【公判調書2439丁〜】
「第四十七回公判調書(供述)」
証人=斉藤留五郎
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裁判長=「謄本に付けてある図面作成の場合の作り方には一様じゃなくて幾用にもある、少なくとも二様はある、横に置いて見ながら自分の手で書くのと、薄い紙を原本の上に置いて下の線をなぞってそれを後でまた利用する場合もある、一通しか作らない場合はそのまま謄本の図面だという風にすることもある作り方として二つのやり方があったという趣旨の証言なんでしょう」
証人=「はい」
裁判長=「五月三十一日の分はその種類の作り方だと思うという主張なんだね」
証人=「はい、そうなんです」
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山梨検事=「念のためお聞きするんですが、前回の証言で、狭山警察にいた時にあなたが留置場から取調べのために連れ出すのが役目だったと。この際に、取調べをする時は手錠を外してましたかという質問に対して、外してないと思いますという答えをしているんですが、その手錠というのは、あなたとしてはどういう風なことを言うんですか」
証人=「私が留置場から取調室まで行くのは両手錠をして行きます。中に入って調べ官が片方を外したり、又両方とも外してる場合もあります」
山梨検事=「それはあなたは常時調べ室にいるんじゃないんで、いる時に現認したというのはそういう状況だったと言うんですか」
証人=「そうです」
山梨検事=「それから先ほど弁護人の質問で、河本検事に茶碗をぶつけたという話がありましたね、その時は手錠はどうなってましたか」
証人=「手錠はついてないと思います」
山梨検事=「検事の調べですが」
証人=「しなくて私が窓のすぐ前の廊下にいたんです」
山梨検事=「手錠の問題というのはそういう場合がありうることを当然予想されるので手錠をするということもありうるということですね」
証人=「はい」
(以上 沢田怜子)
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裁判所速記官 佐藤房未・沢田怜子
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【公判調書2441丁〜】
「第四十八回公判調書」
被告事件 強盗強姦、強盗殺人、死体遺棄、恐喝未遂、
窃盗、森林窃盗、傷害、暴行、横領
被告人 一夫こと石川一雄
公判をした年月日 昭和五十六年五月十五日
裁判長判事 井波七郎
判事 足立勝義
判事 丸山喜左エ門
裁判所書記官 飯塚樹
検事 山梨一郎
出頭した弁護人(主任) 中田直人
石田 享 橋本紀徳
植木 敬夫 宇津泰親
宮沢洋夫 福地明人
山上益郎 阿形旨通
城口順二 岡崎一夫
三上孝孜
出頭した証人 梅沢 茂 石原泰親
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【公判調書2443丁〜】
『裁判長は証人に対し、昭和四十六年三月九日の公判においてした宣誓の効力を維持する旨を告げた。』
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証人=梅沢 茂
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宮沢弁護人=「あなたはこの前この法廷で牛乳ビンの捜索に関係したということでしたね」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「この牛乳ビンはどこから発見されたか、その点の記憶ありますか」
証人=「入間川という駅の近くの畑の中でした」
宮沢弁護人=「その畑というのはどの辺だったか記憶ありますか」
証人=「駅のすぐ近くの、場内信号機がありますが、そこから百メーター内外のところだと思います」
宮沢弁護人=「それについて何か捜査報告書とか実況見分調書は作ったことはありますか」
証人=「実況見分調書は作った覚えがあります」
宮沢弁護人=「その時はあなた一人だけでやられたんですか」
証人=「一人ではございませんが、誰が行ったか記憶ありません」
宮沢弁護人=「その発見された牛乳ビン、それはどこから出たものかということはその後捜査されましたか」
証人=「その記憶ははっきりしておりません」
宮沢弁護人=「あなたはやったんですか、やらないんですか」
証人=「牛乳ビンを買った所ですね。はっきりしませんが、やったような気もします」
宮沢弁護人=「あなたがやったという記憶ですか」
証人=「いや、他の人もやったという記憶があります」
宮沢弁護人=「他の人というのはどなたですか」
証人=「それはちょっと思い出せません」
宮沢弁護人=「その牛乳買ったのはいつ頃だというところまでお調べになりましたか」
証人=「その点は記憶ありません」
(続く)
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