アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 660

(狭山事件裁判資料より)

【公判調書2058丁〜】

                「第四十一回公判調書(供述)」

証人=山下了一(五十二歳・無職。事件当時、埼玉県警本部捜査一課)⑦

                                         *

宮沢弁護人=「あなたは石川君を取調べたことがあると、先ほど証言しましたね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「最初は五月二十三日に取調べられたですか」

証人=「日にちは忘れましたが聞いたと思います」

宮沢弁護人=「その頃は、最初にあなたが取調べられたということですね」

証人=「はい」

宮沢弁護人=「その当時、あなたの他にどなたか警察官で石川君の取調べに当っている人はあったわけですか」

証人=「私一人ではなかったように思います」

宮沢弁護人=「すると、どういう人がいたか、お分かりですか」

証人=「清水さん」

宮沢弁護人=「清水さんというのはどういう方ですか」

証人=「当時やはり捜査一課にいた人です」

宮沢弁護人=「前に熊谷署におられた清水利一警部ですか」

証人=「そうです」

宮沢弁護人=「それは、最初の段階も捜査に当たっておられたですか、あなたが一番最初に調書を取った頃から」

証人=「清水さん、最初いたと思います」

宮沢弁護人=「その他、どういう人が取調べに当られましたか」

証人=「それはどこの時ですか」

宮沢弁護人=「狭山の一番最初です」

証人=「狭山の当時の課長」

宮沢弁護人=「諏訪部さん」

証人=「ええ、諏訪部さんです」

宮沢弁護人=「それだけですか」

証人=「それから、これは一度に大勢であれしたんじゃないですが、その他、遠藤さんと長谷部さんも狭山でやってると思います」

宮沢弁護人=「一番最初に石川君が逮捕されてきた時点で、それらの人が皆取調べに当られていたんですね」

証人=「そうじゃないんです。交替というか、私と、例えば清水さんとやる時に、地元の課長が責任者として、何て言いますか強盗とか暴行とか、そういうのに関係あるのに立会うとか、そういう関係でいたと思います」

宮沢弁護人=「その皆さん、何人か挙げられました警察官ですね、その方の捜査の分担と言いますか、そういうものはあったわけですか」

証人=「別に分担は決めなかったように思いますが」

宮沢弁護人=「すると皆さんがめいめい、勝手に捜査されてたわけですか」

証人=「それは逮捕した後の関係ですか」

宮沢弁護人=「そうです、もちろん。じゃあ、逮捕する前にも調べられたんですか」

証人=「いやいや調べないんですが、逮捕した後には、今申し上げました通り、一番最初は私と清水さんと調べていたんですが、その後、狭山の課長が時々立会ったこともあったと思いますが、その次に今度私ども、取調べの関係からほかへ移ったように記憶してますが」

宮沢弁護人=「すると、今言われた人は、あなたの場合は、そうするとあなたとその、本部から行った清水警部ですか、二人で石川君を取調べたわけですね」

証人=「立会いという風な名目も兼ねて二人でやって、そのほかに時たま狭山の課長が来て立会うような格好で来てたと思います、これは毎日じゃないと思いますが」

宮沢弁護人=「すると、特にどの警察官がどれをやるというようなそういう分担というか、そういう区分というか、というのはなかったわけですか」

証人=「なかったように記憶してますが」

宮沢弁護人=「すると、各々がいろんな資料を集めてきて、それでその区分けが出来た分から石川君を取調べるということになったんですか」

証人=「その分担はなかったように思います」

宮沢弁護人=「あなたは六月の初め頃、石川君を取調べた記憶がございませんか」

証人=「どこでですか」

宮沢弁護人=「六月三日付、やはり狭山署ですね」

証人=「さあ、何月って言っても、ちょっと記憶がないんですが」

宮沢弁護人=「それじゃ具体的に聞きますが、オートバイの代金を横領したというようなことで調べられた記憶がございませんか」

証人=「忘れましたね、それは」

宮沢弁護人=「あなたの調書が二通ほどあるんですがね」

証人=「・・・・・・・・・・・・」

宮沢弁護人=「もう忘れましたか」

証人=「忘れたですね、ちょっと」

宮沢弁護人=「最初に窃盗とか暴行、あるいは恐喝未遂というようなことで調べたことは覚えていますね」

証人=「何か、萱(かや)か何か取った窃盗事件を調べたように記憶ありますが」

宮沢弁護人=「その時、石川君はどうだったですか」

証人=「窃盗か、それから、何かの点については認めたと思います。それから恐喝未遂の点は、何かその当時は否認していたように記憶してますが」

宮沢弁護人=「横領の点はどうですか。オートバイの支払代金の横領、こういうことであなた調べてるんですが」

証人=「横領も、私の調書に取ってあるとすれば、調べて、認めたと思います」

宮沢弁護人=「すると、今言われた恐喝未遂以外は、全部あなたの調べにおいては認めていたわけですね、窃盗とか、その他のそういった当初逮捕され、あるいは勾留された事実については」

証人=「認めたように覚えておりますが」

宮沢弁護人=「それは素直に認めていたんですか、あなた方が相当強力な捜査をして、初めて認めたんですか」

証人=「強力というか、何回か話してそれで認めたように思いますが」

宮沢弁護人=「すると石川君自身が窃盗したとか、何かその、萱(かや)をどうしたとかいうようなことを忘れていたんじゃないですか」

証人=「その点はどうですかね、ちょっとその点は分かりませんですね」

(続く)