【公判調書2444丁〜】
「第四十八回公判調書(供述)」
証人=梅沢 茂
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宮沢弁護人=「この前法廷で、いろいろな捜査に関連してるということで、時計の品触の書類を作ったと言いましたね」
証人=「はい、作りました」
宮沢弁護人=「それはいつ頃作られたかは覚えておりますか」
証人=「記憶ありませんが、とにかくそう事件の発生から日が経っていなかったと思いますね」
宮沢弁護人=「その品触の書類というのは誰から命ぜられて作られたんですか」
証人=「さて上司が大勢おりましたので当時、捜査一課の次席の将田警部おりましたが、その人の指示だったと思いますが」
宮沢弁護人=「その記号とかそういった詳しいことも将田警部から言われて作成されたんですか」
証人=「そうです」
宮沢弁護人=「そうすると品触の内容、それには時計が挙がっておりますが、時計だけですか」
証人=「時計だけでしたかな・・・・・・だけだったように記憶しております」
宮沢弁護人=「そうするとその品触の書類を作ってそれをどういう風にされたんですか」
証人=「それはやはり贓品検査ということで各捜査員が持ってまわったんじゃないかと思います」
宮沢弁護人=「その品触の書類、それはどの程度のどういう風に書かれたものだったんですか」
証人=「普通の罫紙の半分だったと思いますね。いや、あの時は作り直したような記憶もあります。一回作って上手く出来ないのでまた作り直したような」
宮沢弁護人=「上手く出来ないというのは」
証人=「私が書いたものですから、やはり上手く書けなかったわけです」
宮沢弁護人=「どういう風に書いたんですか、具体的には」
証人=「あれは黒インクで書いたと思いますね」
宮沢弁護人=「形式は」
証人=「書式はあれはどういうのだったかな、重要品触だったと思います。普通と重要とありますから」
宮沢弁護人=「品触の証拠品が出ておりますからこれを示したいと思います。
(第二審記録一三二丁"埼玉県第十一号特別重要品触"と題する書面を示す)
あなたが作成された品触というのはこの書類ですか」
証人=「これ、私が書いたものですね。それに写真を入れたものですね」
宮沢弁護人=「あなたの字ですか」
証人=「私が書いたものに間違いありません」
宮沢弁護人=「あなた先ほど時計だけだというようなご記憶でしたが、カバンも入ってましたね」
証人=「そうですね」
宮沢弁護人=「あなたが書かれたものですか、カバンも」
証人=「文字は私が書いたものです。そうです」
宮沢弁護人=「先ほどの記憶は間違いだということですね」
証人=「間違いですね」
宮沢弁護人=「あるいは時計だけのと、これと」
証人=「時計だけのものを作ったように記憶しておるんです。半分の大きさのものを」
宮沢弁護人=「そうすると二つありますんですか」
証人=「あるいはこれをやめて、これを改めて作ったかも知れません」
宮沢弁護人=「とにかくあなたとしてはもう一つの罫紙の、半紙大のものを一つ作っておられるんですね」
証人=「最初からこの通りにはいかないんですね、字の大きさとか」
宮沢弁護人=「もう一つ時計だけのものを作っておられる」
証人=「そういう記憶もあります」
宮沢弁護人=「それで、この記号とか型とかいうものは、あなたがどういうものを参考にしてこれを書かれたんですか」
証人=「これは時計の、おそらく私、これやったんじゃないんですが、買入先からこの番号を調べたんだと思いますね」
宮沢弁護人=「当時はこういう番号だという風にあなた上司から知らされて、その通り書いたと」
証人=「私が調べた記憶がありませんから、多分そうだと思います」
(続く)