アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 39

刑事調査官・長谷部梅吉は署に戻り、自殺した男の家族から聴き取り調査した結果を上司に口頭報告する。ここまでの一連の流れを公判調書で確認してみると、法廷では弁護団が長谷部梅吉に対し執拗に攻める。何をといえば自殺した男についてだ。それは男の血液型を調べたかどうか、血液型を埼玉県警の鑑識で調べただけでなく東京の科学警察研究所に検査の為送った話を聞いているか、男が被害者の死亡に何らかの関係があるのではないかと考える発言が捜査会議などでなされてなかったか、など、被害者と自殺した男を関連付けた問いが主である。長谷部梅吉は男と被害者の死亡についての発言が幹部の中にあったと述べる一方で、自殺した男は馬鹿を見た、と捜査本部で話題になったと語り、新聞などにいかにも容疑者らしく書かれ気の毒だという話が出たという。そしてこの自殺した男と被害者の関係の有無についての捜査に対し刑事調査官・長谷部梅吉は「(徹底捜査を)当然しなければならないんです、警察組織から言いまして。ところがあの場合の捜査がああいうふうに皆さんにご迷惑かけるようなミスだらけの捜査をしたために、この横の連絡というふうなものがなかったと、こういうふうなことでこの各幹部がどういう捜査をしているかということをよく分かっていないという状況ではなかったかと思うんです」と述べ、さらには「一般の捜査で警視以上の幹部であれば当然、横も縦も連絡を密にとらなければならならなかった」「そのためにこんな変な捜査になってご迷惑をかけている」と述べる。警察組織の発言にしては珍しく謙虚であり、私は意表を突かれた。                                                             

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