【公判調書1531丁〜】
ここでは被告人=石川一雄及び中田直人主任弁護人らにより『検証の請求』なるものが東京高裁に提出されている。
『検証の請求』
一、検証の場所
1.被告人の自宅
2.「荒神様」(三柱神社)
3.検察官主張の出会地点
4.横山ハル、横田権太郎の作業していた畑およびダイハツ停車地点
5.検察官主張の殺害現場およびその付近
6.当審第四回検証において、被告人が「大きな穴があるというところ」および「俵に使うような荒縄が敷いてあるような状態であったというところ」として指示した場所
7.死体発見現場および芋穴のあった場所
8.スコップ発見現場
9.検察官主張の木綿紐、荒縄を取ってきたという場所
10.教科書等発見現場
11.鞄等発見現場
12.荷掛紐発見現場
13.内田幸吉方
14.中田栄作方
15.石田一義方不老川沿い豚舎および当審第四回検証において、被告人が「何時も十本位のドラム缶が置いてあった」と指示した場所
16.佐野屋およびその周辺
17.検察官主張の五月二日夜逃亡の経路(同日の往路を含む)
18.入間川駅および「荷小屋」
19.被告人が五月一日歩いた経路(当審第四回検証調書のとおり。ただし、金子金三方の指示を含む)
20.検察官主張の時計を捨てたという場所および時計発見現場
二、検証の目的
前記各現場の位置、各現場および付近の状況を明らかにする。
本謄本を本日添付簿によって検察に送付した。
昭和四十四年三月二十七日 ・裁判所書記官 ・石毛早苗
*検証の場所・13の写真を載せておこう。
(写真は“無実の獄・25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部編・解放出版社”より引用)
この居宅の前にはそれなりに交通量のある道路が走り、付近にある牛小屋が香ばしい香りを放っている。現場の位置関係を把握するため何度もこの付近を訪れているが、やはり事件の放つ負のパワーに押され、鬱状態で帰宅すること度々である。さらにはここ、地元の交差点で『堀兼』などという標識を見た日には、老生の行動に対するこの土地から発っせられる強烈な拒絶反応が明らかに感じられ、今なお事件の余韻は残っていると思うのは老生だけであろうか。