狭山の黒い闇に触れる 183
-判別因子の選択-「判別因子の選択は、複照合文書の筆者の組みごとに変えなければいけない。では、その選択の方法は如何、というと、今のところ経験に待つか、手当たり次第探す以外に方法は無く、この部分で、あるいは書道家等の『勘』は大いに期待されるであろう。もちろん、『勘』は最適判別因子の発見の手掛りに過ぎず、判別因子がひとたび決まれば論証から姿を消すべきものである。これが、旧鑑定のように『勘』を最後まで論証の基底に持つ場合と峻別されるべき点である。高村巌鑑定人がある法廷で、『勘』を論証の基底に置きたいため『科学と雖(いえど)も、究極は勘である』、という意味のことを言っているのは大きな勘違いで、科学における『勘』の果たす役割は、以上のようなものでなければならない」(続く)