アル中の脳内日記

アル中親父による一人雑談ブログ

狭山の黒い闇に触れる 789

【公判調書2451丁〜】

                    「第四十八回公判調書(供述)」

証人=梅沢  茂

                                            *

宇津弁護人=「あなたがその現場付近を捜されたところから一番近いところには当然聞込みを行なっているんでしょう」

証人=「・・・・・・・・・」

宇津弁護人=「あるいはあなたが実際に時計を捜索した範囲というのがあると思いますが、その時計が発見された場所に最も近い民家を何軒か聞込みをされた、ということになるんですか」

証人=「はい、そうです」

宇津弁護人=「繰り返してお尋ねするんですが、そういう聞込みをしたのは何軒ですか。あなたご自身では」

証人=「家数は記憶にありません」

宇津弁護人=「二、三軒と先ほどは仰いましたね」

証人=「まあ、二、三軒ということなんです」

宇津弁護人=「それは手分けをして一人何軒かずつ聞込みをしたんですか」

証人=「そういうことになりますね」

宇津弁護人=「あなたの記憶ではあなたが捜索に従事した時には同僚は何人だったんですかな」

証人=「その点記憶ありませんが、三名か四名だったように記憶しております」

宇津弁護人=「のちに老人によって時計が発見されたことになっていることはご存じですね」

証人=「老人ということは記憶にありません」

宇津弁護人=「付近の住民によって発見されたということを聞いたわけですか」

証人=「それは聞いてますね」

宇津弁護人=「あなたとしてはどういう人によって発見されたことになったのか、当時知らなかったんですか」

証人=「私が記憶にありますのは私が捜しに行って、発見出来なかったわけです。その後に見つかったわけですね。それで、お前らが捜索に行ったところにあったんだぞと言われて、お前らは何をして来たんだということを言われた記憶があるんです」

宇津弁護人=「小島さんからですか」

証人=「上司は大勢おりましたから」

宇津弁護人=「将田さんから」

証人=「明確には覚えておりません」

宇津弁護人=「私が聞きたいと思っているのは、時計が発見されたということを聞いた時に、発見者が女なのか男なのか、若い人なのか老人なのか、それとも何も聞かなかったのか」

証人=「当時私叱られたんですから聞いたんですけれども、今、果たして何という名前の何才ぐらい人が見つけたかという記憶はありません」

宇津弁護人=「話は変わりますが。先ほどの重要品触書きを作る時には将田さんの指示だった」

証人=「はい」

宇津弁護人=「時計のいわゆる側番号についてはこういう番号ということで、書いたものでも渡されたんですか」

証人=「もちろんそうです。こういう風に作れということで」

宇津弁護人=「あなたが品触書きを作成したというのは本件が最初の経験ですか」

証人=「前にも作成したことはあります」

宇津弁護人=「品触れに側番号を書いておくというのはどういう意味又は狙いがあってのことですか」

証人=「品物が特定出来るわけですね。番号があれば」

宇津弁護人=「カバンの品触れを作る時には、こういう材質でこういうカバンなのだということは書いたものでも渡されたんですか」

証人=「そうです」

宇津弁護人=「誰からですか」

証人=「将田警部だと思います」

宇津弁護人=「あなたは将田警部がどういうところから時計の側番号とかカバンの形状材質をそのように特定したのかは当時分かっておったんですか」

証人=「それは朧げながら記憶しております。要するに買い先を調査したんだと思いますね、カバンにしろ時計にしろ」

宇津弁護人=「カバンも買入れ先まで行ったんですか」

証人=「私は行きませんから、おそらくそういう風にして将田警部の手元に届いたんだと思います」

宇津弁護人=「あなたの推測ですか」

証人=「推測です」

宇津弁護人=「その根拠は。何かあるんですか」

証人=「それが捜査の常道ですから、今までの捜査は全てそのようにしてやって品物を特定しておるんですから」

宇津弁護人=「カバンについては牛革であるか、それ以外かは重要な特定の特徴になりますね」

証人=「そうだと思いますね」

宇津弁護人=「時計の側番号は決定的な特定方法ですね」

証人=「決定的ではないが、だいぶ狭まって来ますね」

宇津弁護人=「側番号は同じ番号はないんでしょう」

証人=「いやあるんですね、会社によってあるのもありますね。ないのもあるし」

宇津弁護人=「あなたとしては側番号は同じものがあるという認識なんですね。最後の一桁まで」

証人=「時計によってですね、時計のメーカーによって」

宇津弁護人=「だから同じメーカーの、シチズンならシチズンで作っている時計の側番号は全く同一の側番号の物が複数あるんだという認識なんですか」

証人=「そうです」

宇津弁護人=「そういうことをあなたは何か調べられたんですか」

証人=「今まで捜査をやって来ておりますから、詳しいことは申し上げられませんが外国製の時計なんかはだいたい側番号は一つなんですが、国産品では複数ある場合があります」

宇津弁護人=「どういうところで調べて得た知識ですか」

証人=「これは今までずっと捜査をやって来まして、時計の被害品を捜す場合など時計屋に行って調べたりいろいろの調べでそういうことがあるという認識を持っております」

宇津弁護人=「時計の側番号を特定するということはその側番号と異なる時計は違うんだぞという効果も生み出しますね」

証人=「そういうことですね」

宇津弁護人=「従って側番号を明らかにするということは非常に重要なことになりますね」

証人=「そうです」

宇津弁護人=「ところであなたは時計について、品触れについて、あとで上司から何か言われたことがありますか」

証人=「何かというのはどういうことでしょう」

宇津弁護人=「褒められたり叱られたりしなかったかということです」

証人=「そういう記憶はありません」

宇津弁護人=「あなたは現在この法廷の証拠になっている時計の側番号と、あなたが品触れに書いた側番号は違うということは知ってますか」

証人=「知りません」

(続く)

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警察が被害者の腕時計として捜していたシチズン・コニー。当局の作成した品触れにも載っている。

シチズン・コニーという表記が確認できる。

ところが発見された腕時計はシチズン・ペットであった。一般常識としては、二つの腕時計は確かに似ているけれども、コニーとペットという型が違うわけで、警察は本来捜しているコニーを見つけなければいけないんじゃないですか、と思うのだが・・・。