アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 908

○法廷では弁護人が、拘置所に収監された石川被告への、証人=関 源三による接触の動機やその過程、方法等の尋問に相当な時間を費やしているが、その意図は何か、今のところ私には全く分からない。

ただ、石川被告本人の自白を維持させるために彼の気が変わらぬよう関 源三が面会し激励、金を差入れたのではないかという観点から見れば、これら尋問は予想以上の含みを待つと思われるのだが。

証人=関 源三氏。写真は"狭山差別裁判・第三版=部落解放同盟中央本部編、部落解放同盟中央出版局"より引用。

【公判調書2874丁〜】

                  「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

 

                                            *

石田弁護人=「昭和四十年頃東京拘置所へ石川君を尋ねて面会したことはありますか」

証人=「日ははっきりしないんですけど一回行ってるんです」

石田弁護人=「四十年頃頃ということで、つまり移監になった、浦和から東京に移監になった翌年ですね」

証人=「いずれにしても東京へは私一回行ってるんで日ははっきりしませんけれども、まあ一回行ってるんですが、それ四十年だったかも知れませんですね」

石田弁護人=「東京拘置所へ面会に行った際に金を渡しましたね」

証人=「はい」

石田弁護人=「差入れしましたね」

証人=「はい」

石田弁護人=「その金の差入れについて石川君と面会した際にあなたは諏訪部刑事課長から渡してくれるように頼まれた金だということで石川君に説明したのではありませんか」

証人=「それは違うと思いますね、私は諏訪部さんに言われたのはないんですから」

石田弁護人=「それから未決の刑事被告人と警察官である立場の人とが文通を多く交わしたり、あるいは金の差入れを行なうということは、あなたの経験からするとよくあったことでしょうか、それとも本件が初めての経験でしょうか」

証人=「帰ってきた時まあ早く帰ってきて良かったとか何とか、そういうことはありますけれども、差入れとかいうのは石川君だけです」

石田弁護人=「そうしますと、まあ非常に異常なことですね、通常のことではないですね」

証人=「川越から浦和へ行く時、石川君おれ面会に行くよと実は言ってあるんです。それで面会に行ったんです、私は」

石田弁護人=「まあいずれにしても石川君と面会するなり、あるいは石川君に金を差入れたりするような際には、警察の上司の承諾を得るなりあるいは上司の指示を得るなりしてやっているのではありませんか」

証人=「面会にその時は・・・・・・・まあ手紙を出しているのは、私は手紙を出したということもこれはこういう訳で出すというのじゃないけれども、石川君から手紙が来たと、だから返事を出すというようなことも言っております」

石田弁護人=「お金を渡す時は」

証人=「それは言わないと思います」

石田弁護人=「あなた独自の判断でそれは出来るんですか」

証人=「友達と言いますか、だからというような気持ちで私は行ったんですけれども」

石田弁護人=「たとえばあなたの先ほどからの話によりますと、川越分室に石川君が留置されていた頃、まあ、あなたにとっては未知の所沢の石山さんという人と練馬の人から手紙で送られてきた金を石川君のため差入れたということを仰いましたね」

証人=「いえ、それは石川君のために行ったんではなく、石川さんにやってくれというような内容で来たのですから、それを捜査の方で浦和へ行く時にあの前に私にだったか、いずれにしても誰かに渡してあるわけです」

石田弁護人=「それは狭山署長なり、あるいは刑事課長クラスの人なりが承認していたことですね」

証人=「そうです」

石田弁護人=「あなたの単独では出来ないことですね」

証人=「それは私の宛名で来たんですけど私がもらった金じゃないんです。ですから捜査の方にやってありますからこれは全部知ってるわけです」

石田弁護人=「だからその金を石川君に差入れするというのかな、そのことはあなたの上司である課長なりあるいは署長なりが承知していることですね」

証人=「そうです」

石田弁護人=「それで浦和の刑務所なり東京の拘置所なりで金をあなたが差入れたことも上司の許可を得るなり指示を受けたりしたためにやったことではありませんか」

証人=「それは上司に直接断ってはないです」

石田弁護人=「事後に報告はしたわけですね」

証人=「・・・・・・報告はしなかったような気もするんですが」

石田弁護人=「した記憶はないんですか」

証人=「どっちかというとしない方が強いような気もします」

石田弁護人=「東京の拘置所に面会に行くということは上司は知っておるんですか」

証人=「ええ、それは東京へ行くと言ってますからですね」

石田弁護人=「石川君と会うということは言ってありませんか」

証人=「石川君に会うということははっきりは言わないけれども、東京の拘置所へ、石川君の所に行くということは言ってますから知っておると思います」

石田弁護人=「どんな状況だったかということをその直後に尋ねられるなり、あなたの方から進んで報告するとかいうことはありませんか」

証人=「自分がと言うと何ですけれども、私が自分で個人で行ったんですから私も行って来たということは言ってあると思うんですけれども、別に報告という改まった報告はしなかったんです」

石田弁護人=「上司から聞かれたんではありませんか、石川君の状況はどうだと」

証人=「・・・・・・今はっきり、聞かれたかどうか、はっきりしませんですが」

(続く)