【公判調書2882丁〜】
「第五十四回公判調書(供述)」
証人=関 源三(五十五歳)
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宮沢弁護人=「石川君の所へ面会に行っている時間は日中ですか」
証人=「日中です」
宮沢弁護人=「そうするとそれは勤務時間中なんですね」
証人=「勤務時間でですね、浦和の時は何か連絡事項か何かで浦和へ行って・・・・・・いや、連絡事項で行った時か、あるいはまた泊まり明けか、それははっきりしません。とにかく昼間は間違いないです」
宮沢弁護人=「あなたの記憶では連絡事項で浦和へ行った時というような記憶もあるんですね」
証人=「その時に行ったのかどうかも私記憶ないんですが」
宮沢弁護人=「そんなような記憶もあるということですね」
証人=「これははっきりじゃないですけれどもそんな時かなという気もするんですが」
宮沢弁護人=「石川君に会いにその拘置所へ行く場合どういう風な形で会っているんですか。あなたが石川君と二人だけで会っているんでしょう、浦和の場合」
証人=「浦和の場合、東京も誰かがいたですね」
宮沢弁護人=「あなたの他に」
証人=「ええ」
宮沢弁護人=「誰ですか」
証人=「拘置所の人がいたと思うんですが」
宮沢弁護人=「東京の場合は」
証人=「浦和も誰かいたような気がします」
宮沢弁護人=「その会う場合の手続きはどういう風に。あなた現職の警察官なんだから直接拘置所の中に行ってそして石川と会えるわけでしょう」
証人=「いえ、受付に話してそれで向こうにじゃ面会簿に書けと言うんで面会簿に書いて、それで向こうの許可証と言いますか、それで面会をしたんです」
宮沢弁護人=「そうするとあなたと石川君とが会って話しましたね」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「それ、二人で話しているわけでしょう」
証人=「そうです」
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裁判長=「二人で話すという意味はそこに立会人がいないという意味ですか」
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宮沢弁護人=「そうです」
証人=「いや、立会の人は拘置所の人はいたです」
宮沢弁護人=「それはメモか何かしていましたですか」
証人=「いや、私は網のこっちですからよく見えなかったですけれども、人がいたのは覚えております」
宮沢弁護人=「人がいなかった場合もあるんじゃないですか」
証人=「私と石川君だけの場合はないですね」
宮沢弁護人=「一回や二回あったんじゃないんですか」
証人=「いや、それは原検事さんがあの時に浦和の拘置所へ一緒に来たんですね、それでその時は検事さんと私と石川君だった」
右弁護人=「それだけで会ったことはあるんですね」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「それはいつ頃のことでしょうか」
証人=「それは一番早くですから家族の人と行く前です」
宮沢弁護人=「そうすると一番初めの三十八年の段階という風に承っていいわけですね」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「その時お金を渡したりしたことがあるんですか」
証人=「それが五百円なんです」
宮沢弁護人=「そうするとその時五百円渡したわけですね」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「そうするとその時は原検事とあなたと石川君と三人で会ったと。その時あなたは五百円を渡したと」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「その時は接見禁止中ではなかったんですか」
証人=「それは初めですから接見禁止の時だったかも知れないですね」
宮沢弁護人=「そんなような記憶があるわけですね」
証人=「はい」
宮沢弁護人=「そういう風にして会ったのはその時一回だけでしょうか」
証人=「そうです」
宮沢弁護人=「そうすると、その時は別に休暇というようなことで行ったわけではないのですね」
証人=「だからそれが泊まり明けで行ったのか、あるいは何か他の用があって行ったのか、よく覚えてないんですが」
宮沢弁護人=「そうするとその五百円を渡した時は原検事さんもそれはご存じだったわけですね」
証人=「それは受付の方ですから知ってると思うんですが、その点はどうも私もはっきりしないんですが」
宮沢弁護人=「あなたとしては知っていると思うと、こういうことですね」
証人=「ええ、あんまりよく分かりません。と言うのは断って、原検事さんにこうするからと言うんじゃないですから、知ってるかもしれないんですが、あるいは知らないかもしれないんです」
宮沢弁護人=「あなたとしては知ってるかもしれないというのは知ってるだろうというあれがあるわけですね」
証人=「はい」
(続く)
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宮沢弁護人の最後の質問に出ている「〜知ってるだろうというあれがあるわけですね」の"あれ"とは何を指すのであろうか。ここはきちんと適切な言葉で表現して欲しかったが。