アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 862

【公判調書2703丁〜】

                   「第五十二回公判調書(供述)」

証人=青木一夫(五十六歳・川越市役所臨時嘱託)

                                           *

福地弁護人=「(記録第七冊二〇四九丁、六月二十三日付供述調書添付図面を示す)この図面を見て何が書いてあるか、およそ思い出せますか」

証人=「これは入間川の駅から山学校のほうへ行く通りの途中の図だと思います」

福地弁護人=「これで被告人は何を説明しようとしたんでしょうか、記憶ありますか」

証人=「牛乳瓶を捨てた場所という意味ではないかと思いますが」

福地弁護人=「牛乳瓶を捨てたという供述がこの六月二十三日付の供述調書の中にありますね」

証人=「ちょっと見せて頂ければ・・・・・・」

福地弁護人=「牛乳瓶を捨てた場所を説明する図面だと、こういう意味ですね」

証人=「多分そうだと思います」

福地弁護人=「この図面のちょうど真ん中あたりに棒が引っ張ってあって、牛乳瓶を捨てたところという風に説明がありますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「これは、被告人がここで牛乳瓶を捨てたと、その説明でしょうね」

証人=「多分、そうだと思います」

福地弁護人=「牛乳瓶を捨てたところというその説明の上に、牛乳を捨てた所という説明も書かれておりますね」

証人=「これでしょうか、判読出来ずにおりましたが」

福地弁護人=「あなたは、この調書を取られた時のことをよく思い出して欲しいんですが、この時、石川被告は牛乳を入間川の駅の前で買ったということになってます。何本買ったことになってるか記憶ありますか」

証人=「牛乳とパンを買ったという風に記憶しておりますが、何本ということについては、今記憶ありません、調書には出ておると思います」

福地弁護人=「それではあなたの記憶を喚起するために調書の中の文章を読んで見ますけれどもね、二〇四二丁に、すず屋で、牛乳二本とアイスクリーム一個を買いましたと書いてありますね、何本買ったか記憶ないですか」

証人=「牛乳とアイスクリームというのは、ちょっと今記憶ないですが」

福地弁護人=「牛乳に限ってもいいですよ」

証人=「牛乳に限っても本数の記憶はございません」

福地弁護人=「この図面をもう一度見て下さい。ちょっと判読しにくい字ではありますけれども、先ほど言ったように牛乳を捨てたところと、正確にはぎゅんにんびんの捨てたところと書いてありますね」

証人=「はい」

福地弁護人=「その上の字は、あなたさっき判読しにくいと言いましたけれども、どういう風に読めますか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

福地弁護人=「判読不能ですか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」 

福地弁護人=「あなたの記憶ではこの図面は石川一雄が書いたものに間違いないですか」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたがこの調書を取った時に石川一雄に書かして、これに添付したものでしょう」 

証人=「はい」

福地弁護人=「この図面の中に書いてあることは、その調書の内容を説明するものでしょう」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたはもちろん調書の中身は分かっておられるだろうと思うから図面について何を説明するものであるかは当然当時分かっておったわけですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「よく見て思い出して下さい」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

福地弁護人=「何を書いてあるか分かりませんか」

証人=「ぎこりうすてたところという風に見えます」

福地弁護人=「ぎこりうすてたところというのは、どういう意味ですか」

証人=「多分、弁護人が仰るように牛乳捨てたところという文字を、いろいろ調書を見ましても牛乳瓶にしましても、ぎゅんにんびんという風に書いてありますし、書き違えたものと今推測いたします」

福地弁護人=「牛乳を捨てたところという風に被告が書いたものだと、あなたは今考えるわけですね」

証人=「多分、今、弁護人さんのお話を聞いておりましてもそういう風に考えられます。調書をご覧になって頂ければその内容がこれにほぼ合致するような説明がなされているんじゃないかと思いますが」

福地弁護人=「それが、完全になされていないから聞いているんですがね」

証人=「はあ」

福地弁護人=「そうしますと、これは牛乳を捨てたところだという風に読むべきだとしますと、まずこの図面の中には牛乳瓶を捨てたところという説明が一カ所ありますね。それは先ほどあなた確認した通りですね、牛乳瓶を捨てたところと」

証人=「はい」

福地弁護人=「その説明の上に、今あなたが言った牛乳を捨てたところという説明がさらにあるわけですね」

証人=「はい」

福地弁護人=「合わせて二つ、牛乳についての説明があるわけですね。そういうことになるでしょう」

証人=「はい」

福地弁護人=「あなたはこの図面を作成させた本人ですからね、あなたから聞く以外にないと思って聞いているんだけど、そうすると、牛乳についての説明は二つあるという風に考えていいわけですね、この図面の中に」

証人=「はい」

福地弁護人=「で、先ほどの話を少し思い出して欲しいんですが、牛乳は二本買ったという風にこの調書の中に書いてあるんですよ。あなた自身が書いているんですよ」

証人=「はい」

福地弁護人=「牛乳は途中で飲んで捨てたという風にも書いてあるんですよ。そういう記憶ありませんか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

福地弁護人=「それを説明する図面じゃないですか、この図面は」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

福地弁護人=「この図面はあなたが作った自白調書の中で、最初の単独犯行を自白した、そういう重要な調書だとされているんですよ」

証人=「ああ」

福地弁護人=「ああじゃないですよ、あなたにとっては極めて重要な最初の調書であり最初の図面であるわけでしょう、単独犯行のね」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

福地弁護人=「その調書の内容について全然思い出しませんか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

(続く)