【公判調書2368丁〜】
「第四十六回公判調書(供述)」
証人=鈴木 彰(四十四歳・埼玉県警察官)
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宮沢弁護人=「あなたは田中という人について捜査したと言いましたが、どの辺の場所を捜したのですか」
証人=「奥富の方の人でした」
宮沢弁護人=「奥富のどの辺ですか」
証人=「ちょっと記憶ありません」
宮沢弁護人=「東島なり田中という人の捜査については、あなたの報告書は出ているのですね」
証人=「捜査したときには出しています」
宮沢弁護人=「時計の捜査に関連して、時計の保証書を中田健治さんから領置した記憶はありませんか」
証人=「あるかも知れません」
宮沢弁護人=「そういう記憶はあるでしょう」
証人=「数回いろいろな用で行ってますし・・・・・・」
宮沢弁護人=「時計の保証書を領置したという記憶はあるのでしょう」
証人=「記憶はちょっと・・・・・・」
宮沢弁護人=「そんなようなことをした記憶はあるでしょう」
証人=「あります」
宮沢弁護人=「中田健治さん方には時計のこと以外にどんなことで行きましたか」
証人=「忘れました」
宮沢弁護人=「あなたは、時計の関係の聞込みでは時計が発見された現場付近の民家何軒かに当たったわけですか」
証人=「当たりました」
宮沢弁護人=「何軒ぐらいに当たりましたか」
証人=「四、五軒ぐらいではなかったかと思います」
宮沢弁護人=「民家の聞込みとか自分自身で捜すということはあなた以外の組の人もやっていたわけですか」
証人=「やっていました」
宮沢弁護人=「何組がやっていたか記憶ありますか」
証人=「二、三組ではなかったかと思いますが、はっきり覚えていません」
宮沢弁護人=「二、三組は記憶あるわけですね」
証人=「・・・・・・・・・・・・」
宮沢弁護人=「もっと多いのではありませんか」
証人=「記憶ありません」
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裁判長=「(昭和三十八年七月三日付司法警察員巡査部長 鈴木彰作成の領置調書"記録第六冊第一六三七丁"を示す) それはあなたが書いたのですね」
証人=「そうです」
裁判長=「中田の家に行って調べた上で万年筆の保証書二通を領置したのですか」
証人=「そうです。中田さんのところです」
裁判長=「その保証書はあなたが持って来たのですか」
証人=「そうです」
裁判長=「その保証書の番号は続いた番号ですね」
証人=「はい」
裁判長=「万年筆は二本あったわけだが、その二本がどういう万年筆であるかということは調べたのですか」
証人=「・・・・・・・・・・・・・・・」
裁判長=「そういう点について調べて供述調書を取るとかいうことをした覚えがありますか、ありませんか」
証人=「パイロット万年筆の会社へ行って調書を取った記憶はあります」
裁判長=「中田のところから万年筆の保証書二枚を持って来ているわけだが、その万年筆はいかなる万年筆であったかということを中田の家の人に聞いて調書を作ったとか報告書を作ったとかいう風な記憶はあるのですか、ないのですか」
証人=「思い出せません」
裁判長=「(東京高等裁判所昭和四十一年押第一八七号の六二の万年筆の保証書を示す) 万年筆の保証書は二枚領置しているけれども裁判所にはその一枚しか出されていないが、そのことに関しては今思い出せませんか」
証人=「思い出せません」
(以上)
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【公判調書2371丁】
「上申書」
被告人=石川一雄
右の者に対する強盗強姦等被告事件につき弁護人は左記の通り上申致します。昭和四十六年三月二十三日
弁護人=中田直人、植木敬夫、石田 享、橋本紀徳、宇津泰親、福地明人。
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【公判調書2372丁】
「記」
一、尋問時間の変更等について
昭和四十六年一月二十一日付で決定された証人(それ以前に決定のあった斉藤留五郎証人を含む)について、弁護人は次の通り尋問時間の変更を上申します。
斉藤留五郎(一八〇分)、清水利一(一二〇分)
五十嵐勝爾(二四〇分)、福島英次(一二〇分)
岸田政司 (一八〇分)、石原安儀(一二〇分)
梅沢 茂 (一二〇分)
なお、五月公判においては出来れば午前、午後一名づつの取調を行われたく希望致します。
二、犬竹幸、高橋ヤス子の証人調について
右両名については改めて出張のうえ臨床尋問を行なって頂きたく希望致します。
三、なお、その他の未決定の証人についての尋問時間ないし尋問の順序等の希望事項は、現在弁護人が準備中の追加証人調の申請と併せて後日上申致します。
【公判調書2373丁〜2374丁】
さきに取り調べる旨決定した証人斉藤留五郎、同清水利一、同福島英次、同岸田政司、同石原安儀、同梅沢茂を別紙のとおり各公判期日に尋問する。
公判期日 証人
昭和四十六年五月十一日午前十時 清水利一
午後一時 斉藤留五郎
同年同月 十五日午前十時 梅沢 茂
午後一時 石原安儀
同年同月 二十日午前十時 福島英次
午後一時 岸田政司
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(続く)