アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 910

【公判調書2879丁〜】

                     「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

                                            *

裁判長=「手紙は十七通あって、日時は三十八年から四十五年にわたっておりますね」

証人=「はい」

裁判長=「そうするとあなたの今言われるのはその一つ一つの手紙を出すたびに、上司に被告のところへ手紙を出しましたということは、別に言ってるという意味なのか、言ってないという意味なのか、どっちだ」

証人=「それは言っていないんです」

裁判長=「さっき何か手紙を出す時はそのことを言っているという感じのことを言ったところがあるんだけれども、金を出すということは言ってない」

証人=「面会に行くということですね、それは言ったような気持ちもしているんです」

                                            *

(と、ここで問題が発生する。引用中の公判調書2880丁上段右側二行目以降に印字不明瞭な箇所が現われた。写真参照)

(したがってこの部分は写真での引用、記録とした)

                                            *

裁判長=「捜査の方ではそれは十七通まとまって、近年控訴審になって今まで手紙をだいぶやり取りしているようだというので、それなら見せろということだから、まとまったものを見せたんじゃないの」

証人=「そうです」

裁判長=「だからいちいち三十八年から三十九年、四十年、飛んで四十五年、そういう手紙をやった都度、手紙をやったということを上司の人、あるいは同僚に報告したり、あるいは出しますということを事前に言ったりしたことはあるのか、ないのか」

証人=「そういうことはないです」

裁判長=「それじゃ出しましたということを言ったことはあるんじゃないの」

証人=「手紙を出したということは言ったことはないんです」

裁判長=「と、今度は上司なり同僚なりが手紙を出していたんだということを知ったのは、まとまったものを保存しているということを聞いてから、あなたの方で出したから、それでそれじゃ今までそういう手紙をやり取りしていたのかなということを上の者が知ったと、こういう意味なのか」

証人=「はい」

                                            *  

宮沢弁護人=「そうすると面会に行ってるのはもう昭和三十八年の段階から行ってるわけですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「そうするとその面会に行く時は一応上司に、今日は行くというような話はしてるわけでしょう」

証人=「そんなはっきり行って来ると」 

宮沢弁護人=「だけど当然上司はあなたがどこへ行ったかと分かるような話はしているわけでしょう、それは先ほどの証言でそうだったんじゃないんですか」

証人=「・・・・・・・・・」

宮沢弁護人=「くるくるしょっ中あなたの証言は変わるんですがね、それはそうなんじゃないんですか」

証人=「それは、はっきり今日行って来ると断るというんじゃなく、自分の休暇で休みをもらって行くんですから、はっきり今日行って来ますというようなことでなく、まあ何と言いますかね、面会に行って来たいんですというその程度に話をしたというような」

宮沢弁護人=「面会に行って来るということは言っているんでしょう」

証人=「そういう気がするんです」

                                            *

裁判長=「それは石山に面会に行くということがわかるという程度に言ってあるわけか。今日面会に行って来ますと、こう言えば他の人じゃない石川の所へ行って来るんだということが当然わかるんだという風な意味なのかね、石川の所へ行きますと言わなくても」

証人=「・・・・・・・・・まあ、東京の拘置所と言えば他にはいないんですけれども」

裁判長=「だからさっきは東京の拘置所へ行く時のことをちょっと言ったような体裁になっているんだがね、今私が聞くのは東京拘置所だけでなくて浦和の拘置所のことも含めて言ってるつもりなんだがね。そういう時に面会に行って来ますといつも言ってたとすればこれは石川の所へ行くんだなということが聞いた方ではわかるような意味で言ったのかどうかということを聞いている」

証人=「まあ石川君の所へこれから行って来ますとはっきり言わなくてもそれはわかるだろうと思います」

裁判長=「それは浦和も東京もかい」

証人=「浦和の一回はこれは私は最初から行くわけじゃなかったんですが面会に来てくれと言って石川君の所からうちへ言付けに私行ったわけです。その時はこれはそのままですからよく道もわかんないなと言うものですから、じゃ一緒に行こうと言って、それで行ったからこれは言ってないですね」

裁判長=「うちの人に会いたいと被告が言うからそれでうちの人を案内して行ったことは一回ある、これは警察の上司には報告しないで一緒に案内して行ったと」

証人=「はい」

裁判長=「それはあなたが浦和の方へ面会にさっきから行った行ったと証言している一つに入るのか、入らないのか」

証人=「それは一つに入っているわけです」

                                            *

宮沢弁護人=「そうすると上司が当然知っているだろうという風にあなたは感じたと」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「その帰って来てから石川君の話題というようなものもあなたの捜査の同僚とか、そういう中で多少話題にしたこともあるんでしょう」

証人=「まあ元気でいるという程度のことですね」

宮沢弁護人=「元気でいるとか、石川君がこうだったというような話はしているわけですね」

証人=「ええ」

宮沢弁護人=「そうするとあなたと石川君とはそういう浦和なり東京にいる段階からそういう風に接触があったということは狭山署の捜査の人達も上司も分かっていたわけですね」

証人=「少し遅れてそれは分かっていると思いますね」

宮沢弁護人=「だから大体分かっているわけですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「そうするとあなたが文通をしているということも大体分かっていたんじゃないですか」

証人=「最初は分かんなかったと思うんです。だけども本部の方でも、手紙が来てるそうじゃないかと私の所へ聞いた時も手紙がいくつ来ている、そういうことは本部でもおそらく分からなかったんです。それでその時は来ている数は言わなかったですけれども来ていると、じゃそいつはいくつなんだか見せてくれないかと」

宮沢弁護人=「本部の方でそういう風に言って来るについては何かやっぱり」

証人=「誰かが結局私の所へ手紙が来ているというのを知ったというか、ですからきっとそういう話が出たと思うんです」

宮沢弁護人=「そういうことを誰に話したんですか」

証人=「私も誰という風にはちょっと忘れたりなんかしておりますからはっきり答えようがないけれども、石川君の所に手紙を出したということは誰かに自分でも話していると思います」

(続く)

                                            *

春めいた気配に誘われ、どれどれ野良猫どもは元気であろうかと某公園を訪ねてみた。以前ここで4、5匹の猫と戯れたことがあり、その見るからに愛おしい風体は、再びここを訪れエサを与えることを私に誓わせたのだが・・・。

しらみつぶしの捜索の結果、この公園内で彼らの存在は確認出来なかった。

缶ビール片手にゼイゼイと息を切らし血走った目で猫を捜す姿は、 この日この公園を訪れていた家族連れやカップルの目にはよほど異様に映ったであろうか、まるで八つ墓村に登場する、日本刀と猟銃で武装し村民虐殺へ向かう多治見要蔵でも見るような、そんな視線が私に集中していた。

公園から猫がいなくなった理由としては、どうやら野良猫を保護し愛猫家に引き取ってもらうという活動を行なっている団体の活動結果が原因だと思われる。だとすれば、これは猫自身が幸福な人生に恵まれるという判断が出来、私も納得も得心もいくのである。

以上、この公園における野良猫、その全ての情報を分析検討した結果、当公園に私は足を運ばないという決断に至った。

そしてただ単に、撫でたい時に野良猫を撫でたいという私のわがままを満たす場所はすでに見つけてある。朝晩、決まった時間におばちゃんがエサを与えに来て猫にとっては言うことなし、したがって彼らがその公園を離れることはない。私としては、やはりこういった和(なご)める場所は人生に必要だと考えるが、どうであろうか。