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某月某日                                                                    アジトから電車で高円寺に移動する。西部古書会館 で数冊の古本を買う。よくここで蕨の古本屋なごみ堂店主を見かける。この店主が来ている時は、私は検索速度を最大に上げる。この店主と私の趣味が一部かぶっているからだ。それは古めの犯罪物である。私が狙っていた古本をこの店主に買われた場合、わざわざ蕨の店まで行き、数百円上乗せされた値段(それでも安値だが)で買うハメになる。ただ蕨の店に行く価値も、それはそれで十分にある。店内の、犯罪本が集中するエリアを掘り起こす時の高揚感、この山の背後にある棚の最下段が、これまた見づらく、しかもギリギリ人差し指が届く奥行で、抜き取りづらい(抜き取れた時の達成感がまたイイ)。ある時、この山の土台の脚下に古本が噛ませてある事に気づいて、「もしや大好きな三億円事件の稀覯本では？」と素早く妄想し、この旨を店主伝えた。これを見た店主は「あ、それゴミです」と一言。スッキリした私であった。

アジトに戻り、ヤク(焼酎お湯割り)をキメながら戦利品を眺める。ジュワ〜ッと脳内麻薬物質が出始めた。