【公判調書2966丁〜】
「第五十六回公判調書(供述)」
証人=市村美智子(旧姓 石川)
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福地弁護人=「次に、当時あなたが使っていたノートについてお尋ねします。当時中学二年生だったと言いましたね」
証人=「はい」
福地弁護人=「どういうノートを使っていましたか」
証人=「大学ノートと普通の小さいノートです」
福地弁護人=「普通の小さいノートというのは、大学ノートよりも小さいやつですね」
証人=「はい、そうです」
福地弁護人=「四月から五月のことを聞いているんですが、当時、大体何冊ぐらい持っていたと思いますか」
証人=「大学ノートが五冊ぐらいで、普通の小さいのが三冊から四冊ぐらいだと思います」
福地弁護人=「それは、いずれもあなたの、学校で勉強に使うノートだったのでしょうか、それとも何か他の用に使うノートだったでしょうか」
証人=「いえ、学校のに使うんだったです」
福地弁護人=「そのノートは、いつもはどこにありましたか」
証人=「仏壇の下の戸棚にありました」
福地弁護人=「中に」
証人=「はい」
福地弁護人=「全部そこにあったんですか」
証人=「はい、そうです」
福地弁護人=「すると学校へは持って行ってなかったのですか」
証人=「いえ、持って行って、他に科目以外のものは置いてあります」
福地弁護人=「その日、学校で使うやつは学校へ持って行くわけですね」
証人=「はい、そうです」
福地弁護人=「そうでないやつは、仏壇の下の戸棚の中に置いてあったわけですか」
証人=「はい」
福地弁護人=「そのノートの中に四、五枚、破り取られているノートがありましたか、ありませんでしたか。これもその当時ですよ、四月から五月ぐらいのことを考えてみて下さい」
証人=「なかったと思います」
福地弁護人=「そういうことには覚えがないのですね」
証人=「はい」
福地弁護人=「次にこれも当時のことですが、あなたは少女雑誌で『りぼん』という雑誌を読んだことがありますか」
証人=「はい、あります」
福地弁護人=「それは、あなたが買ってきたものですか、それとも誰かに借りたものなんですか」
証人=「友だちに借りたものです」
福地弁護人=「これは、難しい質問かも知れませんが、この事件が起こったのは五月一日、二日だと言われていますけれども、四月の末、事件が起こった二、三日前と考えていいんですが、その頃にあなたのところに『りぼん』という雑誌があったか無かったか、もし思い出したら言って下さい、分からなければ結構ですが」
証人=「覚えていません」
福地弁護人=「『りぼん』という雑誌を当時読んだような記憶はあるんですね」
証人=「はい」
福地弁護人=「友だちから借りたものですね、それは」
証人=「はい」
福地弁護人=「『りぼん』という雑誌のほかに、当時あなたは、何か雑誌を読んでいましたか」
証人=「なかよし」
福地弁護人=「それも友だちから借りたのでしょうか、自分で買ったのでしょうか」
証人=「借りたんです」
福地弁護人=「友だちから借りた雑誌というのは、大体新しい雑誌のほうが多いのでしょうか、たとえば今は二月ですが、出たばかりだと二月号、三月号が出てると思いますが、そういう新しい雑誌を友だちから借りてたんでしょうか」
証人=「そんな新しくないと思います」
福地弁護人=「一年も二年も前の雑誌という記憶もありますか」
証人=「そんなことはないです」
福地弁護人=「つまり出たばかりの新本というか、新刊とか、そういう雑誌ではないという記憶ですか」
証人=「はい」
(続く)