アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 662

(狭山事件裁判資料より)

【公判調書2063丁〜】

                  「第四十一回公判調書(供述)」

証人=山下了一(五十二歳・無職。事件当時、埼玉県警本部捜査一課)⑨

                                         * 

宮沢弁護人=「なんかこの狭山署で調べてる段階で、石川君が、裁判所へ行ってからいろんなことを、自分のやっていることについては話そうというような、そのことを言ったということはなかったでしょうか」

証人=「狭山署でですか」

宮沢弁護人=「いや、狭山署にいるころ勾留開示の公判があったでしょう。予定されていたのを知らなかったですか」

証人=「ちょっと忘れました」

宮沢弁護人=「裁判所へ行ったら、いろんなことを言うという趣旨のことを、あなた方捜査官に言っていたということはないんですか」

証人=「忘れましたね」

宮沢弁護人=「あなたのご記憶だと、要するに狭山署にいる間は全く否認していたと、こういうことですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「で、あなたは川越へ行ってからも六月十八日、これは最初だと思いますけれども、ここで石川君を取調べておりますがね、調書がありますが、これは取調べたことは間違いないでしょう」

証人=「ええ、川越へ行っても聞きました」

宮沢弁護人=「その時は、どういう取調官といいますか、捜査官は、あなたを含めてどういう方がおられたわけですか」

証人=「川越の諏訪部さんがいたと思いますが、あと看守として遠藤さんがいたかも知れません」

宮沢弁護人=「その程度ですか」

証人=「ほかは、どうですかね、ちょっと・・・・・・」

宮沢弁護人=「狭山署で調べておられた清水さんとか、それからそういう方ですね、はいなかったですか」

証人=「清水さんはいなかったと思いますがね」

宮沢弁護人=「すると、取調べのスタッフは川越へ行ってから変わったわけですか」

証人=「変わりました」

宮沢弁護人=「具体的にどういう人が加わってどういう人がいなくなったですか」

証人=「私は健康を害しまして、上司に話して過労だからうちへ帰って少し静養しろという風に言われて、それが川越へ移ってから間もなくじゃないかと思うんですが、それで、私うちへ帰りまして、これは四、五月休んで来てみたら、やっぱり長谷部さんとか遠藤さんだとか、そういう人が調べているようでした。で、私は、もう内容がどこまで行ってるのか分からないんですが、すっかり交替しちゃったように覚えています」

宮沢弁護人=「川越へ行った直後はいたけれどもその後、健康を害されて、それからは捜査に当っておられないというわけですか」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「川越署へ行って最初に取調べた内容はどういうことを取調べたか、あなたはご存じですか」

証人=「狭山の時と罪名が変わっていましたですから、それを聞いたように思います」

宮沢弁護人=「あなたは、やはり当初、窃盗で五月二十三日に調べた時と同じように、この善枝ちゃん殺しの方の、本件ですね、こちらについても、被告人石川君の身分関係そういうものを調べられた、そういう記憶はないですか」

証人=「簡単にずっと聞いたように思います」

宮沢弁護人=「調書には身分関係が載っているようですがね、そういう記憶はあるんですね」

証人=「簡単に聞いたように記憶あります」

宮沢弁護人=「そうすると、この段階においてはどうですか、石川君が未解放部落の出身の方だということは分かっていたんじゃないですか」

証人=「いや、そういうことは知りません、初めて聞きました」

宮沢弁護人=「これはもう六月十八日の段階ですね」

証人=「知りません」

宮沢弁護人=「知らないということになれば、これは致し方ないですね」

証人=「知りません、どういう関係ですか、もう一回、どういう関係だという風な」

宮沢弁護人=「要するに部落民だということですね」

証人=「それは知りません、全然知りません」

宮沢弁護人=「それじゃもう一度ちょっと聞きますけれども、石田一義君、あるいは東島明君、こういう諸君もあなたが捜査の中で捜査線にのっかった人だというんですが、この人たちも部落民だということがはっきりしているんですけれども、それをあなたは知りませんか」

証人=「知りませんですね、初めて伺いました」

宮沢弁護人=「最後に一点伺いますが、この川越署へ移るについて、あなたは本件善枝ちゃん殺しについては調べてないという風に言われたんですが、この時、逮捕状にいろんな疎明資料が付いてますが、あなたはそれ知られですか(原文ママ)」

証人=「疎明資料は沢山あったんで、どんなものが付いたかということは、ちょっと今現在記憶に残ってません」

宮沢弁護人=「そうですか」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「いろんなものが何点かあるんですがね、こういうのが出てくるについてあなたは、石川君が、この頃は窃盗とか何とか別件で逮捕されてるわけですが、その中で石川君にそういう証拠について、当っているんじゃないですか」

証人=「証拠ですか」

宮沢弁護人=「そういう疎明資料が再逮捕の時に出ているわけですよ」

証人=「それは、窃盗だとか詐欺だとか、そういう関係ですか」

宮沢弁護人=「窃盗とか横領とか、あるいは暴行とか傷害とか、そういう事案の調べの中で、再逮捕に付けた疎明資料の関係、まあそういうことを石川君に対して聞いて、そしていろいろ整理していたということがあるんじゃないですか」

証人=「どんなものがあったかということはちょっと、もう古いことで記憶に残ってないですね」

宮沢弁護人=「そうすると、あなたは、この川越署分室で被告人石川が行くまでは強盗殺人、いわゆる善枝ちゃん殺しについては調べてないということですか」

証人=「恐喝未遂については調べて、死体を発見してからは、関連性について調べているか、その聞いたようなあれもありますが、まあ恐喝未遂の関係を主に調べたように記憶に残っています」

宮沢弁護人=「要するに、石川を善枝ちゃん殺しの容疑者として調べていたんじゃないですか、率直に聞きますが」

証人=「恐喝未遂が主で、その関係は表立っては調べていなかったように・・・・・・・・・」

宮沢弁護人=「じゃあ裏で調べてたんですか」

証人=「いや、そういうあれは調べてなかったと思います」

(続く)