アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 963

【公判調書3013丁〜】

                   「第五十六回公判調書(供述)」

証人=遠藤  三(かつ)・七十歳

                                            *

橋本弁護人=「あなたは関源三巡査部長を知ってますね」

証人=「知ってます」

橋本弁護人=「六月十七日に石川君が逮捕をされて川越分室に連れて来られましたね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「六月十八日から青木さんとあなたが石川君の取調べに当たっておりましたね」

証人=「その点、日のことはそうだと申し上げるわけにはいきませんが、だいたい中頃から先のことだと、その頃川越分室に行ったんです。その当日から石川君と、聞いたり聞かされたりという状況にありました」

橋本弁護人=「石川君が川越分室に連れて来られた当日から話を聞いておると」

証人=「そうだと思います」

橋本弁護人=「六月十八日付で青木さんとあなたの、供述調書が二通あるんです。山下さんとあなたの供述調書が一通と、あるんです。だからその頃から取調べを始められたんじゃなかろうかと思うんですが、そういうことですね」

証人=「はい」

橋本弁護人=「関源三という巡査を知っておると言いましたね」

証人=「源三かどうか、名前までは記憶ございませんが、関巡査部長というのは知ってます」

橋本弁護人=「それはどういう関係で知ったんですか」

証人=「それは狭山警察の者じゃないかと思いますが。それで派出所じゃなくて何か借家住まいじゃなかったかと、そんな気がしますね」

橋本弁護人=「あなたとは、石川君を取調べるという職務上のことで関巡査部長と関係を持ったんじゃないんですか」

証人=「なかったですね」

橋本弁護人=「関巡査部長が石川君を取調べたということはありますね」

証人=「ええ、ありますね」

橋本弁護人=「それはいつ頃からか、分かりますか」

証人=「分室に行って三、四日してからじゃないかと思いましたが」

橋本弁護人=「先ほどのあなたの証言ですと分室に連れて来てすぐにあなたと青木さんなどから調べが始められたんですね、最初は」

証人=「やっていると思います」

橋本弁護人=「そうして今度、関巡査部長が石川君を調べたと、こういう順序ですね」

証人=「ええ、勿論まあその間にやはり青木さんとか、私だとか、長谷部君だとかが調べておりますが、順序からいうとそういうことになりますね」

橋本弁護人=「関巡査部長に取調べをさせたというのは、何かわけがあったんですか」

証人=「分かりません」

橋本弁護人=「関巡査部長が取調べをしたというのは知っているんですか」

証人=「聞きました」

橋本弁護人=「関巡査部長が取調べをしておる席にあなたは立会わなかった」

証人=「おりませんでした」

橋本弁護人=「関巡査部長は何日くらい石川君を調べたか知ってますか」

証人=「何日というんじゃなくて、時間的にせいぜい四、五時間じゃないでしょうか。よく分かりませんが」

橋本弁護人=「何日と聞いたのは、その調書を見ますと関さんの調書は六月二十日付と二十一日付とあるんですよ、ですから何日間か関巡査部長が取調べをしたんではなかろうかと思って聞いたんです」

証人=「ですから、一日か二日、時間にして四、五時間じゃなかろうかと思いますが」

橋本弁護人=「四、五時間というと、それ以外の時間は誰かが調べているんですか」

証人=「それ以外ですか」

橋本弁護人=「二日で四、五時間というと大分なりますね。関さんが取調べをしている同じ日の別の時間にあなたが調べたこともあるんでしょう」

証人=「あると思います」

橋本弁護人=「そうすると取調官が交代で調べたということになりますね、関さんが調べる時間と、青木、遠藤が調べる時間と、こういう風に分けて調べたということになりますね」

証人=「そこのところが、関さんがどうしてそこのところに入って行ったんだ、ということがはっきり私に今、記憶がないんですがね、どうして関さんがそこに入ったのか、あるいは上司が結局、何かそういう風に関さんを調べに入れたんじゃないかと思いますが、関さんと私は一緒になったことございませんので、その点ははっきり分かりません。ただ、関さんが調べた後私等もあるいは前後して調べたということについては私は間違いないと思います」

橋本弁護人=「石川君が三人でやったという自白から実は自分一人でやりましたという自白に変わりますね、最初に一人でやりましたと言い出した時、あなたは現場にいたんですか」

証人=「おりましたよ、だから先ほども申し上げました、どの弁護士さんか分かりませんけれども、聞かれて、三人だということだったんだけれども三人といえばそれぞれに責任分担があるんだから、一人の分は、君のやった分だけは君が責任を負わなければならないぞと言った、ということは先ほども申し上げた通りです」

橋本弁護人=「あなたがそういう話をしたら、実は一人でやりましたということになったんですか」

証人=「今申し上げたようなことで、君、こうでなかったか、というような、一人一人の分の責任は負わなければならないぞ、実はこうなんですよ、という風に簡単にいったかどうか、ということについては記憶ございませんが、いずれにしてもそういうことで私は聞いていったんです」

橋本弁護人=「一人でやったと言った時にあなたは現場にいたというんですが、そのほかにいた人は誰ですか」

証人=「そのほか結局、いたのは青木警部、長谷部警視はいたと思います。ただし先ほど申し上げたように三人で一緒に調べたことも、あるいは二人で調べたこともある、おそらく一人ということはなかったと思いますが」

橋本弁護人=「その時間は昼と夜とに分けますと、昼ですか、夜ですか」

証人=「昼ですね。夜というのは私はやったことないと思います。多少はあるいはあるかも知れませんが、おそらく夜遅くなるまでというようなのはないですから」

橋本弁護人=「裁判官の勾留質問というのがありましたね」

証人=「ありましたでしょうなあ、ええ」

橋本弁護人=「立会わなかったですか」

証人=「立会いません」

橋本弁護人=「勾留質問について今、記憶に残っていませんか」

証人=「何も残っておりません」

橋本弁護人=「川越分室に裁判官がやって来て勾留質問をしたんでしょう」

証人=「その点記憶ございません」

橋本弁護人=「検察官の取調べの時にはあなたは立会わないんですか」

証人=「立会いません」

橋本弁護人=「検察官の調べの時に警察の人は立会わないんですか。原検事でしたね、この時は」

証人=「あるいは先ほども申し上げたように身辺擁護で警察官が、看守の人でもいたかどうか記憶ございませんが、私等はおりません」

橋本弁護人=「先ほどの一人でやったと、単独犯を自供した日にち覚えておりませんか」

証人=「日にちは覚えておりません」

橋本弁護人=「これは石川君が川越分室に連れて来られてから何日経った頃と思いますか、正確な日にちは分からんとしても」

証人=「三、四日じゃなかったでしょうか。三日か四日目でしょう」

橋本弁護人=「その頃ですね、自白を始める前後の頃ですが、石川君を医者にかからせたことはありませんか」

証人=「医者・・・・・・・・・記憶ありません」

橋本弁護人=「めしを食わなかった時期があるでしょう」

証人=「ありました。それは申し上げました」

橋本弁護人=「それに関連して医者にみせたんじゃありませんか」

証人=「記憶ございません。あるいはみせたかも知れませんが、記憶ございません」

橋本弁護人=「警察の近くの赤心堂病院の加登さんというお医者さんにみせたんじゃなかったですか」

証人=「言われてもその点はっきり記憶ありません。まあ具合悪いということになれば、まあ、みせたんじゃないかと思いますが、その点はしかし・・・・・・記憶ございません」

(続く)