アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 771

【公判調書2405丁〜】

                     「第四十七回公判調書(供述)」

証人=清水利一

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中田弁護人=「もう一点ですが、あなたは現在は銀行員をやっていらして、警察にお勤めになったことも長いようですが、被疑者の取調べについては、あなたは大体手錠をかけて調べているのですか」

証人=「手錠をかけて調べますね」

中田弁護人=「そういう取調べが妥当かどうかということを考えたこともありませんか」

証人=「それは取調べ中の逃亡防止ということもありますから、規定ですから大概手錠をかけます」

中田弁護人=「埼玉県警は、大体被疑者にそういう調べをやってるんですか」

証人=「全部ということもないです。選挙違反なんかは別ですが」

中田弁護人=「選挙違反は手錠を外すんですか」

証人=「大体逃げないという前提で、県会議員だとか市会議員という人であれば外す場合もあります」

                                             *

山梨検事=「手錠は両手錠と片手錠の意味があるが、あなたの言う意味はどっちの意味ですか」

証人=「片手錠ですね」

山梨検事=「あなたの言う意味は片手錠ですね」

証人=「片手錠の場合も両手錠の場合もあります」

山梨検事=「どっちが多いのですか」

証人=「大概刑事が連れて来る場合、片手は外して来るわけです」

山梨検事=「あなたの調べている時はどうですか」

証人=「片手が多いように私は覚えてるんですが」

山梨検事=「狭山の調べ室というのは先ほどあなた非常に、窓から新聞記者がのぞくということを仰っていたが警備上はどうだったんですか」

証人=「報道陣を調べ室へ寄せ付けないようにということで、一応署長の計らいで縄張りはしたんです。ところがあくまでもそういう格好だけのもので、実際はあれだけの報道陣が来ておりました関係で、そういうわけにはいかなかったです」

山梨検事=「縄張りに入ってきて窓からのぞくわけですか」

証人=「のぞきます」

山梨検事=「窓はガラス窓ですか」

証人=「そうです」

山梨検事=「大きさは」

証人=「普通の四尺ぐらいの窓だったです」

山梨検事=「格子は入っているのですか」

証人=「格子は入っております」

山梨検事=「あなたの取った調書を見ますと、非常に図面が添付されている調書が多いのですが、先ほど両手錠を外したのは、お茶を飲んだり煙草を吸ったりする時だと言っていたが、図面を書かしたりする時はどうですか」

証人=「もちろん手錠をしてちゃ書けませんから外します」

山梨検事=「それは両手錠を外すのか、片手錠か」

証人=「片手錠です」

山梨検事=「両手を外すのはお茶を飲んだりする時だけですか」

証人=「はい、食事とか」

山梨検事=「腰紐は」

証人=「腰紐は大概やっております」

山梨検事=「茶を飲んだ後なんか、手錠はすぐはめるんですか」

証人=「お茶を飲んですぐってわけにもいかないでしょうけれども、雑談の時間もありますし、煙草も喫みますし、お互い人間ですから、そう何分から何分まで手錠をはめてというわけにもいきません」

山梨検事=「特にあなたの調べていたのは、いわゆる否認の段階ですね。だから相手の気心といいますか、相手がどういう行動に出るかというのはどうなんですか。あなたは掴めておったですか、要するに相手との意思が疎通していた段階なのでしょうか。いわゆるあなたの、ホシを調べていた経験から見て」

証人=「私が本人を聞いていた段階では、なかなか私どもの思うような供述は得られないという状況だったと思います」

山梨検事=「供述というより本人の気持ちですね、あるいは逃げようとするとか」

証人=「いや、本人は非常にほがらかな」

山梨検事=「自殺を図ろうとか・・・」

証人=「本人は話題によっては非常にほがらか面もございますが話題によってはこれはもう、ほがらかでなくなる場合もあるわけです」

山梨検事=「相手の気持ちがぴったりと掴むことが出来る段階でしたか」

証人=「まあ、私どもの言うことも本人には分かってくれたろうと思うんですが」

(続く)

窓からのぞく新聞記者。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。