【公判調書1484丁〜】
*裁判記録を読み度々思うことがある。言うまでもなくそれは分かりづらいという事だ。瑣末なことであるが、宛名より先に差出人の名が記され、それが許されている事実は理解出来ない。今回引用する調書は一般常識に照らし文言の順序を入れ替えてある。
東京大学医学部法医学教室 主任教授 三木敏行 殿
鑑定人推薦依頼書
当裁判所に係属審理中の被告人石川一雄に対する強盗殺人等被告事件の審理上必要なため左記事項の鑑定をすることに決定しましたので、貴教室の教官のうち、左記鑑定に適当な方を御推薦願いたく、なお貴教室以外の機関又は専門家で適任とお考えの向がありましたら合わせてご教示お願い致します。
記
一、右被告事件記録第七冊中に編綴されている石川一雄の供述調書に添付された図面中の鉛筆跡及び指印影と、これに相重なっている石筆、骨筆、鉄筆又はこれらに類似する細尖の物体で印せられたものと一応認められる圧痕跡(仮に筆圧痕と呼ぶ)とのいずれが初めに同紙に印せられたものか。
二、また、右筆圧痕は直接その紙面に右物体を使用して印したのか、あるいは右紙面の上に別の紙、又はセロハン紙等を置いてその上から印したものか。 以上
裁判長判事 久永正勝
(続く)
*ここは東京競馬場・内馬場である。現在、レースは行われず人影もまばら、したがって本日はほぼ貸切状態で過ごせた。この場所で読書に勤しむ快感は例えようがなく、持ち込む未読本を選ぶのに苦労する始末である。ふと馬券売り場を眺めると、そこには老生より年上の御仁たちが点在し、なけなしの金を中山競馬や中京競馬やらに賭けていた。一喜一憂する彼等を見ながら、今後、己が歩んで行く道かも知れんと、老生は苦笑いを浮かべた・・・。