アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 915

 

【公判調書2892丁〜】

                    「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

                                            *

福地弁護人=「原検事と一緒に拘置所へ行ったと言いましたね」

証人=「はい」

福地弁護人=「原検事と一緒に石川君と会ったと言いましたね」

証人=「はい」

福地弁護人=「原検事が石川君に対してどういうことをしゃべっておったか記憶ありますか」

証人=「記憶はないです」

福地弁護人=「全然ないんですか」

証人=「はい。忘れてしまってですね」

福地弁護人=「そうすると一体何しに行ったんですか」

証人=「それがですね、何か石川君が敷布を裂いて何とかといった話をちょっと聞いたんですが、はっきりした記憶はないです」

福地弁護人=「あなたは警察官であり原検事は検察官でしょう」

証人=「はい」

福地弁護人=「検察官と警察官一緒になって被告人と会うというのは何か特別の事情があってのことだろうと思うんですがね、どういう事情でそういうことになったんでしょうか」

証人=「それは何か敷布を裂いて自殺するとかしないとか」

                                            *

裁判長=「だからさっき何か事故があるというので検事が行った、その時に一緒にくっついて行ったと、こういう風に漠然と言ったね」

証人=「はい、そのことを聞いてそれで行ったんです」

                                            *

福地弁護人=「本当ですか」

証人=「はい」

福地弁護人=「誰に呼ばれて行ったんでしょうか」

証人=「その時は誰にも呼ばれたんじゃないんです。そこのところは私あれですが、何かの連絡で行ったというように記憶しているんです」

福地弁護人=「今あなた、何か事故があって石川君が変なことをやりそうだというので行ったと言ったでしょう」

証人=「はい。で、そういう風なんで検事さんがじゃお前も一緒に来いと言われて行ったような気がします」

                                            *

裁判長=「さっきは何のあれで浦和に行ったか分からないが自分の考えでは連絡のために浦和にたまたま行っていたと、ところがそういう事故が何かありそうなんで検事と一緒に行ったと、こういう風に言ったんだね」

証人=「はい」

裁判長=「それを今繰り返して言っているわけでしょう」

証人=「はい」

裁判長=「だから狭山か何かに居るのを検事が来いと言って行かれたのか、それともそうじゃなくてたまたま連絡か何かで浦和へ行っているところを検事がそういうことで拘置所へ行くから一緒に来いと言われたのか、どっちかを思い出して答えればいいんだよ」

証人=「それ呼ばれて行ったんじゃないんです」

裁判長=「だから狭山から呼ばれて行ったんじゃないという意味なんでしょう」

証人=「はい、それで検察庁へ私何かの連絡に行ったような気はしているんですが」

                                            *

福地弁護人=「そうすると、行ってどういう話をしたか全然記憶ないんですか」

証人=「いや、それで今申し上げたように何か敷布を裂いて自殺しそうだとかするとかという、そんな風なことだったです。それでじゃ、お前も一緒に来いと」

福地弁護人=「原検事と石川君とあなたと三人で会った時にどういう話をしたんですか、全然覚えてませんか」

証人=「全然って間違うと困るからですけれども、そんなことするんじゃないぞというようなことは言ってると思います」

福地弁護人=「その時に原検事が佐野屋の付近でのことを聞いたんじゃないんですか」

証人=「覚えてません」

                                            *

宮沢弁護人=「あなたはそうすると石川君に今の浦和で原検事と一緒に会った時はふいに、あなた、予測せずに会ったということですか」

証人=「検事さんとはそういうことです」

宮沢弁護人=「だけどあなた自身は石川君に会うつもりで行ってるんでしょう、浦和へ」

証人=「・・・・・・・・・」

宮沢弁護人=「どういう目的で行ったんですか」

証人=「それが何か連絡があって行ったような気もしているんですが、その点がはっきり覚えてないんですが」

宮沢弁護人=「あなた、先ほどの証言でこの日お金も石川君に渡しているんでしょう」

証人=「そうです」

宮沢弁護人=「それは事前に準備して会うつもりで行っているんでしょう」

証人=「そうじゃなく、まあ五百円なんですけれども、自分が持ってたのをそこへ行ったから受付に頼んだんですから、改めてうちを出るのにこれを石川君に持って行くというんじゃないんです」

宮沢弁護人=「そうするとその場で思い付いて渡したというんですか」

証人=「はい」

(続く)

                                            *

一昨日の三月二十日水曜日、私は近所のゴミ捨て場から古本を拾ったのだが、そのような下品、下劣な行動に駆り立てたのは、他ならぬ捨てられていた古本群そのものが放つ独特のオーラに引き寄せられてのことであった。ならば己の眼力はどれほどか、これはやはりゴミかどうか検証してみた。

 

江戸川乱歩の古本は期待外れな古書価であった。

さてこちらはどうか、古本サイトで検索してみる。

すると予想外の値で取引されている事実を知り、私は恐れ慄いた。

紙片に書き込んだ数字が古本の販売最低値である。ネット上に出品されていた同一本の最低値での計算ですらこの金額である。

この後、気合いを入れアルコール消毒に勤しんだことは言うまでもないだろう。