アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 934

【公判調書2943丁〜】                    

                     「第五十五回公判調書(供述)」

証人=小島朝政(五十六歳・財団法人埼玉県交通安全協会事務局長)

                                            * 

石田弁護人=「それではあなたは午前中に、いろいろな特命事項を受けてそういう仕事もやったと、被告方の捜索もそうだし、ほかの細かい特命を仰せつかったこともあるという趣旨の証言をなさってますがね」

証人=「この事件の中にですか」

石田弁護人=「ええ。この事件の中で、今朝あなたが言ったことの中でね、特命事項を受けて被告方の捜索をしたこともあり、ほかの細かい特命も仰せつかったことがあるという趣旨のことを言われましたがね」

証人=「はい」

石田弁護人=「その細かい特命を仰せつかったというのはどんな特命ですか」

証人=「これは取り上げる程のものはないんですが、今、記憶に残っているのはそうですね、あれ、なに玄二と言いましたか」

石田弁護人=「奥富玄二ですか」

証人=「奥富玄二がですね、自殺したという時に行って、家を見、死体を見たということ、あとはですね、記憶に残っている細かいと言えば、もうないですね。その都度細かい仕事なんでですね」

石田弁護人=「その都度いろいろ言われ、特命を仰せつかったりしているということですね」

証人=「はい」

石田弁護人=「その今、あなたから話が出た奥富玄二さんの自殺に関連することで、あなたが、自殺者宅に行ったというんですが、その時はお一人で行かれたんですか」

証人=「いや、これはね、誰ですかね、長谷部さんなどが行って実際にはやってたと思いますね」

石田弁護人=「長谷部さんと同行されたということになりますか、別々に行ったんですか、奥富さん宅に」

証人=「そうですね、一緒に行きましたね」

石田弁護人=「死体を見たわけですね、まず」

証人=「はい」

石田弁護人=「何か、井戸とかそういうところは見ませんでしたか」

証人=「井戸は私は遠くで見たんですが、もうすでに私が行った時は出ちゃっていて」

石田弁護人=「何ですか」

証人=「私が行った時には死体があがっておったんで、あまり記憶がないんですがね。それで、私は死体を見ただけ程度で、まあ何もしないで帰って来ちゃったんですがね」

石田弁護人=「どれくらい居ましたか、奥富さんのお宅に」

証人=「それでも一時間くらいおりましたかね」

石田弁護人=「帰る時は長谷部さんよりひと足お先に帰って来たわけですか」

証人=「ええ、もちろん。私のやる仕事でもないしするので、ちょっと見てくる程度で」

石田弁護人=「死体を見る役割の人は長谷部さんなんですね」

証人=「そうです」

石田弁護人=「あなたはどういう役割で奥富さんのお宅へは行ったわけですか」

証人=「私は実は法医学研修をちょっと受けて、慶応の法医学教室に派遣されて研究したこともあったんで、それで、どうかと思って死体をちょっと見に行ったんですが、当時まだ、長谷部さんが検視官でおったんで、別に補助という意味でなくて、私はちょっと首を出したんですがね」

石田弁護人=「要するに、善枝さん事件と関連があるだろうということで行かれたわけですか」

証人=「いや、そういう深いことは私は無関係で、自他殺の判別の自分の研究にもなるし、するからと思ってちょっと覗いたんですがね」

石田弁護人=「将田警視から行くように命令されて行かれたんでしょう」

証人=「そうではないんです。捜査員がまだ、あの頃は被疑者も逮捕にならない頃だったと思いますがね、早い頃なんで。捜査員を出したあとの資料の整理なども少なかったので、その話を耳にしたのでちょっと行ったという風に、そのことは今申し上げましたが、捜査ということでなくそんなことが記憶に残っておるということに過ぎないんですが」

石田弁護人=「奥富玄二さんのお宅に一時間くらい居て、あなた一人最初に早く立ち去ったわけですか」

証人=「そうです」

石田弁護人=「狭山署へ行かれたわけですか」

証人=「いや、捜査本部に帰ってきたわけです」

石田弁護人=「堀兼の方ですか」

証人=「はい」

石田弁護人=「奥富玄二の死体の状況について同僚なり、上司なりに概略話しましたか」

証人=「そういうことは話しません」

石田弁護人=「話をしても不自然ではないんですがね」

証人=「私はただ、かつてそうした法医学研修をしたことがあるということなんで、経験も浅いしするので、この水死の場合の所見で、水死の場合の窒息死ということを勉強するということで行ったので、そのことだけで他意のない問題なんでございます」

石田弁護人=「帰るときは歩かれて帰ったんですか」

証人=「もちろん、自転車でございます」

石田弁護人=「行くときも自転車」

証人=「はい」

石田弁護人=「長谷部さんも自転車で行ったんですか」

証人=「それは何で行ったか、長谷部さんは正式というか、上司から命令があって処理した仕事でしょうから、これはいろいろな関係で捜査もし、あれしたんだと思いますがね」

石田弁護人=「そうすると、行くについては、一つの乗り物で行ったんでなくて、別々に行ったということですか」

証人=「はい」

(続く)