【公判調書1259丁〜】 証人=池田正士(二十四才・自動車運転手) 尋問者は裁判長から宇津弁護人に移る。 宇津弁護人=「それでさっきの共犯とか何とかの件ですが、結局石川君が話してる雰囲気ですが、あなたに、調べられた内容を話して聞かせるという雰囲気なんですか」 証人=「まあ・・・・・・、雰囲気としては、やっぱり警察に調べられたことを自分としては聞いていたように思います。それで、まあ警察に調べられた時は死刑になるとは思ってなかったんじゃないんですか。まあ何か人の罪を被ったかどうか知んないけど、そういうようなことを言って、それでまあ一応自分では警察にそういうことを言ってるから、自分にはいくら部屋同じだからといって、まあある程度見栄というのか何か分からないけど、それでまあ本心はどこにあるか分からないけど、共犯がいるんだというようなことを言ったと思います」 宇津弁護人=「そんなことをあなた聞かせられた時に、石川君の顔つきとか何か印象に残ってますか」 証人=「・・・・・・・・・・・・」 宇津弁護人=「どんな様子で喋っていたんです、そんな時は」 証人=「あの、まぁ、一日中退屈なあれで何だかんだ色々な事を、つまんないことを話すこともありますけれども、そういったような雰囲気の時です」 宇津弁護人=「別に、深刻な悩みを持っているような顔つきで話すんですか。割合、気楽な調子で話すんですか」 証人=「その時は割と気楽な調子だったんです」 (ここで石田弁護人に替わる) 石田弁護人=「歌が書いてある紙は捜検の時に刑務所の人に持って行かれたんですね」 証人=「はい」 石田弁護人=「その捜検というのは、何日にいっぺんとか決まって行われたんでしょうか」 証人=「大体、定期的にあったです」 石田弁護人=「一週間にいっぺんとか十日にいっぺんとか一月にいっぺんとかいう表現でいうと、どれ位に一度行われたものでしょうか」 証人=「一週間にいっぺんはあったです」 石田弁護人=「そうすると石川君とあなたと一緒の房にいる間に、二、三回はあったわけですね」 証人=「もっとありました」 石田弁護人=「その中の一回の時に持って行かれたというんですね」 証人=「はい」 (ここで津田判事に替わるが、次回へ)
本文とは関係ないが、この森の向こうで狭山事件は発生した・・・。私が立っている辺りが被害者の最後の目撃場所とされている。目撃したのは被害者の一つ年下である奥富青年である。この貴重な証言は狭山の黒い闇によって揉み消された・・・。 うーむ、何とも言えぬ空気が流れる・・・。
右側を見れば、ああ、ここが第二ガードであったか。 ガード前から再度、左に視線を移すと学校が見える。この向こう側で石川被告人が被害者と出会ったとされているが・・・。