アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 790

【公判調書2454丁〜】

                     「第四十八回公判調書(供述)」

証人=梅沢 茂

                                            *

石田弁護人=「先ほど時計の発見に関して、発見された後で上司から嫌味を言われたような記憶があると、その上司は誰であったか記憶がないと言われたわけなんですが、どのような嫌味を言われたんですか」

証人=「さっきも申しました通り、お前らが捜索した場(原文ママ)から発見されたんだぞ、お前らは何して来たんだ、というような嫌味を言われたんです」

石田弁護人=「あなた方が捜すように言われた際に、やはりこの辺の場所を捜せと上司から言われたその辺の場所は捜したわけですね、後で時計が発見されたという」

証人=「上司はその場所はおそらく知らなかったんじゃないかと思います」

石田弁護人=「あなた方が捜索に従事するように、時計を捜すように言われた際にはある程度、どの付近を捜せという命令を受けて捜したんでしょう」

証人=「そうです」

石田弁護人=「その命令に忠実に従って捜したわけでしょう」

証人=「そうです」

石田弁護人=「それであなた方が捜して出なくてその後で出て来たということで、上司に嫌味を言われたというのは、あなたは上司の態度が解せないという風には思いませんでしたか。そのように思いますが」

証人=「別に捜査ではそういうことは往々にしてありますから」

石田弁護人=「上司はそうすると都合がいいわけですな、あなた方で矛盾を感ずるようなことはないんですか、今の事例で、命ぜられたことをやった結果として自分たちは発見出来なかった、自分たちではない一般の人が捜して来た、そのことで自分たちが嫌味を言われるんでは、矛盾を感ずるのが普通じゃないかと思いますけれども」

証人=「小さい物ですから、あるいは草がいっぱい生えているお茶株のあるところですから、やむを得ないと思うんです」

石田弁護人=「ところで飯野さんという人と一緒にT字路付近を時計発見のために捜されたことがありますね、飯野源治さん」

証人=「飯野源治、そういう人おりましたから行ったかも知れません」

石田弁護人=「行った記憶はないんですか」

証人=「記憶はないですね」

石田弁護人=「飯野さんと一緒に連名で捜査報告書類を作られた記憶はないですか」

証人=「その点もはっきりした記憶はございません」

石田弁護人=「ところであなたも、何日間捜査に行ったか分からないんであれですが、時計が発見された場所付近のT字路付近を写真に撮った覚えがあるでしょう」

証人=「私自身がですか」

石田弁護人=「あなたか誰かが」

証人=「おそらく作成したと思います。明確な記憶はありませんが、通常は撮りますから」

石田弁護人=「あなたは先ほど三、四軒でしたか、付近の民家から聞込みをしたような記憶だと言われたようでしたが、そのほか新聞配達、牛乳配達の少年などを調べた記憶はないんですか」

証人=「そういう気もします」

石田弁護人=「何人くらい新聞配達、牛乳配達の少年を調べましたか」

証人=「さあ、何人であったか、それも記憶にございませんが」

石田弁護人=「大勢だという印象ですか」

証人=「いや、あの地域を配達する新聞、牛乳の人ですからね」

石田弁護人=「民家に聞込みに行かれ、あるいは現場付近を、時計の発見現場とされている付近を捜された時期と、牛乳配達新聞配達の少年などから時計のことに関していろいろあなたが聞込みをしたという時期はどちらが先になるんでしょうか」

証人=「さあ、その点も記憶にありませんが、おそらく、まあ一緒じゃなかったかと思います」

石田弁護人=「その新聞配達や牛乳配達から聞くということも、上司から命令などを受けてそういう人たちを対象に聞かれたんですか」

証人=「そうだったと思います」

石田弁護人=「その上司は誰であったか本当に思い出せませんか」

証人=「ちょっと思い出せません」

石田弁護人=「では、あなたは荒神様という蚕のお宮さんの五月一日の祭礼の事などの件を聞込みしたり捜査したりしたことがありますか」

証人=「荒神様ですね、ありました」

石田弁護人=「三柱神社と言うんですか、通称は荒神様。それは何日間か聞込みしたり捜査なりをしたんですか」

証人=「それははっきりした記憶はありません。二日か三日やったような気がします」

石田弁護人=「野口清之丞という人から供述調書をお取りになった記憶はありませんか」

証人=「どんな内容でしたか」

石田弁護人=「内容はいいんですが、野口さんという人のことは」

証人=「名前の記憶はありません」

石田弁護人=「どなたからか、その荒神様の件で供述調書を取ったということはどうですか、氏名は分からなくても付近の誰かから」

証人=「取ったという記憶はあります」

石田弁護人=「何人くらいから取ったという記憶ですか」

証人=「さあ、それもはっきりしておりませんが」

石田弁護人=「その時期は時計の捜索の頃とほぼ同じでしょうか、かなり違った頃でしょうか」

証人=「その点も明確ではありませんが」

(続く)

石川被告の自白調書によると、被害者の物とされる腕時計は道路中央に捨てたと供述(○印)。

だが、問題の腕時計は石川被告の供述(図面を含める)よりも、やや離れた場所で発見される(写真右端"ト"の下)。