アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 447

【公判調書1495丁〜】

ここには被告人石川一雄による二通の「弁護人選任届」が提出され、そこには大阪市北区、弁護人=和島岩吉という名前が見られ、次いで神奈川県茅ヶ崎市、弁護士=岡崎一夫(東京弁護士会所属)という名前が記載されている。今後、被告人の弁護にどう関わっていくのか、この二名の弁護士を記憶に留めておこう。

調書1496丁に進むと「電話聴取書」なるものが記載されてており、これを引用してみたい。

                               『電話聴取書』

受信年月日=昭和四十四年三月十一日午前十時〇分。

あて先=東京高等裁判所第四刑事部

事件番号=昭和三十九年(う)第八六一号

件名=強盗殺人等

発信者=東京大学医学部法医学教室 教授 三木敏行

受信者=裁判所書記官 飯塚 樹

被告人=一夫こと石川一雄

                                    要旨 

『右事件につき、昭和四十三年十二月四日付鑑定人推薦人依頼書に対し、同月十八日付書面をもって、当大学の異常事態のため当教室教官は鑑定を引き受けかねる旨の回答をしたところ、更に当教授に対し右鑑定を引き受けられるかどうかにつき照会があったので、次のとおり回答する。

その後当大学の異常事態は好転したところがあるので、明確な回答はできないけれども、現在の見通しとしては、本年五月になれば右鑑定を引き受けられる可能性があるものと考える』                          以下余白

*受信年月日が昭和四十四三月十一日とあり、“東京大学の異常事態は好転したところがある”と語られているが、ややっ、依頼されてから三ヶ月近くも経っての回答か。この三ヶ月は日本の事件史において密度が濃い。狭山事件第二審と東大紛争が同時期に進行中、両問題を完膚なきまで吹き飛ばす府中三億円強奪事件が発生、事件マニアの老生は嬉しくて気が狂いそうである。

(写真は事件発生現場。左側の壁は府中刑務所)

奇遇であるが本日は十二月十日。今から五十四年前の今日、素晴らしき三億円強奪事件は起こった。酔いにまかせ老生の推理を述べよう。犯人は競馬ファンであり、車での競馬場への行き帰り、渋滞する道中に事件の対象となる信託銀行が目に入る。ここら辺りからの推理は平塚八兵衛と一緒である。競馬は好きだが、DIYはどうだったか。残された偽装白バイを見るとその技術は稚拙である。しかし結果として犯人は三億円を得る。が、この金はほぼ競馬に費やしたと思われる。そして実行犯はすでに亡くなっているだろう。まだまだアナログな時代であったゆえ、当該社会の少し先を読み、すぐ実行し最善を尽くせば、割と誰もが実行可能な犯罪だったと考えるが・・・。とは言えこの事件の実行犯は老生にとってヒーローであることは間違いなく、思い出すたび、感服のひとことに尽きるのである。

(逃走用の車両が発見された場所。ここはインパクトがかなり強い。以前、この団地を訪れた時、事件当時と変わりない景色を目にし、老生の脳は快楽物質ドーパミンやその類いの覚醒物質がドバドバと溢れ出し、小便が漏れそうであった。この心境をスマホで検索したところ、“犯罪傾向かなり高め”と表示された)