【公判調書1449丁〜】証人=遠藤 三(六十七才)・元警察官
宇津弁護人=「川越で石川君が図面を書くような場合、雰囲気としては皆さんと石川君との間はなごやかだったのですか」
証人=「なごやかでした」
宇津弁護人=「冗談なんかも言い合って聞くこともありましたか」
証人=「もちろん冗談も出ました」
宇津弁護人=「長谷部さんなんかも冗談をたたいていたことがありますか」
証人=「あると思います」
宇津弁護人=「石川君が図面を書いているとき、同席の調べ官の方は覗き込んでいる格好になりますか」
証人=「覗き込んでいるということはありません」
宇津弁護人=「石川君が図面を描き始めてから終わるまで、どういう風に書くか皆さん見ているわけでしょう」
証人=「見ている人もあれば見ていない人もあります。全部が全部出来上がるまで見ているということばかりではありませんでした。石川君が自由に書いていったものですから」
宇津弁護人=「かなり重要な内容のはずの図面の場合は皆さん注意して見ていたわけですね」
証人=「重要な・・・・・・」
宇津弁護人=「石川君が図面をどういう風に書くかということに関心は持たなかったのですか」
証人=「書く段階になると紙を出し鉛筆を貸すというようなことで、それも私が鉛筆を貸したときもあれば取調官がが貸したときもあれば、あるいは長谷部警視が貸したときもあり、いろいろです」
宇津弁護人=「石川君が書いているのを見ながら、もう少し上手に書くといいなあとか、あまり上手でないなあとかいうことで、ではもう一回書き直すという風な雰囲気で書いていたこともありましたか」
証人=「こっちからそういうことを言って書いたことはありません。石川君がよく出来た、下手に出来たということを言ったことはあります」
宇津弁護人=「石川君がかなり書き進んだところで下手に書けたということで、又書き直すということもあったでしょう」
証人=「ちょっと書き始まっての時もあれば中程まで書いた時もあれば全部書いてしまった後で、これはまずいということで書き直したこともあると思います」
宇津弁護人=「石川君がまずいといういうことで書き直した後、書き損じは捨てたのですか」
証人=「捨てたか燃したか、ないです」
宇津弁護人=「捜査の資料上は、石川君が書き直して最後にこれだという図面と、書き損じたと称する図面とどちらが大事な資料かということは中々難しいことではないですか」
証人=「そういうことではないでしょう」
宇津弁護人=「とにかく、いわゆる書き損じのものは捨てたのですね」
証人=「捨てちゃったですね。ないですから」(続く)
*狭山事件に興味がありながら博打も嗜みたい。そんな相反する事柄を脳内に同居させるには脳みそにチャンネルを設置するしか方法はない。このチャンネルは自己鍛錬により開設出来るが、鍛錬の度合いに応じてそのチャンネル数は増やせる。本日は狭山事件から競馬へとチャンネルを切り替え行動を開始した・・・。
基本的には競馬場内の片隅で裁判記録を読むという、風変わりな欲求を満たすことが目的である。入場料200円は払わなければならないが、決してJRAの策略にハマらずに、この広大な賭博場で読書を楽しみ青空を眺め芝生で昼寝を決め徹底的に快適利用させてもらう算段だ。だが、周囲では馬が走っており、せっかくレースが行われているならばと、つい馬券を買ってしまい気が付けばJRAの餌食と化している。頭の片隅で「負けを取り戻せ!」と悪魔がささやき射倖心を煽る・・・。
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