【公判調書1446丁〜】証人=遠藤 三(六十七才)・元警察官
中田主任弁護人(以下、弁護人と表記)=「入曽に早川という地名があるのを記憶していますか」
証人=「記憶していません」
弁護人=「石川君は狭山警察から川越に移されましたね」
証人=「はい」
弁護人=「移されたその日からあなたは石川君の取調べに立会いましたか」
証人=「最初から立会いました」
弁護人=「その翌日の山下さんと青木さん両方の調書があるのだけれども、山下さんから青木さんに代わったということになるのですか」
証人=「山下さんは病気だったので途中から来なくなりました。それで青木さんと代わりました」
弁護人=「石川君が川越に移って自白するまでの間に何日か日があったでしょう」
証人=「ありました」
弁護人=「何日ぐらいあったという記憶ですか」
証人=「三、四日あったのではないでしょうか」
弁護人=「その間、すなわち自白する前に石川君は図を書いていましたか」
証人=「記憶ありません」
弁護人=「石川君が自白を始める前に、あなたは石川君に、君は狭山の地図が書けるかと尋ねたことはありませんか」
証人=「ありません」
弁護人=「石川君は狭山の地図なら俺はよく知っているから書けるよという様なことを言って狭山の地図を書いたようなことはありませんか」
証人=「記憶ありません」
弁護人=「そういうことがあったかなかったか」
証人=「ないです」
弁護人=「石川君は取調べの間に必要に応じて図面を書いたり、あるいは取調官から書いてくれと言われて書くという様な状況だったのですか」
証人=「そうです」
弁護人=「取調べと離れて図面ばかり書いていたということ、図面を書くのに非常に忙しかったということはありませんか」
証人=「図面ばかりということはないと思います。やっぱり調書が伴っていたと思います」
弁護人=「ほとんど連日の日付の調書があるのですが、あなたの記憶ではその調書に添付されている図面がその日付の日に作られ、その日付の日に調書として出来上がったものだという記憶ですか」
証人=「記憶でなくてそれはそうです」
弁護人=「はっきりしているのですね」
証人=「ええ。図面を作った、調書が出来た、調書が出来た、図面が出来た、両方ですね」
弁護人=「あなたは、前に出来た図面を何日かあとで調書に綴じたり、それから調書自体綴じ込まないで置いといたりしたということはありませんか」
証人=「ありません」
弁護人=「出来た調書を、あとから二、三枚差し替えたということはありませんか」
証人=「とんでもない話だ、それは」
弁護人=「とんでもないことですね」
証人=「とんでもないことです」
弁護人=「あなたはないですね」
証人=「ありません」(続く)
*・・・遠藤証人は、弁護人による「石川被告人が自白する前に図を書いていたか」との問いに「記憶ありません」と答える。しかし弁護人が次に問うた、石川被告人が自白を始める前に遠藤証人が「君は狭山の地図が書けるか」と尋ねたかどうかについて、「ありません」と断言している。石川被告人の自白する前という限定された状況下で、記憶の有無が別れているのは自然なのか不自然なのか・・・。
割と有名な赤ワイン、ジュブレ・シャンベルタンを口に含みナポレオンを回想しつつ、アラビアータに舌鼓を打つ、という妄想をしながら実際には宝焼酎とクズ野菜製豚汁をすするが、この組み合わせ、まぁ妄想と現実ですな、で幸福を得られる我が精神構造は自慢である。