アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 914

石川一雄さんの家族と兄弟(1976年)。写真は"無実の獄25年・狭山事件写真集=部落解放同盟中央本部中央狭山闘争本部・編、解放出版社"より引用。

【公判調書2890丁〜】

                    「第五十四回公判調書(供述)」

証人=関 源三(五十五歳)

                                            *

宮沢弁護人=「あなた、石川君の家族と一緒に拘置所に面会に行かれたということがありますね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「それは狭山署の上司には口頭で連絡するなり許可なりを貰って行っているわけでしょうね」

                                            *

裁判長=「それはさっき、うちの者が行きたいと言っているから、道がわからないと言っているから警察の方には断らないで一緒に付いて行ってやったと、こういう趣旨のことを言ったね、だからこれから拘置所へ行くなんてもちろん言う余裕はないわけだね」

証人=「はい」

                                            * 

宮沢弁護人=「そうすると、それは非番の時ですか。それとも勤務中なんですか」

証人=「これは私の方の都合のいい日をということだったと思いますが」

宮沢弁護人=「そうすると事前に浦和へ行くということは分かっていたわけですね」

証人=「それは言付けで今日来てくれというので分かっております」

宮沢弁護人=「それで上司に口頭の連絡なり、あるいは許可なりを得なかったということですか」

証人=「いや、私が行く予定だったんです」

宮沢弁護人=「そうすると石川君の家族からそういう連絡があったということは上司に連絡くらいちょっとしてあったんじゃないですか」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

宮沢弁護人=「少なくとも事前に連絡があったわけですよね」

証人=「それは上司には言わなかったかと思います」

宮沢弁護人=「そうするとあなたが自分の判断で行かれたということですか」

証人=「石川君の家族に来てくれという言付けだったものですから」

宮沢弁護人=「だけどあなたは一緒に行ったわけでしょう」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「そうするとそれは一緒に行くというのは一つの便宜を計らっているわけですよね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「そういうことをあなたがされるについて、あなたの独自の判断でされたということですか」

証人=「道がわからないというので私が道を知っているから一緒に行こうというので、ですからこれは断わらなかったと思いますが」

宮沢弁護人=「それは日中ですね」

証人=「昼間です」

宮沢弁護人=「石川君の家族が会える時間ですからね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「そうするとその日は非番なんですか」

証人=「まあ、いずれにしても普通の勤務ではなかったですね」

宮沢弁護人=「じゃ普通勤務じゃない勤務があるんですか」

証人=「何かで休んだ時か何かで普通の勤務ではなかったと思います」

宮沢弁護人=「そうすると、行ったということは事後には上司に報告なり連絡をしているんですか」

証人=「特別報告はしなかったと思うんですが」

宮沢弁護人=「そうするとあなたは自分の勝手にやられたと、こう承っていいわけですか」

証人=「まあ、そういうことになると思いますが」

宮沢弁護人=「あなたは石川君の家族からそういう風にいろいろ頼まれれば上司の方へ連絡せずにいろんなことをやっていたんだという風に承っていいわけですか」

証人=「そうじゃなく、ただ口頭で話はするけれども事前に、こういうわけだということで行って帰って来てから、行って来たということは口頭ではもちろんやらんわけにいかないからやってますけれども、その時、事前にこうだということは言わなかったような気がするんで、はっきりしないです。そこのところは」

宮沢弁護人=「はっきりしないけれどもあなたのあれとしては少なくとも帰って来てからそういう風な事後連絡というか、事後承諾というかその程度はしているという風に記憶しているわけですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「そうするとあなたは石川君の家族との間には相当面識があるわけでしょう」

証人=「顔は知ってます」

宮沢弁護人=「それから石川君の家族とお宅の方へ行けば、そうへだてなく話し合えるという間柄ですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「あなたが石川君のお宅へ行ってその辺に座ったり、上がったりということは別にそう不自然なことではないですね」

証人=「だけど私普通石川君とはグランドで会っていたから石川君のうちへ行ったりなんかしたこともないんです」

宮沢弁護人=「だけども別にあなたと家族との間で特に気まずいというようなことはなく、むしろどっちかと言えば知り合いという風な関係だったんでしょう」

証人=「はい」

(続く)

                                            *

昨日三月二十日は春分の日、つまり祝日であり、つまらぬ労働から解放され、老生は朝から熱々の風呂に浸かり老体を癒した。朝風呂は贅沢な行為であり、これを実行している間は己の貧困・貧乏な現状を忘れることが出来、束の間の幸せを味わえるのであった。

風呂上がりに一杯やり、駅前の松屋で290円の朝飯でも食うかと家を出たが、その行動を阻(はば)む、いや松屋の朝飯などどうでもよくなる事案が発生した。

それとはこれ(写真参照)である。これらを含む古本がゴミ集積所に大量に捨てられており、身体中に電流が走った私は我を忘れ、欲しい古本を抜き取り手早く束ねて家に引き返した。ちなみにゴミを漁るという行為は私の57年の人生で初体験であったが、意外にも人目は気にならず、『おっ、初版ではないか!』『チッ、三十三刷か』などと古本屋の店主のごとく、このゴミ集積所前で値踏みに及べるほど冷静さを保つことが出来た。

・・・帰宅後、腹黒さは増し、早速古書価を調べた。

結果、その一部はかなりの値打ち品であり、逆に期待した江戸川乱歩は安値であった。

しかし、今になって気付いたが、ゴミを勝手に持ち帰る行為は窃盗という犯罪行為にあたるかも知れず、せっかくの休日の午後は、ドアの鍵穴から捜査員の訪問を伺うという行動で費やされた。