【公判調書1284丁〜】証人=霜田杉蔵・六十一才・元浦和刑務所拘置区長。 問うのは平岡検事。
平岡検事=「今思い出しても、自分がいない時に代理の人が何かそういうものを報告を受けて、報告したとか言うことも分かりませんか」 証人=「 はい。もしあったとすれば私の留守中にそのようなものを発見したとするならば、私の代理に来た区長から、何か報告があるわけですが、その報告も私は聞いたことはありません」 裁判長=「今、検事が聞いたことに関連してですが、そういう捜検の時に発見したようなものを区長から管理部長の方に報告する時に、それは記録に留めるんですか」 証人=「もし、そういった異様なものが重要なものだとすれば一応記録します」 裁判長=「そういう場合に、例えばどういう紙にどういう内容のことを書いたものだという事は、もし取上げれば、それは記録に留めておくんですね」 証人=「留めておきます」 裁判長=「それは、どういう記録ですか」 証人=「それは視察表というのがあります。それに一応こういう事件があったと書いて、もしそういったことが有れば、全部視察表に書いて身分帳に綴じます」 裁判長=「各個人別ですか」 証人=「本人の身分帳です」 裁判長=「視察表というのは、個人別にあるんですか」 証人=「そうです」 裁判長=「すると、証人が自分で報告を受けたか、あるいは代理が受けたか、いずれにしても、もし捜検の時に石川の房から歌を書いたような紙を取上げたとすれば、視察表に書いて編綴しておくということですか」 証人=「ええ、一緒に身分帳に綴じます」 裁判長=「それは、刑務所の管理部長がそれを見るわけですか」 証人=「そうです、管理部長が一応承知したと全部印を押して所長に報告します。ですから区長のほうから直接所長のほうへ持って行くということはございませんです」 裁判長=「それからもう一点。さっき池田という証人を調べましたが池田と石川が同じ房におったことは記憶ありますね」 証人=「記憶あります」 裁判長=「そのほかにおった人の記憶はありませんか。例えば池田証人が言っておったんですが、押田とか市川勇とか」 証人=「押田というのは居た記憶はありません。二人ということは無いですから、三人か四人おったですから」 裁判長=「市川というのは記憶ありませんか。何か入れ替わったようなことを池田証人が言っておったですが」 証人=「・・・・・・・・・・・・」 裁判長=「憶えていないですか」 証人=「だいぶ日にちが経ったから、ちょっと記憶しておりません」 裁判長=「清水という人はどうですか。石川と一緒におったかどうか」 証人=「石川君と一緒におったのは池田正士。これは傍から見て仲が良さそうだと、よく話してましたが、ほかの人はちょっと憶えていません」 裁判長=「市川とか池田が一緒になってから、房の中で歌を歌って騒いだと、騒ぐといいますか歌を歌っておったので、看守に制止されたとか何とかということはありませんか」 証人=「それは、あったかも知れません」 裁判長=「かも知れないでは困りますが」 証人=「何か、喧嘩口論でもしたということになれば報告が来たかも知れませんが、ただ、歌を歌って担当看守が注意したということは、別に私のところへ報告が来ませんから、別に私には判りません」 裁判長=「あったか無いか判らんということですか」 証人=「判らないです」・・・続く。
写真は、昭和38年に現在の沢交差点付近で撮られたもの。写真奥に自転車屋があるようだが・・・。