告人が逮捕される前と後に分ければどちらになりますか」

証人=「・・・・・・前のような記憶が・・・・・・」

橋本弁護人=「逮捕の前ですね」

証人=「そう念を押されますと記憶がはっきりしませんが、私の現時点の記憶では逮捕の前のような気がしています」

橋本弁護人=「で、その報告に接してあなた自身はその現場を確認には行かなかったんですか」

証人=「ええ、山小屋には行っておりません」

橋本弁護人=「死体発見現場付近のいわゆる四本杉と言われる林の中に入ったことはあるんですね、何回か」

証人=「ええ、入っております」

(続く)