アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 489

【公判調書1599丁〜】

「現場足跡は偽造された」                                植木敬夫

二、足跡採取の怪

(四)、『発見した足跡の数が少なかったという問題は、これで解決した。しかし、問題はその先にある。現場の状況が右のようであったのに、見分者はどうやって特定の足跡を犯人のものと認識したか、という問題である。前に見たように、状況上一番発見しやすいと思われる、犯人の潜んでいた場所を見分者は確認していないのである。したがって調書記載の犯人の足跡を、右の地点との関連で説明することはもちろんできない相談である。

では、他に何か資料があったのであろうか。調書上なにも資料がない。大体この段階では、捜査官はどこの誰が犯人で、犯人がどんな履物をはいてきたかも知らないのであるから、特定の足跡を犯人のものと考えるには、そのように推定できる客観的状況がなければならない。しかし、調書にはそのことについての説明は一切ないのである。というよりは、その認定には、むしろ根拠がまったくないことを調書の記載は物語っているのである。

第一の足跡については、それがどんな履物の跡であるか、鮮明なものであったかなかったか。これらについて調書は一切書いていない。しかし、この足跡は石膏で採取しなかった(採取したという証拠がどこにもないから)のであるから、不鮮明であったことには間違いないであろう。履物の種類も書いていないところを見ると、第二、第三の足跡にはそれが一応書いてあるのだから、この足跡はそれも不鮮明だったと考える他はない。とすれ、ばそれがどうして犯人のものと「思われ」たのか、まったく不思議な話ではないか』

(次回、“第二、第三の足跡”に続く)