【公判調書1282丁〜】証人=霜田杉蔵・六十一才・元浦和刑務所拘置区長。ここで宇津弁護人にかわり石田弁護人が問う(以下、弁護人と表記)
弁護人=「捜検というものを刑務所で房にいる者に行うことがありますか」 証人=「はい、あります」 弁護人=「浦和の刑務所に石川君がおった頃に、あなたも捜検の場所に赴いたことがありますか」 証人=「私は捜検現場には立会ったことはありません」 弁護人=「随行して行ったことはありませんか」 証人=「捜検している所を順番に廊下を回ってる程度で、特にその房に入って、自分も一緒にやるということはございません」 弁護人=「ですから、随行して行ったことはございませんか」 証人=「はい、ございます」 弁護人=「石川君が池田正士君たちと一緒にいた頃になりますけれども、石川君が一審判決があってのちのことですが、石川君たちの房に対する捜検に、あなたが付いて行かれたことがございますか」 証人=「ございません」 弁護人=「絶対ございませんか」 証人=「ございません」 弁護人=「ほかの人達には、入る場合もあるんですね」 証人=「場合によると入ることもございます。捜検の場合には捜検係がございますからその人達にやらせますから」 裁判長=「今言った捜検係というものは、決まっているんですか。当番でやるのですか」 証人=「決まっております」 平岡検事=「今の捜検は直接あなたはなさる事は無いわけですか」 証人=「ありません」 平岡検事=「ほかの人が捜検をして異様なものなどを発見した場合にはどういう手続になるのですか」 証人=「捜検しまして、異様なものがありますれば一応私の所へ提示します」 平岡検事=「いつでもですか」 証人=「はい」 平岡検事=「刑務所の中に拘置区があるわけですね」 証人=「そうであります」 平岡検事=「すると、刑務所長と、あなたの関係はどういう関係になるのでしょうか」 証人=「やはり刑務所長が私を監督しております」 平岡検事=「上司になるわけですか」 証人=「はい」 平岡検事=「と、あなたが何か拘置区のことで報告をしなきゃならない様な事項が起きた時は、あなたから刑務所長に報告したわけですか」 証人=「一応、私のすぐ上司に管理部長がおりますから、その人に報告しました」 平岡検事=「管理部長を通して所長に報告するということですね」 証人=「はい、そうです」 平岡検事=「そこで今の捜検の異様物を発見した場合に、あなたがもし、当日何か出張だとか、その他の都合で勤務しておられない場合もあり得るわけですね」 証人=「あります」 平岡検事=「そういう場合はどういう手続になりますでしょうか」 証人=「そういう場合は、私の代理が誰か来ておりますから」 平岡検事=「誰がですか」 証人=「副看守長とか管理区長ですね、それが私の代理を致します」 平岡検事=「するとそちらの方へ、もしあなたがお留守だとすれば報告が行くことがあるわけですね」 証人=「はい、ございます」 平岡検事=「その様な場合に、あなたが出て来られてから、そういう事実についてあなたは分かるでしょうか」 証人=「はい。私がいない留守にこういう事があったと報告を受けます」 平岡検事=「それで、先ほど弁護人からいろいろお尋ねのあった、歌を書いた紙のことなんですけれども、あなたは全然記憶が無いし、聞いたことは無いと、こう仰ったわけですね」 証人=「はい」・・・・・・・・。
*睡魔に襲われつつ調書を読み進めて来たが、ここにきて、やっと尋問の核心に触れたようだ。石川被告人が房内で書いたとされる、三波春夫の替え歌、その紙そのものが一体どこへ消えたのか。いや、消えたとはまだ断言できないが・・・。じっくりと慎重に公判調書を読み込んで行こうと思う。![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/alcoholicman/20220828/20220828145457.jpg)
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