アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 903

東京高等裁判所(昭和四十三年当時)

【公判調書2861丁〜】

                 「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

                                         *

橋本弁護人=「(同じく手紙のうち昭和三十九年四月二十七日付の封書を示す)『一昨日はお手紙をありがたく拝見しました。手紙によると仕事が忙しいとのこと喜んでおります』こう書いてありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「そうするとこの石川君の手紙の前にあなたから石川君に手紙を出しておるわけですね」

証人=「そうですね」

橋本弁護人=「そういう記憶ありますか」

証人=「記憶ははっきりしませんけれども」

橋本弁護人=「(同じく手紙のうち昭和三十九年六月九日付の封書を示す)三十九年六月と言いますと石川君が東京に移った時期ですね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「この手紙によりますと、『昨日は多忙のところ遠路わざわざ私のために面会に来ていただき、誠にありがとうございました。また、その折差入れ金まで度々していただき感謝しております。ありがたく頂戴いたしました』こう書いてありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「そうするとこの三十九年の六月にもあなたは面会に行ってお金を差入れたわけですね」

証人=「ええ、これ東京に行ったとき千円」

橋本弁護人=「(同じく手紙のうち、昭和三十九年八月三日付の封書を示す)これもあなたの所に石川君から来た手紙ですね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「これには『昨日はお手紙をありがとうございました』こう書いてありますが、そうするとやはりあなたはこの当時石川君に手紙を出したということになりますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「(同じく手紙のうち、昭和四十年一月六日付の封書を示す)『先日はお手紙をありがたく拝見させていただきました。お手紙によると返事をくれと書いてありましたが、実はその時はチョットした事をして十日間ばかり懲罰になって、ほかの房に移されてしまいましたので伝々』と、こう書いてありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「そうするとこの当時あなたは石川君に手紙を出したということになりますね」

証人=「正月頃、普通なら年賀状と言いますか、そんな風なものだと思います。はっきりした記憶ありません」

橋本弁護人=「(同じく手紙のうち昭和四十年四月十二日付の封書を示す)『一昨日はお手紙をありがとうございました。この度は一金千円也を御恵送いただき、御厚情のほどありがたく厚く御礼を申し上げます。』こう書いてありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「そうすると四十年の四月頃にあなたは千円を石川君にやったということになるんですが、そうじゃないんですか」

証人=「・・・・・・はっきりしないんですが」

橋本弁護人=「(同じく手紙のうち昭和四十年六月二十三日付の封書を示す)これには『先日はお手紙をありがとうございました。元気で務めておられる事と拝察しております』こう書いてありますね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「と、この頃あなたはやはり石川君に手紙を出したということになりそうですね」

証人=「・・・・・・・・・まあ出したかどうかはいずれにしてもその手紙と同じ数くらいは向こうの返事をもらったりなんかして出しております」

橋本弁護人=「先ほどあなたが証言した数よりも今の手紙によると石川君に面会した数、それからお金を差入れた数は多いんじゃないんですか」

証人=「私が今はっきり覚えているのが浦和で五百円と東京へ行って千円ははっきり覚えてますが」

橋本弁護人=「石川君から、お金をいただいてありがとうという手紙をもらって、それは事実に反するという感じを持ったことはないわけでしょう」

証人=「・・・・・・ただ私は仮に五百円なりという、それが書いてあるのもあるんじゃないかという気がしますが。面会に行きました。それで五百円を浦和で持って行って何かりんごでもと思ったけどだめなんで、それでお金を置いていけばそれで買えるんだということを刑務所の方で聞いたわけです。それでその時差入れしたんですけれども、それが重なってるんじゃないかという気もします」

橋本弁護人=「先ほど差入れたお金は自分のお金だと言いましたが全部そうですか」

証人=「はい、そうです」

橋本弁護人=「狭山警察の諏訪部刑事から預かって行って渡したお金はないですか」

証人=「諏訪部さんから預かったというのはないです」

橋本弁護人=「諏訪部さんから石川君に渡してくれと言って頼まれて石川君に渡した事実はありませんか」

証人=「それはあります。一回だか二回だか」

橋本弁護人=「そのことは今あなたが証言した回数には入れてないんですね」

証人=「いや、これは私のですからそれとは違います」

橋本弁護人=「ですからあなたが自分の金で差入れた他に諏訪部刑事から頼まれて渡したお金もあるということになるわけですね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「その諏訪部刑事から頼まれて渡した時期はいつ頃でしょうか」

証人=「それは石川君が川越の少年刑務所のほうへ行くあの頃だったと思います」

橋本弁護人=「東京拘置所に来てからじゃないんですか」

証人=「いや、東京じゃないです。少年刑務所

橋本弁護人=「川越の少年刑務所と言いますと、時期はいつ頃ですか」

証人=「警察のほうから川越へ行ったのが日ははっきりしませんけれども」

橋本弁護人=「浦和の間違いじゃないですか」

証人=「浦和です、浦和です、川越じゃない、浦和です」

橋本弁護人=「川越の警察から浦和の刑務所にかわりましたね」

証人=「はい、あの前です」

橋本弁護人=「そうすると浦和拘置所にいる時代にということですか」

証人=「まだ行かない時代です」

橋本弁護人=「川越の警察にいる時代ですか」

証人=「はい」

橋本弁護人=「その諏訪部さんから預かっていった金額はいくらですか」

証人=「千円か千五百だと思います。それは練馬の人と、それから所沢の山口の石山さんという人です。その二人からもらった金があったわけです。石川君に何か買うんだったらやってくれと言ってもらったのがあったわけです」

橋本弁護人=「そうするとそれは諏訪部刑事の金ではないわけですか」

証人=「じゃないです。石山、名前忘れてしまいましたけど、石山さんという人と、もう一人は練馬の人です」

橋本弁護人=「その石山という人と練馬の人はどういう関係の人ですか」

証人=「練馬の人というのは全然知らない人です」

橋本弁護人=「警察の人じゃないんですか」

証人=「じゃないです。全然知らない人です。私、名前も聞いたことはない人です」

橋本弁護人=「あなたは知らない人」

証人=「はい」

橋本弁護人=「諏訪部さんは知っているんですか」

証人=「恐らく知らないと思うんですよ」

橋本弁護人=「正体不明の人からお金をもらって、被疑者にお金を渡したというわけですか」

証人=「それは私の所へ来たんですけど、諏訪部さんが課長だったですから諏訪部さんの所に預けてあったわけです」

橋本弁護人=「あなたが出所はよく分からないけど持って行けと言われて持って行ったと、そういうことですか」

証人=「人の金を私が預かったいた、それを諏訪部さんに渡したわけです。諏訪部さんだと思うんですが」

橋本弁護人=「私が聞いてるのは石川君にあなたが渡したかどうかということですよ、諏訪部さんに渡したかどうかじゃなくて」

証人=「それは私が石川さんのほうへ直接というより諏訪部さんに預けておいたやつを、それを諏訪部さんのほうから預かってそれを渡したんです」

橋本弁護人=「石川君に渡したんでしょう」

証人=「それが私が渡したか誰か捜査の人が渡したか今はっきりしないんですけれども、そういうのが千いくらのがあったんです」

橋本弁護人=「何かそういう記憶が残っているんですね」

証人=「ええ、それははっきり誰だと」

(続く)