アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 941

【公判調書2961丁〜】

                    「第五十六回公判調書(手続)」

    いつ=昭和四十七年二月八日。

どこで=東京高等裁判所

だれが=裁判長判事:井波七郎

                          判事:足立勝義

                          判事:丸山喜左エ門

           裁判所書記官:飯塚  樹

                          検事:山梨一郎

       出頭した弁護人:橋本紀徳、石田亨、宇津泰親、

                                     青木英五郎、宮沢洋夫、福地明人

                                     山上益郎、稲村五男、三上孝孜、

                                     城口順二、佐々木哲蔵、

                                     佐々木静子、内藤徹、藤田一良、

                                     松本健男

          出頭した証人:市村美智子(旧姓石川)

                                     遠藤  三

                                     諏訪部正司

    なにを=証拠関係      別紙証拠関係目録記載の通り

どうした=裁判長は証人諏訪部正司に対し、次回公判期日昭和四十七年二月十日午前十時に当法廷に出頭することを命じた。

昭和四十七年三月六日         東京高等裁判所第四刑事部

                                                      裁判所書記官  飯塚  樹

                                            *

                              証拠関係目録は略す

                                            *

【公判調書2963丁〜】

                    「第五十六回公判調書(供述)」

証人=市村美智子(旧姓 石川)

                                            *

裁判長=「三十八年以後、警察や検察庁で調べられたことはありませんか」

証人=「ありません」

裁判長=「結婚なさったのはいつですか」

証人=「四十六年五月です」

                                            *

福地弁護人=「この事件が起きた当時、美智子さんはいくつでしたか」

証人=「十四です」

福地弁護人=「学校は」

証人=「中学二年です」

福地弁護人=「中田善枝さんが誘拐されたのは、五月一日だと言われていますけれども、五月一日の日にあなたは学校へ行きましたか」

証人=「はい、行きました」

福地弁護人=「学校へ行くのは、大体何時ごろでしょうか」

証人=「七時半ごろです」

福地弁護人=「あなたが学校へ行く時にお兄さんの一雄さんはもう家を出ておりましたか、それともまだ家におりましたか」

証人=「はっきり覚えてません」

福地弁護人=「五月一日の日、あなたは、学校から何時ごろ帰って来たか、思い出してほしいんですが」

証人=「五時か五時半ごろだと思います」

福地弁護人=「お兄さんの一雄さんは、大体何時ごろ、その日帰って来たような記憶でしょうか」

証人=「私より一時間か一時間半遅れて帰って来たと思います」

福地弁護人=「五月一日の午後、雨が降りましたね」

証人=「はい」

福地弁護人=「覚えていますか」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたはこの日、傘を持って行きましたか」

証人=「いいえ持って行きません」

福地弁護人=「雨の中を帰って来たわけですか」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたの中学校は、何中学ですか」

証人=「東中学です」

福地弁護人=「お兄さんの一雄さんが帰ったのは、あなたが帰ったあと一時間か、一時間半経ったあとだとすると、お兄さんも雨にあったんでしょうか」

証人=「そうです」

福地弁護人=「お兄さんが濡れていたような記憶ありますか」

証人=「濡れているという、そんなに降られなかったと思います」

福地弁護人=「そんなに濡れてなかったと」

証人=「ええ」

福地弁護人=「びしょびしょに濡れて帰って来たという記憶じゃないんですか」

証人=「はい」

福地弁護人=「少し、濡れてたという程度ですか」

証人=「はい、そうです」

福地弁護人=「身体全体が濡れてましたか」

証人=「いえ濡れてません、裾が少しはねが上がったような、そのぐらいの程度よごれてました」

福地弁護人=「すると、ズボンのほうが濡れてた」

証人=「はい」

福地弁護人=「五月一日のことを続いて聞きますが、あなたが、五時か五時半ごろ帰って、お兄さんがその後一時間か一時間半ぐらい経って帰って来てその夜、お兄さんと一緒でしたか」

証人=「はい、一緒にテレビ見てました」

福地弁護人=「何時ごろ寝ましたか」

証人=「十時ごろだと思います」

福地弁護人=「あなたが寝たのが十時ということですね」

証人=「皆同じぐらいに」

福地弁護人=「一雄くんも十時ごろ寝たという記憶ですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「その次の日、五月二日のことを、これから聞きますけれども、五月二日の夜あなたは、お兄さんの一雄さんと一緒に過ごしましたか」

証人=「はい」

福地弁護人=「大体夜は、あなたはどうやって過ごしているんですか。たとえば勉強してるとか、テレビを見てるとか、本を読んでるとか、いろいろあると思うんですが」

証人=「普通テレビを見てます」

福地弁護人=「テレビを見てる部屋というのは、どこの部屋ですか」

証人=「玄関入ってすぐの四畳半です」

福地弁護人=「雨にあった五月一日、その次の日の五月二日の夜は、何時に寝た記憶ですか」

証人=「いつもと同じくらいです」

福地弁護人=「お兄さんの一雄くんはどうでしょうか」

証人=「同じくらいだと思います」

福地弁護人=「ということは大体十時には寝てると」

証人=「はい」

福地弁護人=「当時のあなたの家には、出入り口は何ヵ所ありましたか」

証人=「二ヵ所です」

福地弁護人=「一つは玄関ですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「もう一つは」

証人=「お風呂場の所です」

福地弁護人=「夜、そういう所の戸締りは誰がやるんでしょうか」

証人=「最終的には、お父さんが」

福地弁護人=「あなたの家では、当時戸締りは厳重にやるほうでしたか、それとも、時には戸締りをいい加減に、忘れたりするような、そういう状況だったんでしょうか」

証人=「いえ、厳重にやるほうです」

福地弁護人=「当時、玄関はガラス戸でしたか、それとも雨戸でしたか」

証人=「ガラス戸です」

福地弁護人=「風呂場の入り口は、どうだったでしょうか」

証人=「ガラス戸です」

福地弁護人=「少しゆっくり思い出してほしいんですが、当時その玄関のガラス戸と風呂場のガラス戸は、開けたり閉めたりする時に、すうっとスムーズに開いていたのでしょうか、それとも開け閉めは、かなりガタガタ音がしていた状況だったでしょうか」

証人=「ガタガタするほうです」

福地弁護人=「それは両方ともですか」

証人=「両方です」

(続く)